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イラスト提供 −ヤサカニズム−(管理人 ヤサカニ アンさん)

★このコンテンツの目的

このテクストを通じて鬼硬派サイトである墓標さんとこのamazonから
一本でも購入者が出れば勝ち。
第二段階 達成!

撃墜マーク(売れた本数) ★★★
★基本的にプレイしながら書き綴るので、ネタバレ上等
★暴言嫌いな人はあまり見ないほうが良いかも
★ネタバレしつつも本編丸無視。
★むしろ、そのゲームのファンの方は見ないほうが・・・



ToHeart2編


春 が 舞 う 並 木 道 、 物 語 は ま わ り だ す

ToHeart2 (C)2004 AQUAPLUS ALL rights reserved

バナー拝借下kusukusu7さん

★第零零話 「経緯」
★第零壱話 「開戦」
★第零弐話 「序章」
★第零参話 「予言」
★第零四話 「切欠」
★第零五話 「宿敵」
★第零六話 「隠家」
★第零七話 「三竦」
★第零八話 「卒業」
★第零九話 「寝泊」

第壱拾話からは、こちら

★拾九話以降は、以下の分岐に分かれます。

小牧 愛佳編は、こちら
十波 由真編は、こちら
笹森 花梨編は、こちら


TOPに戻る



第零零話 「経緯」

ーーーー事の起こりは、去る2004年、12月9日。
世はクリスマス前で賑わいを見せるころ、墓標にて、ひとつの日記がアップされた事から始まった。
そう、シンジ育成の時と同じく、やはり切欠は墓標からだったのだ。

その頃、墓標では「KOF'94RE-BOUT」発売に沸いていた。
墓標といえば誰もが(半笑いで)認める北斗サイトであるが、そのもうひとつの顔として
旧SNK格闘ゲームの情報データベース、同好の志が集う漢の聖地。
管理人、Kタカ氏を中心に、格闘ゲーム好きのサイト管理人での交流も度々有るのだが・・・

「KOF'94RE-BOUT」はオンラインバトルが可能である事から、こんな話題が挙げられた。



PS2の94リメイク版以降から通信対戦が出来るようになりますってあったですね。
98もPS2で通信対戦出来るのは凄く嬉しい限りです。
そんな訳でその時が来たら是非対戦しましょうー!!
2号さん!スルメ君!Kタカさん!!(笑)



それに対する、Kタカ氏のコメントは



え?オレも?

ちょ、ちょっと待って!今の僕は退役軍人もいいとこだよ!?
それボク勝ち目あるの…?ていうか、勝負として成立するの?

これはあの、アレだ。
僕が金星を上げたら相当凄いことをYカニさんにはして貰わないと駄目ですね。
'94は買うのか知らないですけど、'94で負けたら94枚妖滅。
'98で負けたら1000枚くらい妖滅。あと20万HIT記念は20万枚妖滅。
それくらいはして貰わないと割りに合わない。
僕が負けた場合はツチノコさんが何かやれば良いんじゃないですかね。





俺、関係ねぇーーーーーーー!?
サラッと相手方には無茶な要求を行い、己の守備(というか責任転嫁)も忘れない
Kタカ大帝。まさに恐帝よ。

そんな訳で全然関係ないのだが、なにやらKタカ氏 VS Yカニ氏の
KOF対決の結果如何では、某がなにかやれば良い事に相成った。


そんな訳で(?)丁度シンジ育成プレイ記も終わりがけだったため、
ネタ伺いも兼ねてKタカ氏にメールでお伺いを立ててみる。
なお、この時点で既に多分Kタカさんが惨敗を喫するだろうと思っていたのは君と僕との秘密である。



Yカニさんには勝ちますよ!どんな手を使ってでも!
という気持ちは持ってますよ!でも月日という名の現実は残酷だから!
ていうか、敗北記念罰ゲームはYカニさんがリクエストするのが筋のような気がちらほら。



成る程、それもそうだ、という事で、今度はYカニさんにお伺い。

その際の管理人土矛のメールでは


「KOF94 Yカニさん VS Kタカさん」で
Kタカさんが負けたときの罰ゲーム!なぜか某がやるみたいですが
何かプレイ記にご希望のゲームとかございますか?

黒タカさんが負けたら、某がプレイ記をやる代わりに、墓標のTOPに
そのゲームをプレイ記中ずっとamazonに貼るという業を背負ってもらおうかとか
思っていたりして!恥ずかしいゲームほど効果的!まあセットで拙者も自爆ですが。

まぁKタカさんが勝つケースも充分ありますし、賭けなど入れて対戦に茶々を
入れるのも良くないとは思いますので、軽く聞き流しておいてください。


読んで頂ければお解かりの通り、「まぁKタカさんが勝つケースも充分ありますし」
の一文からも、Kタカさんが勝つ事を既に想定していない無礼極まる内容。

それに対する、Yカニさんのご回答。



トゥーハート2でお願いします!!(笑)

そう、この時を境に、まさしく物語は、まわりだしたのだ。
世間ではコレをやぶへびと言う。自業自得ともいう。



それから暫くして、年明け。

シンジ育成も無事完結し、次のプレイ記をどうしようか?と考えていた時、
Yカニさんから祝辞を込めたWEB拍手が。



エヴァシンジ育成攻略お疲れ様でしたーwww
そんな訳で次はいよいよToHeart2ですね!!楽しみにしてま(通信が途絶えました)



Yカニさんはしっかりと約束を憶えていた。
だがそれが「KOF94 Yカニさん VS Kタカさん」の結果如何という事は
ものの見事に忘れられていた。



対戦が省略されてるーーーーーーー!?

まぁ日記の小ネタには丁度良いか、と何の気なしに1/19のネタに使用。
Kタカさんの反応が楽しみだな、と思いながらの翌々日には


黒タカさんとツチノコさんの漢と漢の勝負第二回戦!!
こちらも絵の方面ではありますが、是非とも全面協力させて頂きますw

ヤサカニToHeart2絵を描きながら
墓標と土葬へリンクを貼りつづける

ツチノコさんのプレイ日記で色々盛り上がる

墓標さんから購入者が続々出て黒タカさんが儲かる

ヤサカニToHeart2絵が描ける





計画通り



外堀を埋められた。

しかも、その後WEB拍手などでも「期待してます!」との声援が続々。
もはや引く事は出来ない状態となった。
ToHeart2がどういうゲームなのか何の予備知識も仕入れていない。
慌てて色々と情報を仕入れたものの、判った事は人気ゲームである事と
サウンドノベルなのに声優が売りという事くらいだった。





さて、もはや後には引けぬ状態に陥ったToHeart2プレイ記だが、
そもそも当サイトのお客様で何やら勘違いがあるやも知れぬ。
念のためココで宣言しておくが
当サイトはギャルゲー支援サイトでは有りません。

月姫キャラで看板コンテンツを設けたり、TOP絵を飾ったりしているが
ギャルゲー支援サイトではないのだ。その点は抑えておいてほしい。
愛読する雑誌はジャンプでもマガジンでもなく近代麻雀なのだ。


そんな男が、ToHeart2プレイ記をやったらどうなるかーーー



答えはーーー



こうなる!








少女達の心に潜む
詭弁、謀略、甘い罠ーーー!





誤解となりゆきが、少女と主人公の
対立と化し、やがて・・・・・・!





恋愛という名の汚泥に嵌る、
主人公タカを待つのは・・・





生か!?




ーーー破滅か!?






賭博恋愛黙示録タカ
(副題 ユガミプレイ ToHeart2プレイ記)

近日、公開!
の前に購入しなければならないのですが・・・・・・



普通に人気商品の様子だ。Kタカさんに宣戦布告をしたいのだが、買えん。
これだけ売れ行きが好調ならば、売れる売れないとかそんな勝負は
メーカー側からすれば、さぞどうでもいい話であろう。

買えない&売るべき商品が無いのでは、プレイ記もクソもないのだが・・・・・・










<(買えたら)続く>




第零壱話 「開戦」








遂に火蓋を切って落とした「賭博恋愛黙示録タカ(副題 ユガミプレイ ToHeart2プレイ記)」だが、
肝心要の、ソフトの方が手元に無い。
どうやら人気ソフトらしく、




在庫切れ。碇シンジ育成計画では有り得なかった現象だ。

amazonでの購入は困難を極める。限定版に至ってはプレミア価格だ。
今の世の中、ゲームくらいなら捜せば何とか入手出来そうなものだが
出来ればギャルゲーを買うために奔走したくはない。

筆者にも生活と世間体というものが有る。
うっかりそんな場面で知人に遭遇しようものなら社会的にゲームオーバーにすら成りかねない。

・・・と、なれば、購入するにしても知人に会わず、
かつ確実に購入できる場所を選ばなくては成らない。
果たして、そんな場所が有るものか・・・・・・




・・・あるっ・・・・・・!!!








かくしてーーーー

筆者は、通常版が入手出来ぬのなら、もう毒皿覚悟で、
最悪、限定版購入も辞さない覚悟で、初めてのア●メイトに乗り込んだのだった・・・・・・
(注:筆者は、限定版というものを通常版より値段が高い位にしか考えてません。)








お、落ち着かねぇーーー!







一体、どうして、こんな目に・・・・・・
ぶっちゃけ、この瞬間に今まで考えた事も無いサイト閉鎖を初めて考えた。
それほど凹んだ。


ーーーだが、筆者には、ここでどうしても引けない理由があったーーー



ーーーーKタカ!

そう、今回の経緯を追ってみれば判るのだが、今回の勝負は「墓標VS土葬」の
様相を呈して犖える"・・・・・・。

だが、現実は違うのだ。

Kタカ氏は、自身のサイトにてこの様な日記を上げている。



ん? あれ?いや、待てよ…
この場合ツチノコさんと僕の勝負ではあれど、
Yカニさんのリクエストなわけで、言わばスポンサー。
スポンサーと言えば親も同然。そして僕は未だ一人立ち出来ぬピヨピヨな雛鳥。

そ、そうだ! 子の責任は親が取るもの!
つまり罰ゲームは僕じゃなくてYカニさんが受けるのが筋なんだよ!!




責任転嫁してるーーーーーーー!?

そう、この氏の巧妙、かつ周到な発言により、対決の様相は大きく様変わりしたのだ。



墓標の絵板においても、k●ya画伯よりこんな質問が有っても


要約するとKタカvsツチノコ
・勝利条件
ToHeart2売れたらツチノコさん勝利。
売れなかったらKタカさん勝利。
・罰ゲーム
ツチノコさん勝利でYカニさんがビキニカラテ。
Kタカさん勝利で・・・・

あれ?Kタカさんが勝利したらツチノコさんは何をさせられるんですか??




負けたらまぁ無難なところで「シャチホコ」か「ひょっとこ」にでも
改名とかその辺で良いんじゃないでしょうか。







Kタカァァァァァァァアア!!

そう、今回のプレイ記においてはKタカ氏にはなんのリスクも無い。
いや、確かに鬼硬派サイト墓標のTOPに「ToHeart2」を設置させるだけでも大した事かもしれない。
だが、こちとらサイト閉鎖すら考えるほど追い詰められたのだ。
そんな事だけでは許せない・・・・・・・っ!!




限定版だろうが、なんだろうが、ネタになるモノをもぎ取って・・・



ネタに出来るものは、全て費やして・・・・・・!



シンジ育成で成しえなかった、
アレを・・・・・・!!







★裏テーマ★
このテクストを通じて鬼硬派サイトである墓標さんとこのKタカさんから
「アスカ育成するから、もうToHeart2は勘弁してくれ!」と言わせれば完全勝利


無論、この状況下で1本売れただけでは、了承すまい。
Yカニさんにビキニカラテをプレイさせて、生贄による事後処理は完了だ。
・・・・・・だが、2本、3本と売れればどうか?
墓標の絵板に「ToHeart2」絵が溢れ、墓標の掲示板に「愛佳かわいいよ愛佳」
コメントが溢れれば、どうなるか!?

もう、こちらは引き返せないーーーーー

賽は、投げられた。
あとはーーーー、賭場に、引き込む。
引き込んでみせる!!




あ、結局アニ●イトでは恥ずかしくて購入出来ませんでしたので
墓標さんところのamazonで買いました。

<続く>




第零弐話 「序章」


・・・よく見ておけ。







部屋の窓を締め切り、カーテンを閉め、ドアの鍵をかけ、
テレビにコードを延長したイヤホンをつける。

マンション潜伏中の過激派か。

一体、俺はどうしてこんな後ろめたい気持ちでゲームをしようとしてるのか・・・・・・

ーーーーー何はともあれ、




プレイーーーー開始!

何かデモムービーでも流れるのかとボーーっとタイトル画面を眺めていたが
無音のまま動かないので、「はじめから」を選択。

鼻にかかったような女性ボイスで、名前の登録をアドバタイズされる。

こういうゲームで名前登録といえば、漢は黙って実名プレイという
悶絶度倍増の遊び方がむしろ王道と云われている(民明書某刊)が、
本作では、デフォルト名でないとヒロインが名前をボイスで呼ばないので、
ここは好みの分かれるトコロであろう。

デフォルト名は「河野 貴明」(こうの たかあき)
全国の河野さんや貴明さんは、デフォルト名で名前もちゃんと音声入りなので
普通のファンの100倍は恥ずかしさに悶える事ができるよ!

あと、あだ名は苗字からとって、「たか」
「たか」と名前や苗字につく人や、実際にあだ名が「たか」と云う人は結構居るはず。
あだ名でも充分、いや、普段呼ばれているあだ名だからこそ、恥ずかしさ倍増という
悶絶プレイも楽しめる訳だ。こちらのタカ君も、ひとつ遊んでみては如何だろうか。

なお、ここの管理人には、苗字にも名前にも「たか」と云う2文字は絡んでいないし、
実名プレイで挑めるほど漢には成りきれないので、デフォルト名のまま開始。

暫く、「タカ君」と呼ばれる日々が、いよいよ始まる。




ーーーーピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ、

かちゃ。

布団の中から手を伸ばし、目覚まし時計のスイッチをオフにする。

ーーー朝。まだ残る眠気にのろのろとした動作をしつつ、カーテンを開ける。
シャッ、と短い音とともに、朝日が差し込む主人公の部屋。
フローリングの広い部屋は清潔感があり、主人公の性格が現われているようだ。
恐らくはキチンとした性格の、真面目な学生なのであろう。

よく晴れた、気持ちの良い朝。
時刻は、・・・7時。いつも目覚める時間より、30分早い。


(あれ・・・?何でこんな時間に、目覚ましをセットしてるんだろう・・・)

恐らく、自分でセットした筈の時刻だが、主人公の頭は睡魔で霧がかかり、
セットしたであろう理由に、思考が届かない。
登校まで余裕の有る時間帯に、そのまま布団に包まり、二度寝をしようとする・・・・・・



ピンポーン

玄関の、チャイムの音。



ピンポーン

ピンポーン

ピンポーン



何度も何度も繰り返されるチャイムの音。他の家人は、何故か対応する気配を見せない・・・

已むを得ず、布団からのろのろと起き上がり、玄関に足を向ける主人公。

だが、玄関の前に立ったところで、ふと違和感を感じ取る。
・・・なにか、いつもとは異なった雰囲気。

料理の音がしない。テレビの、ニュースの音がしない。
・・・何時もの朝の喧騒が、なにもない。


(・・・・・・あ、そうか。
今日から親父もお袋も、出張で家を留守にするから、誰もいないんだっけ)


(今頃は一緒に異国の地だ。そう簡単に戻って来れない



・・・とても判りやすい状況説明を有難う。
ギャルゲー主人公の家に、
親父とお袋の存在など不要っっっ!!!

と云わんばかりのお約束の展開だ。ご丁寧に異国まで飛ばされている上に、
そう簡単に戻って来れないという念まで押されている。家族愛より、下心。


玄関では、未だにチャイムが連呼されている。

慌てて玄関の鍵を開けようとした主人公の手が届く前に、ドアが、外から
ガチャリ、と音を立てて鍵を開けられた。

「ありゃ?」

開くはずのない扉がゆっくりと僅かに開き、そのドアの隙間から
見知った顔が、申し訳無さそうに覗いている。


「このみ?」


「あれれ、タカくん。なぁんだ、起きてたんだ」

名前登録のアドバタイズでも聞いた、鼻にかかったような女性ボイス。
ビジュアルノベルなのに、音声が入っているというのは、なんとも違和感が拭えない。

正直な話、ここの管理人は碇シンジ育成をやったり、月姫をやったりしてる時点で
ToHeart2プレイにそこまで抵抗を示すのはおかしな話であると思われるだろう。
ギャルゲーどころかエ●ゲーまでやった事が有るのだから、今更だ。

・・・だが、ひとつ言わせて頂けるなら、このボイス有りというのが、クセモノなのだ。
音楽や映像で補完するとはいえ、文章がメインであるビジュアル、サウンドノベル等は
読み手のイメージで世界観やキャラクターイメージが大きく異なって映る。

同じキャラでも、読み手の好みに併せてキャラクターが再構築される。
それがノベル系ゲームの優れた部分でもあるのだ。

が、音声が入ると、それがどうにもはかばかしくない。
よく「声優が下手で、キャラクターのイメージが壊れてしまった」という話しがあるが、
「声」というのは、キャラクターイメージのなかでも重要なファクターを占める。

既に漫画やアニメ等である程度パターン化された日本のキャラクター像においては、
顔があり、声が有れば、もう殆どそのキャラクター像はイメージが固定される。
想像の余地をひとつ失うという事は、ノベル系のゲームにおいては大きなマイナスと言えるのだ。

まして、その声や喋り方がカンに触るとなれば致命傷だ。
世の中には、喋り方や声だけでイラッとくる人というのも、確かに存在する。

 

「さ●う珠緒さんや、小倉ゆ●こりんが苦手な人(主に女性)等は、
容姿よりも喋り方にイラッとくる人が多い」と云えば判りやすいであろうか?

本人に悪気は無い。どうしようもない部分ではあるのだが、これは対人における
生理的な部分なので、どうしようもないところなのだ。



「あれれ、タカくん。なぁんだ、起きてたんだ」

そして、ギャルゲーヒロインの喋り方といえば、
概ねこの系統。


ヽ(`Д´)ノその甘ったるいボイスがどうにも苦手なんだよぅ!!


また、逆例として

 

「さ●う珠緒さんや、小倉ゆ●こりんが大好きな人(主に男性)等は、
容姿よりも喋り方に萌え〜とくる人が多い」と云えば判りやすいであろうか?

その声が逆にイメージ通りだったりした場合、プレイヤーの多くがそのまま悩殺されて
二度と帰れぬ世界へと足を運んでしまう場合も往々にして有る。



良きにせよ、悪しきにせよ、とかく、ボイスというのは危険な存在なのだ。

そして、ここまで文章を書いて読み返してみてToHeart2を売るのに逆効果な事を
口走っている事に後から気がついた。
ゲームは冒頭からわずか1分でプレイが止まっている。







「柚原(ゆずはら)このみ」

隣に住んでいる一つ年下の幼馴染。
このみの家とは家族ぐるみの付き合いが多く、幼少より一緒に居る事が多い。

幼馴染キャラといえば、同い年で、学校もクラスも一緒というのが定番だが、
こちらは年下で、まだ中学生。一緒に登校するものの、学校も高校と中学なので、当然別だ。


「えへ〜。留守のあいだ、タカくんのことお願いしますって、頼まれたんだ。
だからタカくんが寝坊しないよう、こうやって起こしにきたんだよ」


母親から預かった主人公宅の合鍵を見せながら、笑顔を見せるこのみ嬢。
普段はこのみの方が寝坊ばかりなのに、と苦い表情のタカ。


「ふふふ〜、タカくんすごい寝癖」

そういってタカの頭をポフポフ触るこのみ。
年齢の違いは1才あれど、幼馴染である二人の気安さは相当なものだ。


「えっとね、せっかくだし、ごはんを作ってあげようかなって」

普段の寝坊どころか一時間も早く迎えに来て、さらにごはんも作ると言い出すこのみ嬢。
タカの事を頼まれて大張り切りなのか、のっけからテンション全開だ。


「珍しい・・・・・・というか、作れるのか?」


「む〜。今、さり気なくヒドイこと言った」



膨れっ面のこのみをなだめて、朝の喧騒のない我が家へと上げるタカ。
顔を洗いながら、今日から一人暮らしか・・・・・・と複雑な心境。
ここで「数ヶ月、場合によっては数年」と更に文章による両親追放を促すタカ。

入念な主人公の両親追放を促す文章に、ソニーチェックは大丈夫だろうかとやや不安になる。



コーンフレークと牛乳、くさやという献立をこのみと二人で食し、のんびりと朝を過ごす。
ソファでうとうととするこのみを微笑ましげに見ながら、時間はまだ有るな、と
時計を見ると、時計の針が動いていない。


「タカくん、はやくはやく〜〜!」

お約束の展開に、学校までの全力疾走をするハメになる二人。
一見おっとりしてそうなこのみ嬢だったが、男のタカよりも先を
平気な顔で走りながら、笑顔で手を振っている。

全力疾走にへばって、流石にもう無理だと、ぼやくタカ。
こんなところで休んでたら遅刻しちゃうよ、というこのみに


「だから、無茶言うなって・・・・・・。人には、出来る事と出来ない事がな・・・」


「それならだいじょうぶだよ」


「?」


「タカくんのことなら、ちゃんと知ってるんだから」

そう言って、信頼しきった微笑をみせる、このみ。
爽やかな音楽も流れ、恐らく物語のキーとなるであろう言葉を呟くこのみ嬢を見ながら
もう、このままエンディングでいいんじゃないかと正直思っていた。
いいじゃないか、このまま何もトラブルないまま幸せに終われれば・・・・・・




二度目に迎える高校の春。

なぜだろう。
最近、わけもなく胸の高鳴りを感じることがある。

春の陽気のせいだろうか。
それとも、なにか新しい予感めいたものを感じているんだろうかーーー。





ムービーと共に流れる
ハートフルな主題歌

いよいよ、物語の始まりである。次回から。
プレイして実質二分くらいだけど、こんなプレイ記があってもいいのでないだろうか。
プレイ記三回目にして実質ゲームを殆ど取り上げていないのだが、こんなプレイ記があってもいいのでないだろうか。



つ、次、ちゃんとやりますから!ね!

<続く>




第零参話 「予言」


「はぁ、はあ、はぁ、はふ・・・・・・
ここまで走れば、もう大丈夫だね」


学校前の交差点で、笑顔をみせるこのみ嬢。
隣の主人公は、ぜぃぜぃと息を荒げている。
主人公の運動不足を差し引いても、この細身のヒロインは、かなりの持久力の持ち主のようだ。


「あ、そうだ。タカくん、今日の晩ご飯はどうするの?」

ようやく歩いても間に合う距離までを走り、二人して今日の夕食の話しをする。
からっぽの、主人公宅の冷蔵庫。
当然買出ししなければどうしようもない状況で、


「後の事はともかくとして、とりあえず今日は、
どこかで弁当でも買って食べるよ」



「お弁当なんだ・・・・・・あのね、タカくん」

そう、このみが何か言いかけたとき、後ろから誰かの走ってくる音。




「ゼィ、ゼィ、ゼィーーーやっと・・・・・・追いつけたぜ」

追ってきたのは、学生服の男だった。
幼馴染の「向坂雄二」。
旧家、名家の家柄で、今でも地元の名士である向坂家の息子。金持ち。


「あ、ユウくん、おはよ〜」


「おはよ、雄二」


「おはよ、じゃねえだろ!この薄情者ども!
人を追い抜いた挙句、置き去りにするこたねぇだろ」


「あれ、雄二、前に居たのか?」


「いたんだよ。待ってくれって何度も声かけただろ!
小さくなってくオマエら見て、せつなさ炸裂しちまったじゃねぇか!」


「全然気付かなかったよ」


「嘘こけ、このチビ助が!『先に行ってるね〜』とかぬかしながら
追い抜いてったろうが、くのぉー!」

そういってアイアンクロー(注)をこのみにかける向坂雄二。
二枚目で金持ち、イヤミっぽくない口調の雄二は、中々のナイスガイだ。
こういうキャラはキライじゃないよ!

主人公の当て馬としては、この上ない手合であるが、顔立ちが端正すぎて
近年増え続けるボーイズラブ系のキャラみたいに見える。
ホ●エンドとか有ったらどうしよう

(注)向坂家 必殺技解説



アイアンクロー

現代、特に日本人では使い手のない技だが、“温故知新男”中西学がたまに見せる。
ヘッドロックなど頭部攻撃の一部として使用。



「そういえばユウくんのトコ、
メイドさんが来てお食事とか作ってくれるんだよね」



ヽ(`Д´)ノやっぱキライだ、こいつ!






「ありゃメイドさん違う、家政婦さんだ!」


「・・・・・・同じじゃないの?」


「違う、全然違う!メイドさんと家政婦の間にはな、越えられない壁が・・・
ロマンってもんがあるんだよっ!!



なんだか強い口調で力説する雄二。
確かに、市原悦子さんをメイドと称するのはやや無理が有る。
世のメイド萌えと称する諸君も、メイドは老化成長すると家政婦にジョブチェンジする事を忘れる無かれ。


「ったく、人を雇う金があるなら、メイドロボを買った方がよほど経済的だろうに。
うちの家族は全員、機械とか敬遠するからな。どうして、ああも考え方が古いんだか」

メイドロボ?



前作をご存知の方には、もはや解説する必要も無い事だが、前作「ToHeart」において
大人気を博したのが、この「メイドロボ」と称される、通称「マルチ」。

メイドロボ試作機として学園に二週間テスト編入される、といった形式で
前作の学園風景にちょっとした異世界感を交えつつ、シナリオを盛り上げた存在らしい。



上の絵でも判るとおり、プレステへの移植時にはメインヒロインより扱いが上。
マルチが商品を宣伝し、メインヒロインは後ろで内職させられている。不憫だ。

前作では見事にヒロインを喰う人気ぶりを博し、多くのプレイヤーに
「車やマンションよりもマルチが欲しい」とリアルに言わしめた。
オタと一般人の間によりいっそう越えられない壁を設けたのである。

ここで雄二から、その「メイドロボ」の存在が語られた以上、
恐らく本作でも登場するのは間違いない。氏の推察は今のところかなりの確率で当っている。


「このみ〜〜!」

雄二がメイドのロマンを力説していると、後ろから今度は女の子の声。
その声に、なぜか、ぎくり、と身を固める主人公。



二人組みの女の子が、駆け寄ってくる。
黄色いリボンと、青い制服。このみと同じ中学生の娘たちだ。


「おはよ〜」


「あ、ちゃる〜、よっち〜。おはよ〜」


「・・・・・・おはようございます」


「先輩も、おはようっス!」

そう中学生の女の子に挨拶されて、すこし言葉に詰まる主人公、タカ。
きりっとしない挨拶を返すものの、慌てたようにそれじゃあ、と
このみ達と別れて学校へ向かおうとする。


「え?もう行っちゃうの?」


「結構ギリギリだからね、のんびりとはしてられないだろ?」


「う、うん・・・・・・それじゃ、ここでね」

少し寂しそうな表情のこのみだが、合流した友達を連れて中学校へと駆けて行く。

その後ろ姿を眺めながら。主人公タカは、ふぅ、と一息ついていた。


「・・・相変わらず、女が苦手か」


「別に女が苦手ってわけじゃない。
ただちょっと、何ていうか、どう接していいかよく分からないだけだ」


「おんなじじゃねぇか・・・・・・」

そう指摘されて、返す言葉の無い主人公。
どうやら彼は、女性に対し少し苦手意識を持っているらしい。
幼馴染のこのみ以外の女性には、うまく言葉を返すことすら出来ない様子。


「その、なんつーか・・・・・・悪ィな」

何故か謝る雄二。それに首を傾げるタカ。
・・・・・・どうやら、幼少時になにか、トラウマとなる事件が有った様子。
だが、それが何なのか、雄二は語らないし、タカも思い出す事はなかった。





学校に到着。
その後は、特に誰とも出会うことも無く、教室に入り、授業が始まる。



・・・今日から、3月。
テストも終了し、後は春休みを迎え・・・そして、新学期に入るのを待つばかりだ。
横では、雄二が期末テストの答案用紙をみて叫んでいた。
顔も良い、金持ち、だが、秀才という訳ではない様子。


「ま・・・・・・いいや。人生勉強が全てじゃねぇしよ。
人生のキモは、いかにして、かわゆいギャルをゲットするかだぜ!」

その言葉に、それは違うだろうと返すタカの返事に、
何故かなにか言いたげな表情を見せるも、結局雄二はそれもいいや、と返す。

・・・だが、朝からの雄二の態度に、なんとなくすっきりとしないタカ。





昼休み。


「べつにいいだろう?女の子苦手でも。
雄二に迷惑かけてないし、むしろライバル減って雄二としては
ありがたいくらいじゃないのか?」


結局煮え切らない雄二の態度に業を煮やし、食堂で問い詰めるタカ。

そのタカの問いに、雄二は暫く黙っていたが、食事の箸を止めて、
ようやくその口を開いた。


「ずばり言っといてやる」

「おまえには、女難の相が出てる」


「女難の・・・・・・相?」


「俺のカンは、ときどきよく当るんだよ」

旧家の家柄である雄二には何か不思議な直感力が備わっているのか。
確信めいた口調で、そう断言する雄二。

だったらそのカン、テストで使えよ、と突っ込むタカに
一瞬険しい表情を見せたものの、結局投げやりに


「今まで女を相手にしてこなかったバツだな。せいぜい覚悟しておけよ」

そういって、雄二は世の相手したくても相手されない男性諸兄を敵に廻す
二枚目にしか発言が許されないセリフを吐いた。


ヽ(`Д´)ノやっぱキライだ、こいつ!





放課後。



「みんなぁ、ちょっと待ってぇ〜!連絡事項があるからぁ〜」

教室に広がる間延びした声。
帰宅しようとしていた連中からブーイングが挙がるなか、一人の女子が教壇に立つ。



「はぁい、注目注目。男子早く座ってよぉ〜。
騒いでるだけじゃ終わらないからぁ〜」


教壇に立ったのは、クラス委員長である「小牧愛佳(こまき まなか)」。
ヤサカニさんが心酔し、WEB拍手でもやたら薦められるヒロインの一人だ。
今のところ、ヒロインを喰ってトップ人気のヒロインらしい。

舌足らずな喋り口調、おっとりした雰囲気、物事を率先するより、
押し付けられる事が多そうな、損なタイプの委員長。
・・・だが、意外とクラスのまとめ役として成り立っているらしく、
騒いでいるクラスメイトも、結局しぶしぶと席に戻り、滞りなくホームルームが始められた。


「・・・そこで、明日から一週間は遅刻取締り週間として、
予鈴の時点で校門を閉じることになりました」


その言葉に、普段(このみが)遅刻ギリギリの主人公は、ぎょっとした反応をする。
他の学生も、横暴だと大騒ぎだ。

一時は喧騒に包まれたホームルームだが、小牧嬢のマジ泣き寸前の表情に
結局(自主的に)収集された。こういうまとまり方をしているらしい。

最後は、配布物のプリントを一人づつ配ろうとしたものの、
当然のようにクラスメイトにもみくちゃにされてしまう。



「委員ちょ、こっちも一部くれ!」

「こっちは三部、委員ちょ、早く早く」

「委員ちょー、あたしまだもらってない〜!」


「うぅぅあぁぁ・・・・・・あああたしは委員長じゃない〜〜〜!」

・・・・・・委員長じゃなくて、副委員長だった。
本物は事故で入院中らしいが、いい加減なタイプだったらしく、入院以前から
殆どの業務を副委員長の小牧嬢がやっていたらしい。
あだ名が委員ちょになっているくらいだ。もはやクラスの暗黙の了解なのだろう。


「エブリバデー、みなの衆、グッモーニング、元気していたかね!」

その後、花輪クンみたいな登場をしながら早々に本物の委員長が帰ってきたが、
顔も用意されていないチョイ役だったので、
小牧嬢に委員長役を任せてその場で引退。

結局登場からものの3分もしないうちに、小牧嬢は副委員長から委員長になった。
新委員長就任に沸くクラス。かなりの人望を持つ小牧嬢。
伊達にあだ名が委員ちょではない。伊達にWEB拍手で皆がいいんちょルートで!
名前ではなく役職でキャラクターを押してくる訳ではない。
お陰で、最初WEB拍手で何を言われているのかさっぱり判らなかった。


「そそそ、そんなあああぁぁ〜〜〜!!」

後に残るのは、今後益々仕事を押し付けられていくのであろう
小牧嬢、いやさ委員ちょの絶叫のみであった。





ようやく、選択肢が出てきたよ!

そんな訳で、放課後の学校から移動開始。
「学校」「校門」「街」などを大雑把に行き先を選んでいくと、そこに
女の子か、行き先のアイコンが表示されるという訳だ。

ぐるりと移動先を見渡すと、校門にこのみ嬢がひとり。
他にはシカトして自宅に帰るという選択しか残っていないので、とりあえず校門へ移動した。




「タカくん、一緒にかえろ」

案の定、校門で待っていたこのみ嬢。
一緒に帰ろうと、時々、こうして門の前で待っててくれるらしい。

帰ろうと思った矢先、家の冷蔵庫が空なのを思い出すタカ。
今日はスーパーによって帰るから、と返答するタカに、
当たり前のように寄り道も楽しいから、とついてくるこのみ嬢。



スーパーで、今後の生活の為レトルト食品をまとめ買いしようとするタカ。
インスタント麺やコーンフレークといった食事に、眉をひそめるこのみ。


「もぅ、そんな身体に悪そうなのばっか。
ちゃんと栄養のバランスとかも考えないとダメだよ」


そうはいっても、男の一人暮らし、まして学生に毎日自炊は無理がある。
このみは、暫く考えた後、


「ねぇ、タカくん。今朝も言おうと思ったんだけど、
それならウチにおいでよ」


幼い時から家族ぐるみの付き合いの柚原家。
食事に行った事も初めてではないし、悪い提案ではない。
当然、毎日顔を出すのは迷惑だろうが、時々ならば・・・


「しかも、今夜はスキヤキだよ!」


(ーーースキヤキ!?)



昭和の子供じゃあるまいし、と思ってしまいそうになるが、
すき焼きといえば、庶民のちょっとした贅沢料理。
この一言にタカの心が大きく揺らぐ。


「ま、まぁ、このみがそこまで言うなら・・・・・・」


「ホント!?やた〜!タカくんが食べに来るのって、何日ぶりかな〜。
そうだ、お母さんに電話してこないと!」




万歳して喜ぶこのみ嬢。 お母さんに電話してくるね!と駆け出そうとした時、
ハッとして、やっぱり止そうと返答を切り替える。


「あ、いや、待った・・・やっぱり止めとくよ」


「え〜〜っ、どうして?」

そういって不満顔のこのみ嬢。
だが、一人暮らしは今日、始まったばかりだ。
柚原家には、この先何かあってお世話になったり、迷惑をかける事になるかもしれない。

窮するまでは、なるべく迷惑をかけないで置こうと考えたタカは、
結局このみの提案を断る事にした。


「む〜〜っ、遠慮なんかしなくていいのに・・・」

そういって、このみ嬢は寂しそうにつぶやいた。
家族ぐるみの付き合いではあるが、タカはしっかりした良識を持って育った様子。
他人の好意に甘えず、迷惑をかける事をなるべく避けようとするタカだったが、
このみはそれを、なんだか寂しく感じていた。












タカの選択は、果たして正しかったのであろうかーーーー?



ーーー夜。



さっそく、買いだめのカップ麺で夕食を取ろうとしたところで、
玄関にチャイムの音。

玄関には、深皿を手にしたこのみの姿。
深皿には、夕食のすき焼きが湯気を立てて入っている。


「おすそ分けだよ。お母さんが持ってきなさいって」


「そっか、ありがとな」


「それから、お母さんからの伝言です。」

そういって、このみは腰に手を当てて、大きく息を吸う。


「一丁前に、遠慮なんかしないの!
まだ子供なんだから、甘えられるウチは甘えとく!

次に変な遠慮したら、ケツの穴に手ェ突っ込んで、
味噌汁流し込んでやるからね!






殺す・・・・・・器官を・・・・・・!


器官を・・・・・・!


(味噌汁で)


肛も(re 器官を・・・・・・!




「・・・・・・」


「・・・・・・だって」

どうやら、柚原家の母親はかなり豪気な性格らしい。
母親の真似をそのまま伝えるこのみですら、この迫力。
本物の迫力は、如何ばかりのものなのか。



次に遠慮したら、白味噌が赤味噌に変わりかねない恐怖の拷問が待っている。
・・・これは、近いうちに(半ば強制的に)お宅訪問する事になりそうだ。


「それじゃあタカくん、もう行くね。また明日ね」

明日もちゃんと起こしに行くから、安心してねと残して去っていくこのみ嬢に、
むしろ明日からの遅刻週間が心配に感じる、一人暮らし初日の夜であった。

<続く>

◆今回の、当ゲームお奨めポイント◆

親友の雄二君は、中々のナイスガイだよ!
あの端正な顔つきは要注意だ!●モエンドがあるやも知れぬ。

え、初登場の委員ちょはどうだったかですって?





いや、まだ始めたばかりだし、ヒロイン二人とも脱力系でカブってるしねぇ・・・




第零四話 「切欠」



(・・・・・・来ない。)

・・・・・・翌朝。
そろそろ学校に行かなければ間に合わない時間帯。

昨日「明日もちゃんと起こしに行くから、安心してね!」と張り切っていたこのみ嬢だが、
どうやら気合は1日しか持たなかった様子。
仕方なく、様子見ついでに、このみの家・・・柚原家に向かうタカ。

既に通いなれた柚原家の門の前に立ち、インターホンを一度押す。

♪ピンポーン。

『ハ〜イ、どちら様ですか?』

落ち着いた、女性の声。
パタパタとスリッパの音が近づいてきたと思ったら、勢いよく玄関の扉が開く。



玄関に現われたのは、黄色いエプロンの似合う、可愛らしい女性。


「あら、タカくん。おはよ〜」


「おはようございます」

礼儀正しく、朝の挨拶を返すタカに、相手の女性・・・このみの母親は、優しい笑みを浮かべる。

「柚原 春夏(ゆずはら はるか)さん」

優しい表情とは裏腹に、結構パワフルなおかあさん。
外見上は、とても中学生の娘が居るとは思えない、新妻のような初々しさ。
というか、若すぎる。セーラー服を着せてしまえば他のキャラと何の区別もつかない。



昨日は、この可愛らしいお顔でケツの穴とか言っていたのかと思うと
それはそれで怖ろしいモノが有る。怒らせると怖い。色んな意味で怖い。

というか、昨日は女子中学生にケツの穴とか
(フルボイスで)言わせていた
ワケだが、
これはソニーチェックでOKだったのだろうか?

ちなみに、おばさんというと怒るらしい。あ、ちょっと年増臭が


「それで、このみ・・・・・・どうしてます?」


「ちょっと待っててね〜、すぐに呼んでくるから」


パタパタとスリッパの音を立てて、2階に駆け上がる春夏さん。
ほどなくして、



『このみ!いい加減に起きなさい!
タカくんが迎えにきてくれたわよ!!』




・・・ビリビリと空気が震える音。キーン・・・と耳鳴りが聞こえるほどの怒声。

『ふあぁ!?』

ドスン。

・・・二階から、大きな物音。このみの小さな叫び声。

『ああっ、もうこんな時間!?ひどいよ〜お母さん!
どうして起こしてくれなかったの!?』


『起こしたわよ!何度起こしても起きなかったのは、このみでしょ!』

二階からは、聞き慣れた親子の会話。
・・・昨日の事は、一日限りの奇跡だったようだ。


「・・・・・・じゃあ、先にいってるな」


「ああん、待ってよ〜!ちょっとだけ、すぐに仕度してくるから〜!」

今だパジャマ姿のこのみに、時間がかかりそうだな、と思いながらも
必死に待ってと繰り返すこのみを置いていけないタカ。
結局今日も、このみに付き合っての全力となりそうだ・・・・・・


「ごめんね〜。何度も起こしたんだけど、
あの子、寝起きが悪いから・・・」



「いえ、まぁ、いつものことだし・・・・・・」


「うんうん。良きかな良きかな」

頭をかいてるタカを見ながら、なぜか春夏さんは微笑みながら、ご満悦そうに頷いていた。



学校前の、交差点。


「うわ、まずっ!」

ーーー本日から、遅刻取締り週間。
普段ならもう少し余裕があるはずの時間にも拘らず、周囲の慌しい学生達を見て
その事を思い出したタカは、このみへの挨拶もそこそこに、大慌てで学校に走る!

学校までの坂道を、遅刻ギリギリ組の学生達に混じりながら猛ダッシュ。

ぜぃぜぃ云いながら、必死に坂道を走り抜けると、今まさに校門が閉まろうとしている。
ーーーあとわずか!ここで遅刻するわけにはいかないと、最後のスパートをかけるタカ!




「わあああっ!ちょっと待ったあああ!」

閉じかけた校門の隙間に、強引に身を捻らせて滑り込む!
ギリギリ、セーフ!
運動不足と達成感に、その場でがっくりとひざをつくタカーーーーー


「ちちちちょっとそこ止まるなああああ!!!」


「え?」

呆けた表情で振り向くと、そこには自転車の後輪をドリフトさせながら、
校門の直前で急停止する女子の姿があった。



ーーーーガシャン。

女子の目の前で、無常にも、門は閉じられた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

恨めしげに、目の前のタカを睨む女子。
結果論ではあるが、タカが目の前で立ち止まってしまったお陰で
彼女は遅刻する事となった・・・と思われているようだ。
実際間に合ったかは微妙だが、彼女からすればその可能性の芽を摘んだタカが恨めしいのは仕方ない。

申し訳ないな、と思いながらも謝らずに教室に向かうタカ。
礼儀正しいと思っていた彼だが、こういうトコロはシビアだ。



「ふう。ギリギリセーフだったよね、タカくん」


「・・・・・・なんでお前がここに居るんだ





何故かタカと一緒に高校に駆け込んでしまったこのみの事は丸投げして、昼休み。
食堂に急ぐタカ。食堂まであと少しのトコロで、
前から歩いてくる女の子とすれ違った。




「♪たっまご、たっまご、タマゴサンドを食べちゃうぞっと♪」

購買のサンドイッチを持って上機嫌の女の子。
既に購買では、苛烈なパン争いが始まっているようだ。慌てて食堂に駆け込むタカ・・・

・・・・・・

あ、あれ?彼女ヒロインの一人だよね?
ファーストインパクトは、ホントにすれ違っただけで、終了してしまったんだけど・・・

食事を滞りなく終了し、教室に戻るタカだったが、職員室の前で担任に呼び止められる。
プリントの束を手渡され、委員長に渡してくれと頼まれる。
三年生送辞のアンケート。昨日と同じく、ホームルームに配ってくれとの事だった。
まあいいか、と軽く請け負い、教室に戻ると、ちょうど目の前に委員ちょ、小牧嬢の姿。


「おーい、小牧さぁん」

声をかけると、素直な笑みでこちらに近づいてくる小牧さん。
挨拶を交わして、早速プリントを渡して御役御免、となる。
・・・はず、だったのだが・・・

「委員ちょ、次の授業は教室だっけ?」

「宿題の期限って今日じゃなかったよね、委員ちょ」

「あー、次休講にならないかな、委員ちょー」

周囲から、次から次に質問攻めや駄話が投げかけられる小牧さん。
流石にぞんざいな扱いに腹をたて、頬を膨らまして反論する小牧さん。


「い、いいんちょいいんちょって、気軽に呼びつけないでよ!」

半ば・・・いや、殆ど押し付け気味にあてがわれた、委員長という役職。
副委員長の時ですら推薦で押し付けられ、さらに実務を殆ど押し付けられ、
最後には委員長という肩書きまで押し付けられたのだ。
彼女からすれば、いいんちょ、等と呼ばれるのはいい気がしないのも当然だろう。

だが、クラスメイトからすれば、もはや小牧さんを委員ちょと呼ばない方が違和感が有る様子。
小牧さん、と名前で呼ぶタカの方が少数派なのかもしれない。


むきーーっ!!次は教室!宿題は来週!!
そんなの知るかーーっ!!!




問いかけてきた三人に半ギレながらも律儀に返答して、追い散らす。
肩で息をしながらも、なんとか体制を取り繕って、こんどこそタカと小牧さんの会話。


「河野くんは、あたしのこと委員長って呼ばないんですね」

そういった彼女は、にっこりと笑顔。垂れ目が細く円を描いて、笑顔が柔らかい。
本人の嫌がることをやらない、という理由できちんと名前を呼んでいるタカだが、
小牧さんにとっては結構嬉しい事なのかもしれない。


「これ、今日の配布物・・・・・・」

だが、その柔らかな笑みから一転、タカのプリントを見て、
とたんに寂しそうな表情を見せる小牧嬢。


「・・・・・・そうですよね」

「みんなにとって、あたしなんて、ただの委員長でしかありませんから」


便利屋扱いの自分の立場に、あたしの一生ってきっとこんな風に過ぎていくんだ
拗ねた表情を浮かべた。ふと気がつくと、小牧嬢の足元には、教材の入ったダンボール。
・・・既に、何かを押し付けられていた状態だったらしい。

流石に気の毒になり、手伝いを申し出るタカ。
彼女の拗ねた表情と悟ったような言葉。態度は、軽い。
だが、これは存外彼女の中にとっては大きな問題なのかもしれない・・・・・・





放課後に入り、移動開始。

・・・だが、ぐるりと移動先を見渡しても、前回と同じく校門にこのみ嬢がひとり。
他にはシカトして自宅に帰るという選択しか残っていないので、
結局前回と同じく校門へ移動した。



校門で退屈そうに空を見上げていたこのみ嬢。
だが、タカの姿を見かけるとぱぁっと笑みを浮かべて嬉しそうに駆け寄ってくる。


「待ったか?」


「ううん、今きたとこだよ」

本当は結構待っていたんだろうけど、けしてそうは言わない、このみ嬢。
それを気付いているタカは、そっか、と返してこのみの頭をクシャリと撫でる。
くすぐったそうに目を細めるこのみ嬢。愛犬のようなしぐさと、混じりけの無い好意は
「ハートフル」のお題目に相応しい暖かさ。



夕暮れの帰り道を、二人並んで歩く。
会話はないものの、けして気まずいような事はない。
二人で並んで帰る事。それだけで二人は満足できる仲だった。
もういいじゃないか、このままエンディングでも・・・・・・

橋を渡り、堤防の階段を降りる。
・・・ふと、隣のこのみがいない事に気付いた。


「・・・・・・このみ?」

このみは、階段の上で立ち止まっていた。
階段の手すりを見つめながら、なにやらウズウズとした様子・・・・・・


(まさか・・・・・・)


「タカくんタカくん、見てて〜〜!」



腕をぶんぶん振り回して、このみは階段の手すりに飛び乗り、
そのまま綱渡りのようにその上をバランスを取りながら歩いてくる。


「よッ、ほッ、とッ・・・・・・」

掛け声でバランスを取り、階段の手すりを歩いてくるこのみだが、
何度見てもタカはこれが心配でならない。



手すりの向こう側は急になっている。落ちれば怪我するかもしれない。
・・・しかも、このみはバランス感覚は良い方でないのだ。
これも、最後まで渡りきれたことは一度も無い。




「このみ、危ないって」


「だい・・・・・・じょうぶ・・・・・・だよ・・・・・・」

フラフラしてて、全然大丈夫そうに見えない。
しかも、直ぐにバランスを崩してわたわたと手を振りまわす。
最後はバランスを保てないと悟ったか、一気に手すりを駆け下りてきた。


タ、タカくん、どいてどいて〜〜!

声を上げて突っ込んできたかとおもうと、一気に跳躍して下に飛び降りる。
ズザザザザーー・・・と着地場所で擦れる砂の音。


「ふ〜、危機一髪。あ〜あ、あとちょっとだったのにな」

そういって心底残念そうな表情を浮かべるこのみを小突いて、
危ないから止めろと諭すタカ。だが、このみは大丈夫と繰り返し、懲りた様子もない。
目の前に楽しい事が有れば、注意なんか上の空。まるで幼い子供だな、と困った表情のタカ。
どうすれば、このみを上手く諭せるかな・・・・・・


「そんなスリルを味わいたいなら・・・」

1.遊園地にでも行って

2.何かスポーツをしてみたらどうだ

3.家に帰って・・・・・・


と、ここで初めて登場の選択肢。 好感度に影響が有るのだろうが、選択肢を見る限りでは、
どれもさしたる正解に見えない。
特に決定打もないので、一番定番そうな「1」を選択しておいた。


「遊園地にでも行って、ジェットコースターでも乗ったらどうだ?」


「え!?もしかして、遊園地に連れてってくれるの?」

やぶへびだった。

大喜びで、今度の日曜日ね!と約束を迫るこのみ嬢だが、
こちらが誘ったことになってしまっては、絶対に奢らされてしまう。
一人暮らし始めたばかりのタカに、経済的な余裕はない。
用事が有るから、となんとか約束を誤魔化そうとするタカ。


「・・・もしかして、タカくん、行きたくないの?」


「い、いやいや、そんなことないって」


「じゃあ、どんな用事?」


「それは・・・・・・お、漢には人には言えない
用事ってやつがあるんだって」



「男の人の?・・・・・・・・・」








「・・・・・・そ、そうなんだ・・・・・・」


言って、何故か頬を赤らめるこのみ嬢。
どうやら、漢の用事というのを相当飛躍して想像してしまったらしい。
納得はしてくれたものの、どうにも納得の方向性がおかしい。


「そういう用事なら仕方ないよねっ!」



このみ嬢がはたしてどんな漢の用事を想像してしまったのかは不明だが、
子供っぽいながらも、中学生らしいおませな部分が有る様子。
あんまりおませな事を覚えると、
悪い人に妖滅されちゃうよ!

小牧さんなんかは、もう果てしなく危険だよ!

なんだか話しが摩り替わってしまったが、とにかく手すり渡りは禁止だぞ、と
このみを諭すタカ。このみは、うん、と返事はしたものの、
納得してない様子に、何時まで持つかと頭を悩ませて、その日の帰路につくのであった・・・

<続く>

◆今回の、当ゲームお奨めポイント◆

ヒロインが二人追加で出てきたね!

 

でも、どちらも名前も名乗っていないどころか、顔も殆ど出ていないので、
今の段階ではどんなキャラなのかは不明だね!次回以降に要チェックや!
というか、これではなんの興味もそそられぬ。



え、今回、ファーストコンタクトを取った委員ちょはどうだったかですって?





小牧さん、表情豊かで、必殺の垂れ目笑顔はちょっとグラッと来たのだけど
態度がポジティブなのかネガティブなのかよく判んないし、ねぇ・・・・・・




第零五話 「宿敵」



翌朝。

このみと、トランプ、ポーカーの話をしながら並んで登校するタカ。
今日は、幾ばくかの余裕があるのか、のんびり話しながらの登校だ。
得意のギャンブル話に、このみへのアドバイスを行うタカ。


「ん〜、顔に出るのを逆手にとって、
ハッタリをかますって手も有るけどな」



「ハッタリ・・・・・・え、えと・・・・・・ニ・・・・・・ニンニン」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


チリンチリン!

話しが腰砕けたその時、良いタイミングで後方から自転車のベル。


「わっ!」


「!?」


ベルの音が聞こえたと同時に、背後から猛スピードで脇を掠める自転車。
舞い上がる砂塵に、おもわずむせ返る二人。

驚いて飛び上がるこのみを抱きとめ、自転車の方に目を向けると、
自転車は、タカ達のすぐ目の前で止まっていた。
・・・その自転車に跨った女子は、こちらを向いて不敵な笑みを浮かべている。


「ふっ」

自転車に乗っていた女子には、見覚えあり。
・・・昨日、タカが校門でへばってしまった為に、遅刻扱いとなってしまった女子だ。

挑発的な笑みを引っ込めると、今度はゆっくり、ゆっくりと自転車をこぎ始める。
時折、こちらを振り返る・・・そう、誘っているのだ。



ーーー昨日の、勝負の再戦を。復讐の機会を。

昨日の件は、タカに彼女を陥れようとする意図が有った訳ではない。
不幸な事故ともいえるのだが、あの時タカは、その誤解を解かなかった。

あの時直ぐに謝らなかった事が、彼女の誤解をそのまま肯定すると事なり、
結果、彼女の復讐心をかきたてる事となったのだ。
ある意味、彼女へのケアを怠ったタカの身から出た錆ともいえる。


(そうかい・・・・・・)


「タカくん・・・・・・」


「危ないから、下がってろ」

このみの不安げな表情に、かえって闘志に火がついたタカ。
口火を切った以上、もはや、誤解を解く事で納める事は出来ない。


「このみは、ここにいるんだ」


「・・・ここにいたら、わたし遅刻しちゃうよ」


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」

このみの返答には答えず、更に自転車の後を追わず、
通学路を反れて走り出すタカ!

・・・学校への近道となる、民家の間の石段がある。
この勝負は、彼女とタカとの、どちらが学校に速く辿り着くかの勝負。
最短ルートを知るタカは、必勝を期して、その最短ルートを選んだ。


(ふふ、勝負とは戦いが始まる前に決しているものなのさ)

ヽ(`Д´)ノいや、それ卑怯だよ!

幾人かのプレイヤーがそう思ったであろう卑怯な形ながら、女子との勝負を受けたタカ。
タンタン、と音を立てながら、全力スピードで、石段を駆け上がる!!

ーーーそこに、シャーー、という機械的な音が重なる。


「なっ!?」

なんと、自転車の女子は坂道の方の道を引き返し、
タカの最短ルートの石段を、猛然と追ってきていた!
自転車を押してきながら。


(・・・いや、それだと余計遅くなるだろ・・・・・・)

こうなると、自転車は只のハンデでしかない。
おまけに、昨日も彼女はタカの前を、下着が丸見えなのも構わず
必死に坂道を自転車で駆け上がっていたのだが、最後は
徒競走のタカに追い抜かれてしまったのだ。
坂道での持久力勝負では、彼女の方が分が悪いのは明らかなのだ。

ハンデが開いて余裕のタカは、いつの間にか彼女の事を(心の中で)
白パン女子という最低で屈辱的なあだ名で呼んでいた。

昨日、彼女が先行して自転車で坂を駆け上がっていたときに、
しっかり彼女の白い下着を黙視していたタカ。
女子と話すのは苦手だが、女子に興味が無い訳ではないらしい。




「なんだ、坂道を走ったのと大して差はないのか」

近道と思っていた石段だが、校門までのかかった時間はそれほど差はなかった。
白パン女子(仮名)は、かなり遅れた位置ながらも、必死に石段を駆け上がってくる。
相当な負けず嫌いの性格なのか、まだ勝負を諦めていない。

直前で焦ってしまい、彼女の自転車が石段で踏み外す。
必死に自転車を押し上げようとするも、どうにもいかずに、立ち往生の白パン女子(仮名)。

一度はそれを無視して校門に入るも、流石に罪悪感に足を止めるタカ。
流石に、後味が悪いか・・・と、助けに戻ろうと校門に戻りかけたその時



ーーーーガシャン。

遅刻取締り週間により、無常にも、門は閉じられた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「ナム」

手のひらを校門に合わせて、その場を後にするタカ。酷い男だ。
門を閉めた人に、石段で立ち往生している女子が居る事を伝えてあげるという
親切心は、まるで湧かなかったようだ。酷い男だ。


「結構余裕あったよね」


「・・・・・・何故息も切らさず、そこに居るか





例によって、何故かタカと一緒に高校に駆け込んでしまったこのみの事は丸投げして、昼休み。
雄二と二人で、学食で昼食をとる。


「しかし、あじけねえな」


「うどんがか?まあ、揚げが1枚のっかってるだけだしなぁ」


「ちげーよっ!」

憤り、学食の配給がおばちゃんである事に不満を申し立てる雄二。
メイド学食とか出来ないかなぁ、と自身の歪んだ趣味を洩らす。
金持ちのくせに、ひたすらメイドへの執着を揺るがさない、漢の浪漫を追い求める雄二。
なんか週末には大洲に通いつめていそう。



放課後のホームルームで、卒業生送辞の文章を書く。
珍しく静かなホームルーム風景に、ペンを走らせる音が響く。

来月には、この教室とも、お別れ。
この席にも、新入生の誰かが座るわけだ。
・・・ひょっとしたら、それは今年中学を卒業する、このみかもしれない。


「それでは、書けた人から前に持ってきてください」



あっという間に静寂は破られ、殺到したクラスメイトにもみくちゃにされる小牧嬢。
ふらふらとした足取りでプリントを抱える小牧嬢に、慌てて自分のプリントを
渡そうとするタカだったが、その声に振り返ったと同時に教壇から足を踏み外し、
手に持っていたプリントを派手にばら撒いてしまった。


「手伝うよ」


「いえ、そんな、一人で大丈夫ですよ!」

何故か必要以上に遠慮する小牧さんを気にせず、黙々とプリントを集めるタカ。
大丈夫ですから!と押し戻すポーズをする小牧さんだが、何故か少しづつ後ずさる。
他人の助けを随分と拒む彼女だが、止めるその手は、微妙に距離もおいたまま。


「本当に、平気ですからっ!」

そのさえぎる手が、一瞬、タカのその手と交差する。


「あひっ!?」


「・・・・・・・・・」

慌てて手を引っ込める露骨な拒絶と、悲鳴に、すこし傷付くタカ。


「誤解しないで、嫌ってるとか、気持ち悪いとか
そういうつもりじゃなくて・・・・・・!?」






ひたすら謝りつつ、さらにキツイ罵声を浴びせる小牧嬢。


「違うんです、悪いのはあたしで・・・・・・
あたし、どうしていつもこうなんだろ・・・・・・」


後は、ひたすら平謝りする小牧嬢を、ひたすらなだめていたら、
・・・いつしか夕刻。クラスには、とうの昔にもう誰も・・・


「ほい、これも」


「え?」

いや、雄二が一人、手にしたプリントを持って立っていた。
二人が夕方までなだめ合いをしていたため、拾ったはいいものの、
渡すタイミングを失っていたらしい。


「傍から見れば、まるっきり似たもの同士じゃねぇか・・・
おまえと、委員ちょ」


「別に女子が苦手ってわけじゃ・・・・・・
え、じゃあ委員長は男が苦手?」



「前からそうだろ?一年近くも一緒の教室にいて、気がつかないのおまえくらいだって」


「そ、そうか・・・・・・委員長ってそんなだったのか・・・・・・」

タカと同じで、異性に対し何かコンプレックスが有るのか、
はては性格上の問題なのかは不明だが、彼女も異性が苦手な様子。
その事に、なんとなく親近感を覚えるタカ。

雄二に、案外おまえらお似合いかもな、と冷やかされながら
その日は一日、なんの選択肢も与えられずに過ぎていくのだった・・・



ーーー翌朝。

ちゃんと起きていたこのみと、ゆっくりと朝の登校。
何事も無く、校門に到着。余裕のある登校。



今日はあの自転車の白パン女子(仮名)に会わなかったな、と考えていたその矢先ーーー



ガッシャン!

自転車の白パン女子(仮名)が猛然と特攻。
タカにそのまま激突しーーーーー


「ふぎゅ!」

駐輪場の脇の植え込みに頭から突っ込む白パン女子(仮名)。
一方の自転車に激突されたタカの方はたいしたケガも無い。

ブルマ全開で植え込みに刺さった白パン女子(仮名)は、気絶したのかピクリとも動かない。
気がつくと、いまの騒ぎに周囲から人が集まりつつある、
放置も出来ず、やむを得ず彼女に話しかけるタカ。


「もしもし・・・・・・?」

返事はない。
植え込みに刺さった彼女を引き抜くには、腰かお尻に触らなくちゃならない・・・
そして、あまりこの状況で居る訳にもいかない。野次馬がそこまで迫っている。


さ、触ってもいい?


「ひとのおしりに話しかけるな!」


「うお!?しゃべった・・・・・・」


「おしりはしゃべってないっ!!」



バイタリティ逞しく、植え込みから自力で脱出する白パン女子(仮名)。
タカの前に仁王立ちすると、ぎろりと睨んでくる。


「また、あんたなわけね・・・・・・」


「あー・・・・・・えっと、今日は遅刻しなくて良かったね」


「誰のせいよ誰のっ!!
二度も三度も寸前で邪魔してくれて!!
あんたがあたしの前をうろちょろしなきゃ、遅刻なんかするわけないでしょ!!」


怒り収まらない彼女は、とにかく罵声に次ぐ罵声。
言葉のマシンガンをタカに続々と浴びせかけてくる。


「そうよ校門の時だって!!あーもう!!
ひとが行く先行く先邪魔ばっかり!!
ところまかわずボケッとしてるのが趣味なわけ!?
そういうのは他所でやってよ、他所で!!
それとも先回りしてるの!?
こうもタイミングよく現われるってどういうこと!?
しまいには三つ子とか四つ子なんて言い出すんじゃないでしょうねっ!!
あたしに恨みでもあるんだったら、今ここで
ハッキリ言ったらどうなの!?」



「・・・・・・いや、別に」


「別にって何よ!?別にって!!」

その後も怒り収まらず、罵声の雨を浴びせようとする白パン女子(仮名)だったが、
気がつくと、周囲にはひとだかり。


「とにかくっ!!この借りはキッチリ返してやるんだからっ!!」

人前での罵声に、注目を集めていた白パン女子(仮名)は
地団駄を踏んで、去っていく。
・・・どうやら、暫くは登校時の背中に気を付ける必要がありそうだった。


「何かあったんですか?・・・いまの、由真ですよね?」


「ぬわっ!?」

後ろから声をかけてきたのは、委員ちょ、小牧さん。
・・・彼女は、小牧さんの中学時代からの友達だったらしい。


「由真ともめたんですか?
・・・妙なちょっかいだしたんでしょ


友達の方を信じる小牧さんだったが、どうも主人公タカの評判は、
クラスの女子からはあまりよろしくなさそうだった。




「今日はパンの業者が遅れるってよ!食堂はめちゃ混みだぜ!」

急がないと立ち食い、最悪食事にもありつけないと
大慌てで学食に走りこむ二人。



かろうじて学食で席と食事をキープし、食事を取る二人。
ふと、二人の背後で、委員ちょ、小牧さんがおろおろとしながら学食の入り口で立っていた。
普段パンの彼女ははじめて食堂を利用するのか、利用方法も分からずに
まごまごとしている。

「委員ちょー!!ちゃうちゃう、そっちとちゃうでぇ!!」

「食券!食券を先に買うんだよ!!」

ほおって置けず、声をかけようとしたタカと雄二だったが、先にクラスの女子が
彼女への助け舟を上げる。その後も席を取れずにオロオロしている彼女だが、
これもタカと雄二が手助けするまでもなく、別の女子が世話を焼いていた。


「・・・まぁ、誰かが放っておかないよな、委員長だし」

普段、何かと押し付けられるばかりの小牧さんだが、
一生懸命な彼女に対し、周囲の人も何か彼女にしてあげたくなる。
独特の雰囲気で、結局、クラスのまとめ役として機能してしまう小牧さん。
威厳はなくとも、充分な人望と、人徳を備えているようだった。


「次がつかえてるんだから、早いトコ撤収するぜ」

今だ混みあう食堂を気遣って、早々に食事を終えるナイスガイ雄二。
慌ててタカも食事を終えて、食器を棚に戻しに行く。

食器をバラバラに返却するレーンに、抜き手も見せずにプラスチック食器を飛ばすタカ。
スコーンスコーン!!コンコーン!!
小気味の良い音を立てて、食器がそれぞれのレーンに飛び込んでいく。


「ストライク!」


「・・・しかし、こういうくだらない事に関しては情熱を燃やすヤツだな」


「ふ、ふん。まったく、くだらないわね!
その程度で何を自慢げにしてるわけ?」




ガラスコップだけは流石に普通に返却するタカの背後から唐突に聞こえてくる声。
振り返ると、そこには朝の白パン・・・もとい、由真嬢が。
タカが先ほど食器を飛ばしていた場所に立ち、仁王立ちしている。


「別に自慢ってほどのことも・・・」


その挑戦、返り討ちにしてくれるわ!!



何故か勝手に勝負として成立してしまった。
どうやら対決ルールは前田光世方式が採用されているらしい。





いや、超不自然だろう、それ。
いきなりガングロおさげの中国人が暴れだしたら・・・

・・・んで、決着。

周囲から勝手に強奪したラーメンどんぶりを見事にレーンに投げ込み、
得意満面の笑みを浮かべる由真。

・・・だが、ラーメンの残り汁にまみれた炊事のオバサンに首根っこを掴まれて
厨房の奥へと消えていった。


あぁぁうあああ〜〜〜!!お助けぇぇええ〜〜〜!!





放課後に入り、移動開始。

ぐるりと見渡すと、学校に雄二、商店街にはこのみ、そして誰か分からない人物が
行き先に待ち構えている。
折角選択肢が増えたところなので、雄二と帰ってみた。何か問題でも?


「おまえに、いいもん貸してやるよ」

メイドロボの、ちょっとH系なDVDだった。
用件と会話は、これだけだった。



やり直し。



商店街にて、シルエットの無いキャラクターと遭遇してみる。
アーケード街で買い物をしていたタカは、そこで言葉の喋れないメイドロボと遭遇。
キャラクターとして、姿も、顔も無いメイドロボは、
何らかの理由でエラーが生じたのか、言葉が喋れず、買い物が上手くいかずに困っていた。
なんとなくの流れで、そのメイドロボの買い物を手伝うタカ。



耳の大きなカバー以外は、外見も殆ど人と変わらないメイドロボ。
一緒に買い物をするうちに、人とメイドロボの違いに思いを巡らせるタカ。
ふと、人間の赤ん坊を見つめるメイドロボ。女の子と、何が違うというのか・・・

結局、そのメイドロボと夕方まで買い物をする。
メイドロボはタカにお礼をペコリとして、バスに揺られて帰っていった。

せっかくだし、顔つけとくか。メイドロボこんな感じ。


(・・・ぺこり)




やり直し。



  

商店街のアイス屋で、このみと、友達の二人に絡まれる。
緑髪の方が、吉岡チエ。通称「よっち〜」。サバサバした性格。(中学生にしては)巨乳。タヌキ系。
黄髪の方が、山田ミチル。通称「ちゃる」。物事に動じない、独特の雰囲気。眼鏡貧乳。キツネ系。

同じアイスをタカに普通に食べさせるこのみ。
目の前でイチャつかれて、それをからかおうとする吉岡と山田。



タカにべったり抱きつく吉岡、頬をすりよせたりする山田だが、
このみはそれがどうかしたの?と判っていない様子。
表情を引きつらせるのは、結局タカ一人だけだった。



夕暮れの帰り道。
吉岡、山田と別れて二人帰る。先ほどの二人は、このみが中学に
入学してからの友達なのだが、二人は幼稚園からの付き合いらしい。


「幼馴染か・・・・・・
てことは、俺とこのみと雄二みたいだな」



「うん。こっちも、ちっちゃな頃からずっと一緒だしね」

そういってニコリとうなずいたこのみ。
・・・だったが、なぜかそこで足を止める。
何か、思い出したかのような表情。




「・・・今度はいつ・・・・・・帰ってくるのかな・・・・・・」


「?・・・どうかしたのか?」


「・・・・・・ううん、なんでも。
早く帰ろっ。今日こそゲンジ丸を散歩させるんだから!」



「あ、ああ・・・・・・」

そう言ったこのみだったが、何か一瞬寂しそうな表情を見せたことが、
タカには気になっていた。

・・・だが、その理由が何なのか・・・その時のタカは、結局気付く事は無かった。

<続く>

◆今回の、当ゲームお奨めポイント◆

今回のメインは、(主人公絡みで)不幸系の由真嬢かな?



全般的に、主人公のセクハラ対象みたいで気の毒だね!
というか、これでは突吉こむ平とキャラカブッとるよ。





え、今回、も可愛さ全開だった委員ちょはどうだったかですって?





こうだった。判ってもらえただろうか。

あと、ゲームでも、世間ファン層でも皆に構ってもらえる、
一生懸命だから、皆に愛されている小牧さんだから、
別にココで取り扱わなくてもいいんじゃないのかな。
一番人気より、二番人気が好きなのよ、某。





第零六話 「隠家」



朝の、登校風景。


「うぃ〜ス!」


「ういっス、おはようさん」


「あ、ユウくん。おはよ〜。
めずらしいね、今朝はギリギリじゃないんだ」



「オメェが言うな!貴明に起こされなかったら、
そっちだって同じだろうが、うらァ!」

そういって得意技のアイアンクロー(注)をこのみにかける雄二。

(注)向坂家 必殺技解説



アイアンクロー

現代、特に日本人では使い手のない技だが、“温故知新男”中西学がたまに見せる。
ヘッドロックなど頭部攻撃の一部として使用。

・・・だが、タカからも「確かに珍しいな、何か有ったのか」と聞かれると、
雄二はあっさりと動きを止めて、肩を落とす。


「・・・あったんだよ、色々と。
おかげで目がさえちまって、全然眠れなかった」


「色々って?」


「なにって、そりゃ・・・」

一度言葉を紡ごうとしたものの、言い難い内容だったのだろう、
言葉を濁すと、頭をかいて大きくため息をつく雄二。


「今度、姉貴が帰ってくる」


「・・・・・・姉貴?
姉貴って、まさか・・・・・・タマ姉か?」


雄二の苦い顔に、同じ様にタカに表情も大きく歪む。

向坂 環(こうさか たまき)・・・・・・雄二の姉で、通称、タマ姉。
肉親の雄二はもちろんの事、幼少のタカやこのみとも親交が有った。
度胸があり、喧嘩が強く、気っぷもいい。


幼少のタマ姉(想像)

少なくとも、女性を褒める言葉ではあまりないが、
そんなタマ姉は、子供達の中心的存在だった。



反面、悪戯好きで傍若無人、唯我独尊な部分も多く、
雄二やタカは、随分と苦い思いも経験している。
その後、環嬢が躾の厳しい全寮制校に入学させられて以来、
タカは一度も環嬢と再会はしていない。


「タマお姉ちゃん、帰ってくるの!?」

それを聞いて、このみは随分と嬉しそうだ。
タマ姉に懐いていたこのみ。本当の姉妹同然に仲が良かったこのみは、
環嬢が全寮制校に入れられてからも、ちょくちょく有っていた様子。
昨年の夏以来、と喜ぶこのみ。結構最近に顔を会わせていたらしい。


「あれ?もしかしてタカくん、
タマお姉ちゃんと会ってないの?」



「ん、ああ。タマ姉が転校してからずっとだから、
もう何年も会ってないかな・・・・・・」



「え〜、どうして?
あんなに仲良しだったのに」




そう言われて、おぼろげに幼少の頃の事を思い出すタカ。
だが、思いでも、その頃の環嬢の姿もおぼろげで、
結局タカは環嬢と仲が良かったのかすら、思い浮かべる事は出来なかった。


幼少のタマ姉(想像)


「いつ帰ってくるか、まだわかんねぇから、
そんときになったら知らせるワ」

笑顔のこのみと対照的に、雄二はため息が尽きる事がない。
・・・どうやら、全寮制校での躾の成果は、期待できそうにも無いようだ。




結局、環嬢が今度海外からこちらに転校してくる、という話をするうちに
校門に到着。益々喜ぶこのみ、益々ため息募る雄二。


「・・・・・・てワケで、悪ィな、貴明」


「はあ?なんだよ、いきなり」


「いや、なんていうか・・・・・・今のウチに謝っておくわ」


「だから、何でだよ」


「はぁ・・・・・・いや、知らねえってのは、幸せだよな」

そういって、脱兎の如く逃げ出す雄二。
タカの頭には、終始疑問符が浮かんだままだった。





体育の授業。
男子は校庭で野球、女子はマラソン。

女子のマラソン姿に、女子の体操着とブルマについて熱く語る雄二。
それを適当にあしらっていたタカの目に留まったのは、
水飲み場の女子生徒。



何かと張り合ってくる、白パン・・・もとい、由真嬢だ。
マラソンを早々に終えて、水飲み場で水を飲んでいる。


「・・・・・・」

じっと見ていると、目が合った。
我関せず、の風に構えている由真嬢だが、目線はそらさない。
目線を外した方が負け、とでもいうのか、じっと見つめ合うタカと由真嬢。
水を出し、水を飲んでいるフリを続けながらも目をそらさない由真嬢。
妙な膠着が、二人の間に出来上がる。





「打順。次、お前の番だぞ」

雄二に呼ばれて、慌てて打席に立つタカ。
・・・遠くでは、由真嬢がまだタカの様子を伺っている。
対抗心が伝染したのか、あいつの前で失態は演じられないと
打席に気合が篭るタカ。





えーと、結果ですが、説明がややこしくなりそうなので、簡潔に。

.織、打順で、一発打つ。

⇔呂澆垢て、ボールは体育倉庫天井に。

D子を借りる為、近くで散水作業していた用務員さんを呼ぶ。

ね冖外さん、呼ばれた拍子にアクシデント。思わず散水のホースを手放し、散水急停止。

タ綟擦凌絨犠紊る。

水飲み場の水が暴走。








ぶばふっ!!

逆流した水が顔面を直撃し、さらには体操着までびしょびしょになる由真嬢。
今回は、それ以外の女子も被害を被る。もっとも、直接の原因は用務員なのだが、
例によって、由真嬢の目は、タカを鋭く捕えていた。



なお、この選択肢については掲示板で情報を頂いたので
それを無視して別選択肢でいってみたのだが、3ストライクなので
3回もチャンスが有り、故意に選択を外さなければ、概ね同じ結果に繋がる様子。

本作は難易度が非常に甘い、との話だが、どうやらかなり
プレイヤーに易しい難易度設定のようだ。
放課後全部ヒロインを無視して自宅に帰るとかで無い限り、
誰かとは仲良くなりそうだ。



果たして、あっと驚く急展開が有れば良いのだが・・・・・・





放課後、教室を出て、下駄箱に降りるタカ。


「・・・・・・?」

静かな下駄箱に、どこからともなく女子の呻く声が・・・・

その声に誘われて玄関に出てみると、そこには大量の書籍を重そうに運んでいる
委員ちょ、小牧嬢の姿があった。


「うぅ、うぅ、う〜〜ん」


「委員長?」


「え?わ、河野くん・・・・・・!?
あ、ども・・・・・・」


図書室に入る新刊なのだが、業者が早く置いていってしまったらしい。
検品と、受け取り作業を行っていた小牧嬢だが、空をみると、
どんよりと曇ってきている。
グラフィック上では、晴れやかな空が広がっているが、どんよりと曇ってきているらしい。

降り出して新刊を駄目にしないために、
重い書籍の束を校舎に運び込もうとする小牧嬢。

見かねて、タカが手伝いを申し出るのは、もはや当然の経緯だった。


「わあ、河野くん、力持ちなんですね」

最初頑なに「いいですから」と遠慮していた小牧嬢だったが、
結局、タカの強引さに根負けして、手伝ってもらう。



図書室について荷物を運んだ後は、ひたすら頭を下げて恐縮し続ける小牧嬢。
だが、一年も同じクラスでここまで他人行儀なのは、流石にちょっと、と思い、
ここでなんとか切欠を作っておこうと考えるタカ。


「あー、えっと・・・・・・小牧!」


「は、はいっ!?」


「俺は呼び捨てにするから、その上でまだ
"ですます"調を止めなかったら、周りから俺のワンコだと思われるぞ!」



「わ、わんこ???」


「そう、ワンコだ。呼び捨てにされてワンワン
しっぽ振ってるなんて、客観的におかしいだろ?
二人きりのときは、首輪で引かれてるとか噂が流れるかもよ」


いや、流れんだろ。
えらく強引なタカの仮説だが、そもそも小牧嬢はタカと距離を取っていて
しっぽを振るどころか、普段は別に絡むことが無い。
むしろ、クラス皆が委員ちょと呼び親しんでいる中で一人呼び捨てにするというのは、
単に無礼極まりないと思われるだけではないだろうか?




「そそそ、それは困りますっ!」

だが、小牧嬢は今の話を本気にしたらしく、散々困って、


「え、と・・・・・・はい」


「じゃなくて」


「・・・・・・うん」

強引に、仲良くする事を確約させられた。



たどたどしく、言葉尻を訂正しながら、手伝ってくれたお礼に、と
図書室の奥へ案内してくれる小牧嬢。



そこは、学校の図書室とは思えないほど落ち着いた書庫。
うず高い書籍、静寂の空間、その中央に座する重厚な応接机。


「あたしの隠れ家、です」

そういって微笑む小牧嬢。先ほど強引に他人行儀を止めさせたが、
この隠れ家に案内してから、小牧嬢はリラックスした表情で、良く笑っている。



とっかかりは妙な流れだったものの、自身の隠れ家に案内してから、
小牧嬢は随分と気を許してくれたようだ。
本来、世話好きな彼女のもてなしを受け、書庫で紅茶とスコーンを頂くタカ。
普段の、押し付けられる委員長の仕事と違う。
自分がしたい事を素直に出来る空間で、小牧嬢は自然、気を使わない会話で語りかける。


「・・・さっき、あたしが力持ちだねって言った時、
河野くん困ったような顔してた」



「そう?」


「河野君って、ほめられるの苦手だよね」


「そうかな」


「そうだよ」

・・・・・・似たもの同士。
先日、雄二が二人に対して言った言葉。
似ているから、判る部分。お互いに、褒める事も、褒められる事も、苦手な二人。

文芸部員、という経緯からなのかはさだかではないが、
本来生徒が持ちえない書庫の鍵を持つ小牧嬢。
本の好きな彼女は、書庫の古い書籍にバーコードを張って、
すっかり日の目をみなくなった書籍たちを、もっと活用させたいのだという。
・・・見渡せば、膨大な量の、書庫の書籍たち。

この数十分で親密になったタカは、彼女に、その手伝いを申し出た。
これには、流石に普段通りに頑なな遠慮をする小牧嬢。


「気が向いたときだけだし。これきりもう来ない事だってありうるよ。
そもそも俺が勝手に言い出したことだから、迷惑なら
何時でも、そう言い切ってくれてかまわない」

「・・・たまには、素直に『わかった』と言って見せてよ」


普段、女子に話しかけることの無いタカ、流石に、自分で言ったセリフに
顔を火照らせている。内心、こんなセリフやめときゃよかったと思いつつも
小牧嬢の表情を、そっと伺う・・・・・・




「・・・・・・わかりました、なのだ」

暫くの沈黙の後、彼女は相変わらず馴れない口調で、そう返事した。




「忘れ物はありませんか?」

・・・外は既に夕暮れ、書庫を抜けると、小牧嬢の口調も、元の"ですます"調に戻っていた。
書庫では、あれほど気さくに話すことが出来たのに、そこを抜ければ
まるで魔法が解けたように、日常に戻ってゆく二人。

廊下には、夕方でも生徒達の姿。生徒達の声。
気恥ずかしさが勝ってか、廊下を並んで歩く距離は少しづつ広がり、
結局二人は、同じ目的地である下駄箱に辿り着く前に、廊下で
それじゃあ、と別れる事となった。






・・・周囲に人がいなかったら、俺たちはどこまで、一緒に帰ることが出来たかな。
茜色の空をみながら、タカはふと、そんな事を考えるのだった・・・・・・

<続く>

◆今回の、当ゲームお奨めポイント◆

今回のメインは、言うまでも無く人気No1の小牧嬢ですな。



中々気持ちを交わせる事が出来ない二人の一進一退の触れ合いが
きっと世間の好評を集めているのでしょうな!
学園ラブコメ好きな人とかなら、問題無くのめりこめるキャラでしょう。
というか学園ラブコメ苦手でゲーム買う奴なんて某ぐらいしかいないでしょうが・・・



キモイよ。
でも、主人公タカ氏は、これだけ強引に手伝いに来る事を宣言して
これでホントにこれっきり書庫にいかなかったら相当酷いよね!(前フリ)







第零七話 「三竦」




「ん〜、きょうはいい天気だね。
ずっとこんな日が続けばいいのにね」



「ずっと続くのはマズイんだろうけど、
確かにそんな感じだよな・・・・・・」


3月の、晴れやかな空。
冬を抜けて、徐々に暖かさの増してゆくこの時期。
空が晴れやか。それだけで、今日は良い事が有りそうな気分になる。
結局今日は、何のトラブルも無いまま、教室に辿り着いた。



その日の授業、最後のテスト答案が返却された。
答案返却の半ばから、既に追試確定の雄二は、苦い顔。
一方のタカは、今回勉強のヤマが当ったのか、まずまずの結果だった。

休憩時間、出揃った返却答案の結果に、ほっとした表情のタカ。
その正面には・・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「うわっ!?びっくりした・・・!」

無言で後ろに立っていた女子に驚く雄二。
小牧嬢からタカが同じクラスという話を聞いたのか、
わざわざタカを狙ってクラスまでやってきた由真嬢。


「そっちもテスト返ってきたの?
これで全部?ふーん・・・・・・」



「・・・こいつ、知り合い?」


「微妙なところ」

ぶしつけにクラスまでやってきた女子に、流石に怪訝な態度の雄二。
その雄二の答案をちらりと覗き見、ふふん、と鼻をならす由真嬢。


「鼻で笑われちゃったよ、俺」


「あんたはどうだった?
あたしはさ、今回ちょーっと調子悪かったんだけどさ」


そう言いながらも、由真嬢の表情は自信満々だ。
雄二の答案を覗き見た事もあり、タカの成績を甘く読んでいる様子。
どうやら、今回はテスト結果でタカの鼻をあかしてやろうという事らしい。

・・・だが、しかし





「・・・・・・え?」

自信満々だった表情は脆くも崩れ去る。
比べるためにわざわざ持ち込んできた自分の答案を持つ手が緩む。
動揺しているせいか、後ろからゆらりと近づく雄二にも気付かない。






「ゆーじ、止めとけ。後で噛み付かれるぞ」


「なっ!?」

慌てて自身の答案用紙を胸に押し付けて隠す由真嬢。
脅かし返しを邪魔されて、雄二の方は肩をすくめる。
だが、雄二が答案を確認しなくとも、もう勝負は付いている事は充分判っていた。
そもそも由真嬢は頭が良さそうにとても思えない。
イメージ的には、女版の戌亥番神といったところだろうか。




「これで勝ったと思うなよぉ〜〜っ!」

結局、タカが気を利かせたにも関わらず自分で敗北宣言をして
由真嬢は逃げていった。



とりあえず、由真嬢のイメージは"頭が良さそうに見えない"から
"頭がよくない"に格上げされた。

頭が良くないパンツキャラ。

これではといっしょではないか。



(・・・・・・やっちまった)

放課後。
帰宅しようと廊下を出たところで、由真譲とバッタリと鉢合わせ。


「・・・誰かにバカにされてる気がして来てみれば」

意外と鋭い。なんにせよ、タカを一方的に敵視する由真嬢は、
話しが有る、とタカを呼び止める。


「いい?あたしはあんたのこと何とも思ってないのよ!」

初見のアクシデント以降、いつも自分から勝負をしかけてきた
由真嬢だが、どうやら自分から仕掛けていると思われるのは癪に障る様子。
露骨に避けようとするタカにむきになって張り合っているようで
釈然としない、といったところなのであろう。


「あたしはあんたを相手にする気なんてさらさら無いっていうか、
最初から視界にも入ってないわけよ!
だからいい?またどこかで行き合わせたとしても、
わざとらしくあたしに・・・・・・
って、言ってる側から立ち去るなぁっ!!



「・・・だからさ、何がいいたいの?」

肩で息をしながら、あくまでムキになって勝負を仕掛けているのはタカで、
自分は何の興味も示していない、と言い張る由真嬢。


「だから今後一切、あたしに挑みかかってくるなぁ!
そもそも名前どころか、隣のクラスだってことも知らなかったんだから」



「俺の名前?河野貴明」


わーー!!言うな!!

慌てて耳を塞ぐ由真嬢だったが、クラスを小牧嬢に聞いているなら、
恐らくは名前も既に知っているのだろう。
妙な自己紹介の様になってしまったが、因縁を断とうと、
あくまで赤の他人だ!と宣言して別れる由真嬢。



・・・が、帰り道が同じ方向だったため、暫く膠着状態のまま同じ道程を
距離を開けて帰るタカと由真嬢。

これ以上つきあってられないと普段使わないバスに乗って帰宅するタカ。
それを自転車で必死に追いかけてくる由真嬢。
むかついてる表情で追ってくるが、別に追う理由は何も無い。
言葉とは裏腹に、やはり頭が悪い負けず嫌いの激しい由真嬢。



・・・どうやら、まだまだ因縁を断ち切ることは出来そうに無い様だった。



日曜日を地震でトイレに閉じ込められるという
何の色気も感じられないイベントで過ごし、翌週の月曜日。



放課後の移動開始の選択肢で、はじめて各ヒロインが揃って登場。
書庫で待つ小牧嬢。
1階廊下で待ち構える由真嬢。
帰り道の坂道で待つこのみ。
事実上、初めての選択肢によるヒロイン選びだ。

今までの物語経緯からすれば、優先順位はこうなる。


‐牧 愛佳嬢

・先日、強引に書庫のバーコード貼りを手伝うと言った以上、
 手伝いに行くのが筋。



⇒原 このみ嬢

・わざわざ帰宅を待ってくれている幼馴染を
 放置するのは、些か人道に反する。


?? 由真嬢
・出会うたびにトラブルが絶えないので、主人公が避けている。
 先日までの流れからすれば、由真嬢の話が大きく進展する可能性大。

現時点では、プレイしている筆者にキャラクターの好みなど、無い。
となると、主人公タカの立場に併せて選択肢をチョイスするのが筋道というものであろう。
・・・といっても、いずれも必須、というほどの立場でもない。
どのヒロインを選ぶかの決定打が欠けていて、どうにも決め難い。

・・・まぁたいした手間でもない。
今回は軽く三人それぞれの選択肢ごとの反応を見てみる事にした。
今後の指針にもなるであろう。




‐牧 愛佳嬢



約束どおり、書庫の仕事を手伝おうと図書室に赴くタカ。
カウンターで小牧嬢が居るのか尋ねようとするも、女の子を呼び出す行為に
直前で気恥ずかしくなり、硬直してしまうタカ。

誤魔化そうと思わず図書カードを切り替えに来た、と伝えたところで
タイミング悪く、小牧嬢が後ろから声をかけてくる。


「あ・・・・・・ごめん、勘違い」

手伝いじゃないんだ、と一瞬がっかりした表情で書庫に入っていく小牧嬢を
ほおっておけず、慌てて書庫に駆け込むタカ。
後ろから聞こえる図書委員の子のお幸せにという言葉。



むしろばっちり誤解を生む状況でカウンターを後にした二人。
後で図書委員の子にからかわれると、気恥ずかしさで棚を隔てて
作業をする二人だが、時々本の間からお互いの顔と顔を鉢合わせし、
ますます意識してしまう。

・・・気にはなるけど、顔をあわせるのは恥ずかしい。
異性との共同作業に、二人の態度はぎこちなくなるばかり。

一段落して、応接机で向かい合い、紅茶を飲む二人。
紅茶が好き、という小牧嬢。色々と茶葉の方も用意しているらしい。
ふと見ると、テーブルにはバーコード作成用のPC。
バーコードは小牧嬢の手作りらしい。
思った以上に、小牧嬢の管理はてきぱきとして、そつがない。
書庫の設備や備品を見事に把握し、活用している。


(力仕事と雑用以外は大して役に立てそうにもない。
やっぱり親切の押し売りだったかな・・・)





「あのさ、河野君」

「ここの事、秘密基地みたいって思ってるでしょ?」


お茶を終えて、作業に戻った二人だったが、途中で小牧嬢が
こちらに話しかけてくる。
・・・しかも、ずばりタカの心情を読み取って。


「実は、あたしもそう思う」

そういった小牧嬢の表情は棚の向こう側だったが、タカは間違いなく
微笑んでいるだろう小牧嬢の表情を思い浮かべた。

幼い子供が、友達同士の協力で作り上げる、"秘密基地"・・・・・・。
人の協力が、異性との触れ合いが苦手な小牧嬢。
そんな小牧嬢だが、タカとの触れ合いで、少しづつ、心の紐が解けている様だった。
だれかと協力して、誰かと一緒に何かをする楽しさ。
それを彼女には、知って欲しい・・・

ーーーー何故、また手伝いに来たのか。
その事を、小牧さんは、一度も尋ねようとはしなかった。


夕暮れとなり、二人して書庫を出て下駄箱に向かう。

以前は気恥ずかしさから、廊下で距離を置き、廊下で早々に別れたが、
今日はなんとなくだが、肩を並べて下駄箱まで一緒に来れた。
ほんの少しの距離だけど、二人が並んで歩いた距離は伸びている。

・・・だが、下駄箱で他の生徒達の姿が見えてくると、どうしても落ち着かない。
ろくに目も合わせられないまま、タカは下駄箱で別れを告げる。


「じゃあ・・・・・・」


「あ・・・・・・うん」

校門で、少しだけ、小牧嬢が追いかけてくる事を期待するタカ。
・・・だが、小牧嬢の足音が聞こえてくる事は、なかった。




⇒原 このみ嬢



校門で待っているかと思われたが、今日は、このみ嬢の姿はそこにはない。
念の為、"先に帰った"という目印の小石を門に置き、校門を離れるタカ。

・・・だが、校門を離れ、坂道を下り始めたところで
後ろから駆けてくる足音。


「はぁ、はぁ、はふぅ〜〜・・・やっと追いついた。
ごめんね・・・・・・お友達と、お話ししてたら、つい話し込んじゃった」


このみ嬢にしては珍しく、息を切らせながらの発言。
恐らくは、中学校からここまで、ほぼ全力疾走だったのだろう。

そこまでしてここに来るからには、何か急用でもあるのだろうか、と
このみ嬢に問いかけるタカだったが、このみの返事は


「うん。だから一緒に帰ろうかなって」


「・・・・・・それだけか?」


「うん、そうだけど?」

それがどうかしたの?と不思議そうな表情のこのみ。
彼女にとっては、タカと一緒に登校するのも、帰宅するのも当たり前の事なのだ。
えへ〜、と表情を崩して、ちょこんとタカの横に並ぶこのみ嬢。



ペコン、ポコン。

帰り道の途中、堤防の階段を降りたところで、妙な音が。


「あ〜ッ!?」


「ありゃま、またか」

見ると、靴の裏がべろんと剥け、プラプラと揺れている。
さっきの全力ダッシュで履き潰してしまったらしい。


「うぅ、どうしよう・・・・・・。ちょっと前に買い換えたばっかなのに、
また履き潰したなんて言ったら、お母さんに怒られちゃうよ〜〜・・・」


    ∧,,∧   ショボーン
   ( ´・ω・)
  c(,_U_U 。

うなだれてしょんぼりするこのみ嬢。
普段から走り回る事が多く、靴をよく履き潰してしまうこのみ。
今回はその中でも比較的期間が早い。間違いなく、春夏おばさんの落雷が落ちるだろう。


「あ〜〜・・・ふ〜〜、仕方ないな。
俺も一緒に怒られてやるから」



「・・・・・・ほんと?」


「まぁ・・・・・・」


「タカくん、ありがと〜〜」

帰り道、タカくんの半分はやさしさで出来ている、と豪語していたこのみ嬢だが、
きっとこうして、何度か二人で一緒に怒られたりもしたのだろう。
怖い春夏おばさんの落雷も、タカと一緒という事で随分表情も和らいだ。



その後、二人並んでお玉で思い切り頭を殴られる。


「正直に話したからこれで許してあげる。
このみ、タカくんにちゃんとお礼言わないと駄目よ!」



「うん。えへ〜、ありがと〜」


「まぁいいって」



その後、春夏さんの一声でそのまま夕飯を一緒にする事に。
久しぶりのタカとの夕食に、このみ嬢は、子供っぽく両手を挙げて喜ぶのだった。




?? 由真嬢

タカとジュース自販機の前で鉢合わせる由真嬢。
飲もうとしているジュースは偶然にも同じ。とりあえず先にジュースを購入するタカ。
直後、売り切れ。由真嬢は殺気を帯びながら、無言で売り切れ表示のボタンを押し続けるのだった・・・


由真嬢だけ3行で終わる内容だった。


スバラシイッ!!!

スバラシイッほどの他キャラとの扱いの違い。
このおざなりな扱いが筆者の心を大きく動かしたっっ!!
今回の選択肢は、由真嬢ので決定っ!!

ちなみに筆者の心情を鑑みれば、優先順位はこうなる。


 ? 由真嬢  ・プレイ記が短くて済みそうだから


⊂牧 愛佳嬢  ・ウチで取り上げなくても他所で充分盛り上がってるから。


M原 このみ嬢 ・語尾にいちいちが付くため
 から → (変換) → 〜 を毎回打つのがメンドクサイから


以上の優先順位と相成った。
以上の順位で、当プレイ記は進行していきますので、宜しくどうぞ!

<続く>

◆今回の、当ゲームお奨めポイント◆

学生同士の、初々しい触れ合いを楽しみたい方は小牧嬢を。
幼馴染との、家族的な触れ合いを楽しみたい方はこのみ嬢を。
それぞれ選べば良いのではないかと思います。

だが、それはこのプレイ記のカラーでは無い!
幸せな、心温まるストーリーも良いけども、
畜生と言いながらの、こっぴどいゲームオーバーの方がよほどしっくりと馴染む!



ちげぇねえ。全く以て、ちげぇねえや。




★当プレイ記では、戌亥番神を応援しています。




第零八話 「卒業」




ーーー放課後の、校門前。



校門を出た直後、砂煙を上げながら全力ダッシュしてきたこのみ嬢とすれ違う。
即、ブレーキ。くるりと振り返ると、小走りで戻ってきた。


「はぁ〜〜、よかった!
今日は掃除当番だったから、間に合わないかもって思ってたけど。
まさにナイスタイミングってヤツでありますなァ、ダンナ!」



「・・・・・・」


「どしたの?」


「いや・・・・・・まぁ、何でもない」


「ふぅん?変なタカくん」

相変わらずの肩透かしな会話を交わしつつ、
このみと並んで、帰り道の坂を下る。


「こうやっていっしょに帰るのも、今日で最後だね」


「最後?・・・・・・ああ。
明日はこのみの卒業式だったなよな」


覚えててくれたんだ、と嬉しそうなこのみ嬢。
明日は、このみの中学校卒業式。


「でも、最後って卒業したらウチの学園に来るんだろ?
別に最後って訳じゃない気もするけど」



「ん〜、そうじゃなくてね。
こうしてこっちまで来るというか、この学園生活最後というか・・・
何て言うか、とにかく終わっちゃうんだな〜って感じがするんだ」


中学校の制服を着て、タカを迎えにきて、一緒に帰る。

学園が一緒なら、タカと一緒に帰宅するのは容易であろう。
だが、中学の制服を着る事も、中学校から全力ダッシュで迎えに来る事も、もう無い。
タカを迎えに来るための全力疾走も、日課同然となっていたこのみ嬢にとっては
中学校生活の楽しみの一つだったのかもしれない。

あっというまだったな、と言うタカに反して、勉強ばかりで凄く長い気がしたと
ぷぅっとふくれるこのみ嬢。つい先日まで受験生だったこのみ嬢にとっては、
この一年は苦難の日々だと感じていたようだ。


「・・・そしてタカくんは、そんな私を見捨てて
遊びまくっていたのでしたとさ」


特に、遊ぶ時間が減った事が随分不満だった様子。
タカくんがウォーターワールドに連れて行ってくれなかった、
栗拾いに連れて行ってくれなかった、元旦で風邪で辛かったのに
みんな楽しそうにしてた、と関係ない逆恨みまで含めて恨み言を繰り返す。

意外と執念深いこのみ嬢だったが、結局タカに卒業したら
目一杯遊べるだろう、と丸め込まれてその場は納められた。


「ああ、そうだ。卒業式ってことは、
午前中に終わるんだよな?」



「あ・・・えっと、ううん。
あしたね、卒業式の後、クラスでお別れ会があって、帰るのが
ちょっと遅くなりそうなんだ。・・・だから、一緒に帰れないかも」



「そっか、じゃあ先に帰ってるな」


「え、えっと、それなんだけど・・・・・・
タカくんって、明日何か用事有る?」


クラスのお別れ会というのなら、それを優先するのが当然だろう。
どの道、タカの方は平日で、通常通りの授業がある。
時間通りにこのみ嬢と合流できるとは限らない。
まして、義務的に、一緒に帰っている訳でもないのだ。
何の気なしに、先に帰る事を決めるタカ。

・・・だが、このみ嬢にとっては、このタカとの帰宅は、
タカが思っている以上に、大きな意味を持っている様だった。


「・・・・・・あした、ちょっと遅くなるかも知れないけど、
でも最後なんだし、やっぱり一緒に帰りたいかな〜・・・って。
だから・・・・・・ね?」



「・・・つまり、明日は俺に、迎えに来いって事か?」


「・・・・・・ダメ?」

そういって、心配げな眼差しのこのみ嬢。
現われる選択肢。明日の予定は無いものの、明日はどうなるか判らない。
当然、断る事も出来る・・・・・・だが、


「まぁ、いいけど」


「ホント!?やた〜〜!!」



大げさに驚いて、万歳するこのみ嬢。予想以上の大喜び。

だが、二人の付き合ってきた時間を考えれば、ここは即断OK以外にありえまい。
家族同然に遠慮の無いこのみ嬢が、こんな些細とも思える事を懇願してきたのだ。
その意味を感じ取って、汲んであげるのが男の甲斐性というものだろう。


「えへ〜、あしたが楽しみだなっと。
明日は、晴れるといいよね」


その日の帰り道、このみは終始嬉しそうな表情のままだった。




翌朝の登校、このみはタカが起こしに行く前に、玄関で待っていた。
・・・隣には、なぜか母親の春夏おばさんも並んでいる。


「ほ〜ら、モタモタしてるからタカくんきちゃった。
せっかく早起きしたのに、変に恥ずかしがるから」



「お、おかあさんってば!」


「はいはい。それじゃあ、気を付けて行ってらっしゃい。
タカくん、このみをお願いね」



「あ・・・はい。行ってきます。」

母親に冷やかしながら送り出されて、ちょっと頬を膨らますこのみ嬢。
どうやら、今日は随分と早起きして、タカを入り口で待っていたようだ。
以前早起きしてきた時は、平気で中に入ってきたのに。
普段と違って、今日のこのみはどこかしら緊張している様だった。




「あ、あのねタカくん。昨日の約束、覚えてる?」


「ちゃんと覚えてるよ、卒業式のことだろ?
心配しなくても、ちゃんと行くよ」



「うん・・・・・・」

・・・今日は、このみの中学校生活、最後の日。
いつもの様に、タカと学校に向かい、タカと一緒に帰宅する。

いつもと違う大事な日だからこそ、いつもと同じ日常を大切にしたい。
やや緊張の面持ちで、このみにとっての"大事な日"が、幕を開けた。




ーーー放課後。

このみにとっては大事な日でも、タカにとっては平凡な一日の午後。
あっという間に一日は過ぎ、ホームルームを終え、今日の授業が終わる。

校門に、このみが待っていない事を確認した後、
タカはこのみの待っているであろう、中学校へと足を向けた。



ーーー夕暮れの、中学校に辿り着く。
去年まで、タカや雄二も通っていた中学校。

卒業式。
黄昏時の学校には人はまばらで、様々な表情をしている。
泣いていたり、笑っていたり、馬鹿騒ぎしていたり・・・
でも、みんな、どことなく、寂しそうに見える。

たった一年前のことなのに、なぜか遠い昔のように、
でも、その情景は昨日の事のように思い出すタカ。


  

暫く待つと、遠くに、このみと、いつもの友達二人の姿が見えた。

・・・女の子の一人は、泣きじゃくっているようだ。
緑髪の、吉岡さん。このみが、「よっち〜」と呼んでいる、
普段はとてもサバサバとした、明るい元気な女の子の方。

肩を震わせる姿が、遠めにもはっきりと見える。
このみと、もうひとりの子はその子を懸命にあやしていた。

声をかけられる雰囲気ではないな、と遠めに三人を見つめるタカに、
もう一人の友達・・・山田さんの方が、気がついたようだ。
ツンツン、とこのみをつつき、タカの方に指をさす。


「あ・・・・・・」

こちらに駆けて来ようとするこのみ。
・・・だが、直ぐに泣いている吉岡さんとタカを何度も見比べて、オロオロとしだす。


「・・・・・・・・・」

だが、山田さんがこのみに何かを話しかけ、トン、と背中を押す。
このみは迷いながら、何度も振り返りながら・・・タカの方へと走ってきた。


「タカくん、来てくれたんだ・・・・・・」


「まぁ、約束だから」


「あ、あのね、・・・・・・タカくん」

やはり友達が心配なのだろう、困った表情のまま、なにかを言おうとするこのみ。
だが、このみが口を開くその前に


「このみ〜〜!それじゃあね〜〜〜!」

吉岡さんは、涙でくしゃくしゃの顔に笑顔を作って、
こっちに大きく手を振ってきた。
併せて、山田さんの方も手を振る。

たった今、泣いていた友達が、気を使ってくれたのだ。
迷っていたこのみの表情にも、ニッコリと笑顔が作られる。


「う〜〜ん!バイバーイ、またね〜!」

このみも、両手をブンブンと振って、親友二人に、別れを告げた。
夕暮の黄昏時。互いに、その姿が見えなくなるまで、互いの手は振り止む事はなかった。








「行っちゃったか」


「うん・・・・・・」

「なんだか、あっという間だったな。
この間入学したばっかだと思ったのに・・・・・・」


遠くを見つめる、このみ。
その目は、学校での思い出を、三年間の思い出を見つめている。


「よかったじゃないか」


「え?」


「時間が経つのも忘れるくらい・・・・・・
それだけ、楽しかったってコトだろ?」



「・・・・・・うん、そうだね。
とっても楽しかったよ」


そういった、このみの表情は、とても、とても満足そうだった。

別れを惜しんでか、タカと一緒に、中学校の校舎を廻るこのみ嬢。
夕暮の校舎。教室。体育館。校庭。屋上・・・・・・思い出の染み込んだ、校舎。
このみは、自分の思い出よりも、タカの思い出話をせがみ、
タカも、やれやれと思いながらも、自分の中学時代を思い返す。

最後の時間を惜しみ、校舎で思い出話を咲かす二人。

・・・だが、終わりの時間は、必ず訪れる。
校舎から、下校の放送が流れ始める。

あ、と短く呟いて、このみの顔から、笑顔が消えた。


「・・・・・・帰ろうか」


「・・・・・・うん」

名残惜しそうに、そう呟いたこのみ。
ちいさく頷いたあと、最後にもう一度、校舎を振り返り・・・・・・


「ほんと、楽しかったな・・・・・・」

そう、ぽつりと呟いた。

中学校の親友だった、吉岡、山田・・・"よっち〜"と、"ちゃる"。
二人は、このみとは別の高校に行く。
二人と一緒だったのは、今日で最後だった。


「・・・・・・じゃあ、帰るのはあの子達と一緒の方が良かったんじゃないか?」


「ううん、いいの。お別れはもう、いっぱいしたから。
それに・・・バイバイする時は笑顔でって決めてたから」


そう呟いたこのみの表情に、一筋の、涙が流れる。


「泣いちゃダメって・・・決めてたから・・・・・・」

その呟きが切欠となり、このみは大粒の涙をぼろぼろと零した。
ぎゅっと、タカの袖を握る。その手がますます強くなる。


「一緒に帰ったら・・・・・・絶対泣いちゃう・・・・・・
泣いちゃったらダメなのに・・・・・・」



(・・・・・・このみ・・・・・・)


「でももう・・・・・・いいよね・・・・・・?
我慢しなくても・・・・・・いいよね・・・・・・?」



「いいよ、もう我慢しなくても。
ほら、ずっとこうしててやるから・・・・・・な?




そういって、タカはこのみの頭に手をそっとのせ、
そっと、そっと、優しく撫でた。
反対の手は支える様に、このみの背中をポンポン、と叩く。





茜色の空に、このみの泣きじゃくる声が、大きく響いた。

色鮮やかな、茜色の空。

今日のこの日が、このみにとって色褪せない思い出として残る事を思いつつ、
タカは何度も、何度もこのみの髪を撫で続けるのだった・・・・・・



と、物語序盤において重要そうなこのみ嬢の卒業イベントを取り上げてみたが、
このイベントで話は進めていない。

と、いうのも、本来進めていた戌亥番神もとい由真嬢のイベントが
それはもう取り上げるのが困難すぎる程にイベントが薄すぎ
プレイ記として成り立ちそうになかったので、わざわざロードして
このみ嬢よりの選択肢でこのイベントを取り上げてみたのだ。

実際は卒業式に来て欲しそうなこのみ嬢を軽く無視。
え、男の甲斐性?なにそれ?食べられるの?('A`)

そんな訳で、由真嬢よりの選択を一週間分一気にいってみようか!



★1日目

前回に記載したとおり、自販機前でタカと由真嬢が鉢合わせ。
飲もうとしているジュースは偶然にも同じ。とりあえず先にジュースを購入するタカ。
直後、売り切れ。由真嬢は殺気を帯びながら、無言で売り切れ表示のボタンを押し続けるのだった。



★2日目

翌日も、学校のジュース自販機の前で鉢合わせるタカと由真嬢。
今日はトラブルを避けようと、先に別の飲み物を選択するタカ。
直後、売り切れ。そして今日由真嬢が飲もうとしている飲み物がそれだった。

丁度直ぐに自販機の業者が現われ、自販機に飲み物を補充していく。
由真嬢はそこで飲み物を即購入。冷たくも暖かくもない常温のそれを鷲づかみ、
肩を怒らせて由真嬢は去っていくのだった・・・。



★3日目

その翌日も自販機前で鉢合わせるタカと由真嬢。
今日は由真嬢の以前飲もうとしてた飲み物は、最初から売り切れ。
タカが購入した飲み物も売り切れにはなっていない。トラブルの元は無いはずだった。

が、由真嬢は売り切れになっている飲み物がまたしてもタカのせいと勘違い。
被害妄想を加速させながら、由真嬢は殺気孕んだ瞳で、タカを睨んで去るのだった・・・



★4日目

校舎で由真を見かけるタカ。
妙な因縁で毎度絡みあうコトを避けるため、今日は由真が
立ち去るのに併せて下校しようと、距離を置いて由真の様子を伺うタカ。



・・・だが、由真嬢は下駄箱で外の様子を伺いながら、微動だにしない。

外の様子を物陰から伺う由真嬢。

その様子を、物陰から伺うタカ。


(まさか、俺の後ろにも・・・・・・)

そう思って振り返るタカだが、流石にそこには誰も居ない。
そりゃそうか、と視線を再び前方に戻したところ


「何してるのよ」


「どわっ!?」

由真に、背後から様子を伺っている事がばれていた様子。
あっさりと見つかり、一睨みされるタカ。


「別に、付回してる訳じゃない」


「じゃあ何なのよ。下駄箱に隠れたりして」


「理由は、そっちと一緒だと思うけど」

恐らく、由真嬢の方でも、タカと出くわさないように警戒していたのだろう。
・・・・・・と思っていたタカだったが、由真嬢はその言葉に、表情を歪めた。


「・・・・・・理由が同じなわけないでしょ」


「え?」

小声で呟いた由真の言葉に、思わず問い返すタカ。
どうやら、由真嬢が警戒しているのは、タカ以外の何からしい。
結局タカのその質問に答えず、今日はあんたの相手してやる暇はないの!と
由真に追い払われ、拍子抜けするタカ。



校門を抜けても、特に由真嬢が警戒するようなものは見受けられない。
校門の前に、黒塗りのリムジンが止まっているくらいだろうか。


「おーい、由真ぁ!別に気をつけるようなコトなんて
見当たらないぞぉ!」


よもや、黒塗りのリムジンが由真嬢と関係してるとも思えないにしろ
わざわざ大声で由真嬢の名を呼ぶ迂闊な男、タカ。
警戒するぐらいなら、目に見えるとも限らないだろうに・・・・・・
慌ててシィー!と唇に指を立てる由真嬢を尻目に、なぜか
いいことした気分で門を後にするタカ。

帰り道の途中、先ほどのリムジンがタカの側道を通り過ぎてゆく。

「あんたなんか許さないんだから〜〜〜!!!
通り過ぎるリムジンから、何故か聞いた事のある様な声が、聞こえたような気がした。





4日目に至り、ようやく動きの見えた由真嬢だが、まだまだ進展レベルの低い翌日の朝。
今日は、このみの卒業式の当日だった。

早起きして、最後だから慌てずに行きたいと、タカとゆっくり登校するこのみ。


「あ、あのね?」


「ん?」


「あ、ううん、何でも・・・・・・」

恐らくは、今日の帰りを"タカに迎えに来て欲しい"、という要望だろうが、
結局このみ嬢は、その言葉をタカに伝える事は無かった。
緊張する当日では、流石に頼みにくかったのかもしれない。




★5日目



何の理由もなく、図書室に赴くタカ。
ちなみに小牧さんに「手伝いに行くから」と宣言して以降、一度も手伝いに行ってない。

先のこのみ嬢との話でもそうだったのだが、
本命以外のヒロインとの約束は、
主人公は平気で反故にする。

ギャルゲーで、ヒロインを攻略するという事は、つまりはそういう事だ。
ハートフルが売りの本作とはいえ、この非情の掟が支配する。



色々なヒロインにコナかけるだけかけといて、最後には切り捨て。
筆者がどうにもギャルゲーが苦手に思う理由の一つでもある。

この辺りには相当気を配って、主人公の約束が"絶対"で無い様にしている
本作だが、どこかで切り捨てる非情さが求められてくるのは確かだ。



ちなみに、↑コレは「逃げ」だ。
こんな世界は無ぇ!!漢だったら闘って死ね!




話し戻して、今回の由真嬢の話。



なぜか、図書室で体操服姿の由真嬢と遭遇。
由真嬢は赤面しながら、図書室を去って行った。

2行で終わる内容に戻った。


スバラシイッ!!!

って、いや、素晴らしくない!アンタのイベントはなんでこうも浅いんだ!
ヽ(`Д´)ノネタにならんほど話が短くてどうするかっ!!



翌日。



中学校の卒業式を終え、このみは今日から春休み。


「ゲンジ丸のお散歩ついでに、せっかくだから途中まで
タカくんと一緒に行こうと思ったの」




毛足の長い大型犬、イングリッシュシープドックのゲンジ丸と一緒に
タカの登校に付き合うこのみ。
どうやら、このみと登校する朝の風景はタカが春休みに入るまで続きそうだった。




★6日目



・・・・・・選択肢をぐるり、と見渡したのだが、
由真嬢の姿が何処にも無い。







早くも出番切れ。

あ、あんた何のアピールも、盛り上がりも見せないまま
序盤の出番を終えてどうするかっっっ!!!

<続く>

◆今回の、当ゲームお奨めポイント◆

ヒロイン一択以外に選択肢が無いかと思われたが、
ヒロイン一択だと選択肢が無くなるという絶妙の仕様によって
結局他のヒロインとも絡んでいくコトになりそうです。
これなら、他のヒロインとの約束反故に心を痛めることも無さそうだね!

でも、出番なくなるほど一択で選択肢を選び続けて
何の盛り上がりも無いってのは如何なものか・・・・・・

バランス的には、由真嬢5日分の話でも
お友達の小牧嬢1日分にすら内容の濃さが届かないんですが。
今の所、運の悪さと頭の悪さ以外のアピールが御座らんよ!



★当プレイ記では、戌亥番神を応援しています。




第零九話 「寝泊」






「う!う!うー、ううー!うー!」

書庫には、必死に力を込める小牧嬢の唸り声がたなびく。


「・・・・・・・・・」

あえて気付かないフリをして、反対側の本棚で整頓作業を続けるタカ。
その表情は、やや憮然としていた。

二度目になる、小牧嬢との書庫での作業。

作業には馴れても、まだまだお互い頼りあう、とまではいかない。
手伝いに来ている男手が居るにも拘らず、自力で蔵書の圧し掛かったカートを
運ぼうとする小牧嬢に、頼ってこないと内心腹を立てるタカ。
小牧嬢の人に頼ろうとしない遠慮グセは、そうそう改善されるものではないようだ。

それなら、助けを呼ぶまで意地でも助けるもんか、と
頑として沈黙を守ろうとするタカ。


「う、ぐ、ぐ・・・・・・うぅぅ・・・・・・ふにゃあ」


(・・・・・・ああ、もう!)

小牧嬢のふにゃ声に容易くへし折れるタカの意地。
結局、憮然とした表情まま、タカがカートを運ぶ事となり、
それに対して、小牧嬢が申し訳無さそうにする、という何時もの図式になる。
小牧嬢から、頼ってくる様になるのは、果たして何時になるのか・・・

そんな二人が、唯一お互い正面を向いて話せるのが、休憩のお茶の時間。


「や、ホントだってば」


「いや、しかしなぁ・・・・・・」


「どーしてそこまで疑うのよぉ」

今日のお茶うけの干しブドウとクルミを前に、討論を繰り返す二人。
なんでも、小牧嬢の話では干しブドウとクルミを2つ一緒に食べると、
口の中で絶妙のハーモニーを奏でるのだという。

真に受けられないタカは、訝しげに首を傾げる。
絶対お奨めできるという自信からか、引かずに強く推してくる小牧嬢。
二人は、さっきから、この話題を何度も何度も繰り返している。


「改めて言われてもなぁ・・・・・・
どう考えてもねぇ・・・・・・」



「ホントだってば!騙されたと思って」


「干しブドウの甘みと酸味に、クルミの脂分と渋みがマッチして
絶妙の『はぁもにぃ』を奏でるのよぉ〜」


ハーモニーではなく、『はぁもにぃ』と、説明にまでこだわりを見せる小牧嬢。

結局、小牧嬢の押しの強さに押される形となって、
干しブドウとクルミの同時摂取を試みるタカ。


「あ、干しブドウをもう二粒!」


「指定細けぇ!!」

小牧さんに、穴が開くほど見つめられながら、指示通りに
干しブドウとクルミを口に含むタカ。


「どう?」









クルミはクルミ、干しブドウは干しブドウだった。


「もういいっ!河野くん、張り合いないんだからぁ!」

ぷうっと拗ねる小牧嬢。
そっぽを向いたまま、さっきタカに指示した割合で、クルミと干しブドウを食べながら。
きっと、本人大真面目でお奨めしていたのだろう。
ばつが悪く、黙って冷めた紅茶をすするタカ。

書庫のティータイム、小牧嬢の表情は少しづつ、豊かに変わってゆく。
当たり前の女の子らしく。・・・当たり前の女の子以上に。




「わかりました。そうまで言うなら、次はびっくりするような
お茶うけを用意しておきますからっ!」


書庫を抜け、夕暮の図書室に立ち戻る二人。
小牧嬢の言葉使いも、他人行儀な口調に戻る。


「ケチをつけてるワケじゃないけど・・・・・・
う〜ん、味覚は人それぞれ?」



「河野くんの舌がおかしいんですっ!」

だが、二人の関係は、立ち戻らない。
図書室を出て、廊下に出ても、二人の会話は途切れる事は無い。
人の目を気にして他人のフリをするような事は、なくなっている。
二人の友達関係は、少しづつ、書庫から、日常へと広がってゆく。



・・・・・・だが、校門を過ぎると、徐々に会話も途絶え始める。
二人の関係は、まだ、学校の外に持ち込める程には至っていない。

傾斜につられる事を理由に、自然、歩調が早くなるタカ。
小牧嬢も、敢えてそれを追いかけようとせず。

・・・・・・二人は夕暮を背に、再び、その距離を開いてゆく。
近づきたいのに、近づけない二人。
似たもの同士の二人には、"同じもの"が不足していた。



と、今回の冒頭は人気ナンバーワンの小牧 愛佳嬢で始まった訳だが、
小牧嬢の物語は、一発一発が重い王道路線。
ヒロインのこのみ嬢と併せて、プレイヤーの最初の攻略相手として
力が入っている様子がよく判る。大抵のプレイヤーは、このあたりの導入部で
ほぼ最初の攻略相手を小牧嬢に定め愛佳可愛いよ愛佳と呟き始める頃だろう。

早い人なら、購入前から既に呟いている人も居るほどだ。
小牧 愛佳嬢、恐るべし。



にしても、やはりシリーズ最初に登場するキャラクターというのは重要だ。
そのキャラクターで、作品そのものが大きく判断され、
後の話に期待感を募らせる。
シリーズの火付け役として重要なポジションの小牧嬢。



バキ最凶死刑囚編ならばスペックのポジションだ。
全編腰砕けの最凶死刑囚編だが、この花山VSスペック戦は熱かった。

この目線の細い、柔らかな微笑が小牧嬢に似ている気がしませんか?(誰に聞いてるんだ)




・・・話変わって、春休みを目前に控えた、週末のある日。

そろそろ、街の風景に、桜の花が見え始めた、3月半ばの小春日和。
陽気に誘われてか、今日の登校は珍しくこのみは起きてこなかった。
毎日、ゲンジ丸の散歩と称してタカの登校に付き合っていたこのみ嬢だが、
今日はすっかり爆睡状態。

春休みなんだし、久しぶりにひとりでの登校と、タカは
春夏おばさんにいってきますとだけ告げて家を出る。


「あっ、タカくんタカくん」

と、家を出て直ぐ、春夏おばさんが小走りにタカを追ってくる。


「呼び止めちゃってごめんね。
急で悪いんだけど、タカくんにお願いがあるの」



「なんですか?」


「今夜ね、主人と出かけなくちゃいけなくなったの。
だから、またこのみのことお願いできるかしら?」


一月に一度くらいの間隔で、夫婦そろって家を空けるコトがある柚原家。
その際、娘一人残すのは不安だからと、このみをよく河野家・・・タカのウチに預ける。

結構習慣となっていることらしく、タカのほうもそれを直ぐに察した。
わざわざ娘をウチにおいて、夫婦そろって出かけるのだ。恐らくは、




月に一度のハッスルの日なのだろう。邪魔をしてはいけな



シモネタというか、オヤジギャグが炸裂したところで(猛省)
タカの返事。


「いいですよ。いつもと同じですよね?」


「ありがとう。それじゃあ、このみのことお願いね」

あっさりと請け負うタカ。
かくして、今日の夜は、このみ嬢のお泊り保育が確定した。





ーーーーあっという間に、放課後。
今日は寄り道せず、真直ぐ家に帰るタカ。
玄関には、見覚えのあるちいさな靴がそろえてある。


「このみ、来てるのか?」


「おかえりなさ〜〜い」

二階からトントン、と階段を下りてくるこのみ嬢。
手には取り込んだばかりの洗濯物。既に勝手知ったる我が家同然だ。


「だめだよ、こんなに洗濯物溜め込んじゃ。
毎日が無理なのはわかるけど、もうすこしこまめに洗濯しないと」



「あ、ああ・・・・・・。
もしかして、洗濯とかしてくれたのか?」



「うん。タカくんが帰ってくるまで時間が有ったから。
お部屋とかお風呂の掃除して、お洗濯して、お布団も干して・・・」


予想以上に家庭的なこのみ嬢。普段から家の手伝いをするのか、
炊事洗濯もしっかりとこなせるようだ。意外な姿に、ちょっとだけ驚くタカ。


「えへ〜、ちょっと待っててね。すぐに洗濯物片付けてくるから。
そしたら、いっしょに買い物へ行こ」



「いや、晩ご飯なら、ほら、もう買ってきたけど」


「・・・・・・却下であります」

タカの手に持たれたカップ麺の袋を見て、眉をひそめるこのみ嬢。
一転、今日は私が晩ご飯を作る!と大張り切りだ。
対するタカは、このみが料理を出来るイメージが湧かないのか、気が進まない。


「それに、ちゃんとお母さんに作り方を教わってきてるんだから!
ホラ、これ」


そういって何やら書かれた紙切れをみせるこのみ。

『ママ直伝【必殺カレー】の作り方』



必殺らしい。激ウマでハッスル!ハッスル!という事なのだろうか。
必殺とかハッスルとか、カレーという食材は、どうしてこう
意味の判らない言葉がよく付けられるのだろうか。






結局このみ嬢に押し切られ、スーパーで買い物する二人。
真剣な表情で食材を吟味するこのみ。このみは不器用だから、と不安の募るタカ。
買い物カゴにカレールーが入っていない事に気付いて問うタカに、
このみはお母さん特製の調合スパイスを使うから、と自信満々。


「ずいぶんと凝ってるけど、もっとこう・・・・・・
普通ので、いいんだけどな。カレーなんて普通、手軽に作るもんだろ?」



「もう、ダメだよ。
ちゃんと必殺カレーを作るんだから!」


このみ嬢は、頑として譲らない。案外頑固だった。





帰ってから、このみ嬢の悪戦苦闘が続く。
野菜の皮むきの段階で危なっかしい包丁捌きに、気が気じゃないタカ。
だが、このみ嬢は「今日は私がお料理を作るんだ!」とタカに手伝いをさせない。


「えっと、お肉はワインで下味をつけて・・・・・・
あ、そうだ。このワイン、勝手に使っちゃったから」



「ああ、あるやつは何でも適当に使ってくれ・・・・・・え?」

見ると、それはタカの父親が飲まずにずっと取っておいた秘蔵のワインだった。
給料ンヶ月分のワインが、調理酒として使われてゆく。


「た〜ら〜ら〜♪ふわ〜、いい香り〜。
隊長隊長!このワインとってもいい香りでありますよ〜!」



(・・・後で別のと詰め替えておこう)





「ハイ、これがタカくんの」

ほどなくして、このみ嬢渾身のカレーが完成。
野菜の大きさが不揃いではあるものの、見た目も、香りも申し分ない。



はやく食べて、と瞳で急かすこのみ嬢。
匂いにつられ、早速スプーンを滑らせるタカ。


「・・・・・・お?」


「どお?どお?」


「ん・・・・・・まぁ、美味いかな」


「えへ〜!そうでしょ、そうでしょ!」

タカの返事に、ふにゃりと幸せそうな笑みを浮かべるこのみ嬢。
カレーは、タカの予想を超えて、中々の出来栄えだった。

それじゃ私も!とこのみ嬢も食べ始めるが、こちらは一口目から、あれ?という表情。
・・・何か、一味足りない。母親のレシピ通りに作ったはずなのに、
母親の作るカレーと比べると、明らかに何かが足りないと感じるこのみ。

料理上手の春夏おばさんと比べて負けるのは、しょうがないだろうと言うタカだが、
タカの言葉も上の空、その出来栄えに、どうやらこのみ嬢は納得がいかないようだ。


「おばさんのカレーか。
・・・そういえば、よくこのみの家で食べさせてもらってるけど、
カレーは食べた事なかったな」



「あ、そっか。タカくん、ウチでカレーを食べた事なかったっけ。
ウチではカレーは特別だって、なかなか作ってくれないんだ」



「特別?」


「うん。お母さんにとって特別な思い出がある料理なんだって。
よく分からないけど、狙った獲物を一撃で仕留めたとかなんとか。
だから必殺カレーって」


・・・仕留められたのは、今の春夏おばさんの旦那さん、と云う訳か。
やはり激ウマで旦那さんハッスル!ハッスル!というコトだったらし(略



案外、このみと春夏おばさんのカレーで決定的に違う調味料は
"愛情"というヤツなのかもしれない。



その後の就寝、色々あってタカのベットに潜り込むこのみ嬢。
甘えたい盛りの妹のような態度に、やれやれ、とそれを容認するタカ。


「なんだか、タカくんといっしょに寝るのって・・・
久しぶりだね・・・・・・」


せっかくいっしょなんだから、何かお話ししてよ、とせがむこのみ嬢に
せっかくだから、と怪談話を聞かせるタカ。

その後このみ嬢に夜中トイレにつきあわされるという腰砕けな〆で、
週末の夜は過ぎてゆくのだった・・・・・・。



<続く>

◆今回の、当ゲームお奨めポイント◆





つかみのキャラの重要性は言うまでも無いが、小牧嬢の力の入り様と、
バキ最凶死刑囚編のスペック編の力の入り様は似ている気がする。


ともに柔らかな笑顔が売りのキャラクター。
これがシンクロニシティというヤツだろうか?
(答え:言いがかり

次のお茶請けで中華まんじゅうが出てきたら要注意だ!








なお、このプレイ記をアップする直前、二本目のToHeart2が売れた。
こんな脈絡の無いプレイ記を読んでソフトが欲しくなる人が居るとは
どうしても思えないが、それ以上にいつも売り切れ状態のamazonのToHeart2が
販売された瞬間、墓標で売り上げが上がっている現象はどういうことか!?
ホントに墓標の独占市場となっていないか、amazonのToHeart2・・・

え、今回の番神由真嬢?
出番なかったよアイツ('A`)




第壱拾話からは、こちら


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