


キャーーーッ!全国の翡翠(仮)ファンの皆様、お待たせ致しました!

ようやくこの時が来ましたよ〜〜!
月 姫 プ レ イ 記
弐周目 開死!

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・
と、云うわけで遂に弐周目開死です。誤植じゃないですよ。
モニターの前でトイレに行かれていない方は、今のうちに済ませておいてください。

なんでこんな血生臭いオープニングなんですか・・・
久々なんですから、もうちょっと明るく盛り上げてくださいよ!

でも、あんまり明るすぎるのも問題かもしれませんね・・・
最近の媚びアニメのように最初は頭悪そうなヒロインと生ぬるいオープニングを迎えて
無駄なセクシーショットとかを交えつつも、唐突にシリアスな展開に持ち込んで
最後には救いがない上に投げっぱなしという結局どこが面白いのか判らない
アニメ作品の様になっても困りますし・・・

うーん・・・それもそうね。というか、上の流れってまんま
プレイ記1周目に当てはまるんだけれども・・・

誰が頭悪そうなヒロインかっ!!
なんかプレイ記再開したっていうから見に来たら、また随分と言いたい放題言ってるわね!
確かに、無駄なセクシーショットとかありましたね。
心底無駄でした。ええ、心底・・・・

し、しみじみ言うなっ!なんかマジムカつくわね!

そんなのどうでもいいですから、早く2周目始めましょう!
久々の出番なんですから(゜∀゜)ハフン!ハフン!

鼻息荒いわね!メイドってのはもう少し慎ましいもんじゃないの!?

まぁ許してあげてくださいな。季節の変わり目なんで・・・
色んな意味で、可哀そうな娘なんです。

何ですか可哀そうな娘って!季節の変わり目関係ないです!
2周目開始の前に、前回までのマトメが必要ですね。
前回の「アルクェイド編」は物語の冒頭部分ともいうべき基本シナリオなので
色々な話が置いてけぼりになっていますので・・・今回はその辺を纏めてみましょうか。

★登場人物編

主人公: 遠野志貴
・外見が驚くほどさえない。ネコ型ロボットにいつも助けを求めてそうな
冴えない外見だが、一応主人公。発言や行動も今ひとつ冴えない。
・名前が同じ子が居るという意味不明な理由で、遠野家の養子に。
八歳までは遠野家で過ごす。その際に遠野シキ、遠野秋葉を含めた
三名と何らかの事件があり、その際に直死の魔眼が覚醒。
一時絶望感に苛まれるも、その時知り合った蒼崎青子の教えにより、自分を取り戻す。
また、その際に蒼崎青子より「魔眼封じの眼鏡」を譲り受ける。
★解決していない点
「蒼崎青子」とは何者なのか?
・九歳から、分家の有馬家に養子として出される。
本編では十七歳で遠野家に戻る事になる。キレやすいお年頃。
・直死の能力は「魔眼封じの眼鏡」を外すことにより、開放される。
生物、鉱物問わずあらゆるものを絶命せしめる「死の線」が見える。
また長時間「死の線」を見続けると、志貴自身も疲弊する。
・時々、衝動的な殺意に見舞われる。
・意味の判らない惚れ方をする。思い込みが激しい。ぶっちゃけ怖い。
現代社会ではストーカー法案というものが存在するが吸血鬼相手でも適応されるのだろうか。

ヒロイン: アルクェイド・ブリュンスタッド
・吸血鬼の上位種「真祖」(生まれついての吸血鬼の総称)
以前は、吸血衝動によって堕ちた真祖や、それによって生み出された死者を
狩る立場にあった。過去にたった一度吸血を行い、その際に血を吸った相手、ロアに
その能力の一部を奪われる。同属をロアに滅ぼされて後は、転生するロアを追い殺す日々。
・遠野志貴に切り殺されて、その痛みに対する憎悪から好きかもに代わるという
ある意味究極のM属性。正直納得がいかない。
・現時点では、遠野志貴に死の線を断たれても生存した唯一の存在。
・ヒロインなのに服装が地味。
・情緒不安定。
・主人公との組み合わせは、あらゆる意味で最悪だと思う。

ヒロイン: シエル
・カトリック教会の異端審問実行者達の集まりである「埋葬機関」に属する。
第七聖典とかいう武器を使用する。なんか重火器っぽいのと
思っとけばいいんじゃないの?(なげやり)
・学校には潜入捜査みたいなカンジで潜り込んでいる様子。
・眼鏡担当。
・八年前の遠野家で起きた事件に、何らかの関わりがあるらしい。
・目立ちたがりなのか、いちいち電柱の上に立ったり、ガラス窓を突き破って
主人公のピンチを助けたりする。相手の名前をいちいちフルネームで呼ぶ。
恐らく幼い頃にヒーローモノを見すぎたのだろう。
戦闘後は、隠れて勝利のポーズとかやっているに違いない。

ヒロイン: 遠野秋葉
・遠野志貴の義妹。遠野シキの実妹?
・現、遠野家当主。
・遠野志貴には変な執着心をみせている。
・八年前の遠野家で起きた事件、そしてアルクェイド編での遠野志貴復活に
何らかの力を与えている様子。
・あとは別に・・・・・・

ヒロイン: 翡翠
・遠野家、侍女。琥珀の妹。
遠野志貴付の専属侍女となる。
・あとは別に・・・・・・

ヒロイン: 琥珀
・遠野家、侍女。翡翠の姉。
遠野秋葉付の専属侍女。
・出番が無さ過ぎてよくワカンネェです。

なんじゃ、この説明はぁ!!

「あとは別に」って何ですかっ!
もっと私の魅力をしっかり語ってくれないと困ります!!

誰が究極のMよ!いいかげん殺すわよっ!
印象的には、殆どこんなもんなんですが・・・

★アルクェイド編 おおまかな お話★
★ストーリー編
主人公、遠野志貴は幼少の頃のある事件(現時点では明らかになっていない)を切欠に
胸に大きな怪我と、引き換えに「直死の魔眼」の能力を手に入れる。
偶然知り合った蒼崎青子に「魔眼封じの眼鏡」を譲り受け、以後は
時折貧血などに見舞われる以外は平穏な日々を過ごす。
★解決していない点
月と、血を背にした「おかあさん」の冒頭。
17歳のある日、父の死を切欠に遠野家に呼び戻された遠野志貴。
実家には父に代わって遠野家当主となった悪役ヅラの妹、
「秋葉」と、二人の侍女が待ち構えていた。

学校には、悪友「乾 有彦」、同級生の「弓塚 さつき」。
転居を切欠に、遠野志貴にほのかな好意を見せ始める弓塚さつき。
好意的に声をかけてくる「シエル」先輩。向うはこちらを知っている様子だが、
こちらはその記憶はおぼろげ。
学校で持ち上がる、街で起こる「連続猟奇殺人事件」の話題。
血を抜き出された遺体、不可思議で、奇妙な殺人事件。
「現代に現れた吸血鬼」の二流見出しが、遠野志貴の脳裏を掠める。
★解決していない点
アルクェイド編では、弓塚さつきは失踪したまんま投げっぱなし。
新しい生活に馴染む間も無く、不可思議な事件に巻き込まれる遠野志貴。
黒コートの男「ネロ・カオス」との接触。
朝譲り受けたナイフでいきなりヒロインをメッタ切る遠野志貴。
巻き込まれたじゃなくて自分がきっかけだった。
切った相手は吸血鬼アルクェイド。
真祖の姫君と言われる不死者で、遠野志貴により解体同然に死の線を断たれたにも関わらず、
わずかな時間でその肉体を復元せしめ、遠野志貴を追い詰める。
だが、まがいなりにも不死者である自分を殺した遠野志貴の戦闘能力と
その人間性に興味を持ち、復元に能力を使い疲弊している自分の仕事ーーー
「吸血鬼狩り」を手伝う様持ちかけ、遠野志貴はしぶしぶこれを了承する。
体内に666もの命を内包する混沌ネロ・カオスとの戦い。
その能力に、アルクェイド、遠野志貴は苦戦を強いられるが
最後は遠野志貴の「直死の魔眼」が雌雄を決した。
事実上、遠野志貴唯一の見せ場。
だが、ネロ・カオスは街で起こる連続猟奇殺人の犯人ではなく、
単にアルクェイドを狙ってきた吸血鬼に過ぎなかった。
ていうか、一晩でホテル一件分喰い殺すなど、殺しの規模ではこちらの方が遥か上。
そしてネロが敵として良い味を出し過ぎていた為、どうにも三下の印象が拭えない
吸血鬼「無限転生者」ミハイル・ロア・バルダムヨォン。
口に出して名前を読むとヨォンの部分が間抜けっぽい。
今回の街で起こる連続猟奇殺人の主犯であり、「死者」を増やし学校を根城に構える。
遠野シキに転生し、遠野志貴の「直死の魔眼」に程近い能力を身に付けるが、
その能力は生物に限定される。やはりどうにも三下の印象が拭えない。
同じ様に吸血鬼を狩る者だが、その立場を大きく違えるゆえに
アルクェイドと衝突する埋葬機関のエクソシスト、シエル。
ロアとの戦いで、アルクェイドと衝突するものの遠野志貴には
好感を持っているらしく、度々窮地を救う。
ロアの情報や吸血鬼、真祖の話などで口の軽さと説明の長さを露呈。
吸血鬼との戦いの日々。
お互いの足を引っ張り合いながら唐突に恋に落ちる遠野志貴とアルクェイド。
湧き上がる吸血衝動。人と吸血鬼の壁。遠野志貴の衝動的な殺意の発露・・・
あんまり本筋と関係ないところで悩む二人。
吸血鬼狩りは何処へやら、結局イチャイチャして別れた。
これでは夜に会ってた意味が判らない。
その後、色ボケに寄り過ぎたバチが当たったのか
サクッと三下ロアに学校で死の線を切られる遠野志貴。
間一発、窮地をシエルに救われ、遠野家の屋敷に戻る遠野志貴とシエル。
絶命は免れない、と思われたが、シエルは頑なに否定。
「遠野くんの妹さんが遠野くんを助けられないと、
そもそも遠野くんは八年前に死んでいるはずなんです。
だからーーーきっと、今回もまだ間に合うはずなんです・・・・・・!」
結果・・・遠野志貴は、一命を取り留める。
その際、妹、秋葉から語られる遠野志貴の出生。
普通とは違う能力を持つ、遠野家の血筋。
その本来の血筋はシキと、秋葉。遠野志貴は、養子に取られた子であった。
★解決していない点
秋葉のザオリク。
秋葉の「シキと名前が同じということで父が気紛れで養子にした」って言った後に
「父は気紛れで養子をとるような人ではありませんでしたから」発言。
ヽ(`Д´)ノ結局どっちやねんっ!
どっちやねん!
満身創痍ながらも復活した遠野志貴。
アルクェイドが最後の戦いの為、ロアの元に向かった事を知った志貴は、
シエルに頭の悪い脅迫をして、半ば強引に決戦の地、学校へ。
アルクェイドは最後の能力を行使してもロアを完殺出来ず、ロアに殺される。
例によって怒りによって伝説の力に目覚めた遠野志貴は床を壊し、
そんなのに巻き込まれてボロボロになった三下ロアの胸にナイフを突き立てて終了。
足首以外は吹っ飛ばしたアルクェイドの立場は無い。
その後、ロアが死んだ事によってロアのパワーが戻ってきたからとアルクェイドは復活。
そういうもんなの?
トゥルーエンドでは、この後夕暮れの学校で、遠野志貴とアルクェイドは再会。
そのまま別れて、終了。完。
めでたし、めでたくもなし。

・・・改めてみると、なんか全然完結してる気がしないわね・・・
最後のボスがどうにもイマイチだったからかしら・・・

まぁ、ロアさんだけどうやっても画像が見つからなかったらしいですし、
ファンの方から見ても三下扱いなんでしょうかね・・・・
まぁ、このアルクェイド編というのは月姫においてはつかみの部分ですからね。
ぶっちゃけ前座ですね。
アルクェイド嬢、メインヒロインと言われてはいますが、
ポジション的にはだいたひかる程度のものですね。

「♪どーでもいいですよ。」

・・・なぜか、彼女のこのネタシリーズを聞くと
自虐ネタに聞こえてくるのよね・・・

このサイトじゃキレてばっかりで青木さやかさんみたいですしね。
ヒロインというよりは女芸人といったイメージなのでは・・・

誰が芸人かっ!!大体、あらすじなのにこんなに端折りまくってちゃ
意味がないじゃないのっ!!
吸血鬼の話とか、設定話は別に要らないですし、
イチャイチャ話はもっと要らないですしね・・・
ぶっちゃけ、アルクェイド編は後半の長説明を読むよりも
ヘルシング読んだ方が判りやすいですね。


まぁ確かに、影響受けてそうな部分は、多分に有りますね・・・
主人公の名前もアーカードってちょっと似てますし・・・
ここから面白い展開になれば良いんですがね・・・

・・・私が出ますから、面白くなります。

何ゲームに併せて、すまし顔してるのよっ!今更!
いや、また最初からだし、私と志貴、アレだけラブラブだったワケだし、
私の扱いもまだまだこれから有るわよね・・・ね?ね?

どうでしょ?ポジションがだいたひかるさんですし・・・

いいじゃないですか、TOPでパチンコ打ってれば。
青木さやかさんみたいにキレながら・・・

あんたら殺すわよ!!!

・・・面白い展開になれば良いんですがね・・・
いや、切実に・・・ホント切実に・・・・・・
2004/12/07 第22回

♪雨は夜更け過ぎにぃ〜雪へと変わるだろぉ〜
Silent night〜 Holy night〜

♪きっと君は来ない〜
ひとりきりのクリスマス・イブ〜
Silent night〜 Holy night〜
ってうおおおおおおおおおお!
おのれ山●達郎ぉ!もう何年も何年も何年も何年も
屈辱的な曲を聞かせおって!!

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・まぁ、そんな訳で(?)もう12月ですねぇ。
こういうサイトやってる人には世知辛い季節ですかねぇ・・

世間は、もうそんな時期ですか・・・・・・

なんていうか、人恋しい季節よねぇ・・・はぁ・・・
まぁ、2周目プレイがクリスマスまでに片付くとは到底思えないけど、
せめて私も、恋のとっかかり位はあって欲しいものね・・・

・・・前回のプレイ記一周目に半年かかってますし
多分2周目終了時はもう夏だと思いますよ・・・

シンジ育成プレイ記はかなりハイペースのクセに・・・

もう!クリスマスだからって僻まないの!

そんなのどうでもいいから早く2周目を始めてください。
イブって言ってもどうせ例年通りに仕事(位しかやる事がない)ですよね?
カッコの中が余計だこの野郎っ!
a prologue
回想ーーー
夜の屋敷。
淋しくて、屋敷の裏手、森の中へ足を向ける。
月明かりの劇場。
ーーーそして始まる、血塗れの舞台。
びしゃりと。
暖かいものが顔にかかった。
あかい。
トマトみたいに あかい水。
バラバラになった人。
その おかあさん という人は
それっきりボクの名前を呼ばなくなった。
目にあたたかい緋色が混ざってくる。
眼球の奥に染みこんでくる。
だけどぜんぜん気にならない。
夜空には、ただ一人きりの月がある。
凄く不思議。
どうして今まで気付かなかったんだろう。
ーーーなんて、ツメタイーーーーわるい、ユメ。
ああーーー気がつかなかった。
こんやは こんなにも
つきが、きれいーーーーーーーーだ
遠野志貴、九歳。 幼少の入院。
「直死の魔眼」覚醒、そして、魔法使いと称する女「蒼崎青子」との出会い。
彼女曰く、こうして出会う事もひとつの「縁」だと云う。
遠野志貴の能力を知った彼女は、その「縁」をこのための「巡り合わせ」と云う。
悪戯半分に死の線を薙ぎ、樹木を切り倒した志貴を叩き、もうやっては駄目と
約束させながら蒼崎青子は自分と志貴が巡り合った理由を強く認識していた。
「魔眼封じの眼鏡」
「直死の魔眼」の能力により、世界中がツギハギだらけに見える事に
恐怖する志貴に、蒼崎青子は「魔眼封じの眼鏡」をプレゼントする。
「うわぁ!すごい、すごいよ先生!ラクガキがちっとも見えない!」
「あったりまえよ。わざわざ姉貴の所の魔眼殺しを奪ってまで作った
蒼崎青子渾身の逸品なんだから」
身内からの盗品を改造したという子供の情操教育に非常に悪い発言の上、
粗末にあつかったらただじゃおかないという脅しまでかけてくる蒼崎青子に
元気にお礼を言う遠野志貴。
「けど先生って凄いね!あれだけ嫌だった線がみんな消えちゃって、
なんだか魔法みたいだ、コレ!」
「それも当然。だって私、魔法使いだもん」
この後も約束なんて軽く破っちまえよと、客観的に聞くと
色々子供の教育に悪そうな発言を繰り返し、蒼崎青子は去っていった。
1/反転衝動
1day / october 21 (Thur.)
ーーーー秋。
遠野志貴、十七歳。
八年間の養子宅、有馬家から、本来の生家、遠野家へ戻る日。
朝、有馬の家に最後の別れを告げての登校。
学校が終われば、そのまま遠野家の屋敷へと・・・八年ぶりの帰宅をする。
心に思うは、八年前に別れたきりの妹、「秋葉」の事。
この事を考え、気が重くなる志貴。
裏門からの登校。有馬の家からは程近い入り口であった為今まで利用していたが、
明日からは普通に正門から通う事になる。物寂しげな雰囲気が好きだったのにな、と
センチメンタル気分を味わっていた志貴の耳に、トンカチの音が鳴り響く。
★前回との分岐相違点:中庭に様子を見に行く★
ホームルームまであと僅かだが、中庭から聞こえる音に興味を引かれて
覗きに行ってみる遠野志貴。
一人の女生徒が、ホームルーム直前だというのに中庭で添え木の修理をしていた。
訝しげに思いつつも、もうすぐホームルームですよ、と声をかける志貴に
きょとんとした表情を返す、赤リボン・・・三年生の、先輩。
添え木の修理など、業者がやるじゃないかと言う志貴に

「わたし、こうゆうふうにちらかってるのを見ると我慢できなくなっちゃう人なんです」
と、句読点無しのひらがなで返答を返す我慢できなくなっちゃう人。
この辺は特に本編とは全く関わり無い部分なので省略するが、
どういう会話が成されたのかは、以下のプレイ中の管理人の表情で察してほしい。
ここで見なかった事にするという選択肢が有れば選んだのだが、残念ながら無い。
その時、鳴り響く予鈴。
もはや観念し、そのまま先輩を手伝って添え木修理を行う志貴。
ある程度作業も済んだ所で、それじゃあと立ち去ろうとしたとき、
相手の先輩はじっとこちらを見つめてくる。
「ありがとうございました。手伝ってくれて、嬉しかったです」
「それじゃ休み時間にご挨拶に行きますね。あ、ちゃんと手を洗って行くんですよ、遠野君」
先輩もな、と言いかけて、相手が自分の名前を知っていたことに驚く志貴。
忘れたんですか?と淋しげな先輩の表情に頭を捻ると・・・定かならぬ記憶の端から、
「シエル先輩」という名前だけは浮かび上がった。
改めて挨拶を済ませ、その場で別れた志貴だったが、結局どういった経緯での
知り合いだったかも思い出せず、合点のいかないままだった。

「よう、サボり魔。珍しいな、時間に厳しいおまえさんが遅刻なんてよ」
教室で待ち受けていたのは、学園唯一のアウトロー、喧嘩上等の悪友「乾 有彦」。
普段夜型で、殆ど2時限目からしか学校に来ない彼が
朝から学校に居る事をいぶかしむ志貴に、

「そりゃあ最近はなにかと物騒だから、夜は大人しく眠るコトにしてるんだよ」
と、連続通り魔を警戒して夜は大人しく眠るアウトロー。
それはアウトロー違うんじゃないのか

会話の途中で何気に参加してくる「弓塚 さつき」。
前回はホームルームで志貴の「遠野家に戻る」という話に加わっていたが、
今回は連続通り魔の話に一言噛んでくるだけのチョイ役。
★前回との分岐相違点:廊下に出て考える★
「よかった。捜してたんですよ、遠野くん」
昼食を取ろうと廊下に出ると、シエル先輩が手を振ってやってくる。
何気ない挨拶に、ドギマギする遠野志貴。
ヽ(`Д´)ノ惚れっぽ過ぎるよ、オマエ!
この程度なら学園ラブコメによくありそうなシーンだが、アルクェイド編で
些か常軌を逸した惚れっぷりを見せているだけに、今後の彼の動向が心配でならない。
取り合えず、昼食をおごってもらう事となり、食堂へ。
食堂で乾と合流し、楽しい食事風景となるわけだが、この辺りも
特に本編とは絡まない部分なので、
以上のプレイ中の管理人の表情で察してほしい。

察してほしい。
あと、食事をしながらシエル先輩と乾 有彦の会話に耳を傾ける遠野志貴。
遠野志貴、その情報収集能力に抜かりなし。
でも、普通こういう会話を横でしているからって、参加もしないで
黙って食いながら聞き耳を立てるという行為は人としてどうか。
その後、前回は朝のホームルームで成された「今日、遠野家へ戻る」という会話を
有彦、シエル先輩と交わしつつ、昼食は終わった。
夕暮れ時。そろそろ、実家である「遠野の屋敷」に帰る時間である。
★前回との分岐相違点:もう少しだけ学校に残っていよう★
夕暮れの教室を出ると、そこにはシエル先輩がってまたか。
「あのですね、いい和菓子が入ったんですけど、お話し相手がいないんです。
一人で食べるのももったいないですから、暇そうなお話し相手を捕まえに来ました」
只一人の茶道部員というシエル先輩に、茶道部の部室で和菓子を馳走になる。
その間に、反芻する様に「遠野志貴」が父親から勘当同然に有馬の家に養子に出された事、
その父親が亡くなり、「実家に戻れ」との報を受け、実家に戻る事となった事を語る志貴。
何が理由で勘当されたのか、何が理由で今更実家に呼び戻されたのかは
当の遠野志貴本人からしても、おぼろげだ。
語り終えて、今度こそ実家へと戻る遠野志貴。
八年ぶりの実家への帰り道。時代錯誤な洋館である、遠野家。
厳格すぎて耐えられなかった実家、遠野家。
事故で何時死ぬか判らないと、父親に見切りを付けられ、遠野家の跡取りは妹の「秋葉」に。
家を出される事に抵抗は無かった志貴だが、只一人実家に残してしまった
妹、「秋葉」を思うと、申し訳ない気持ちで一杯になる。
・・・八年前に棄てた屋敷の生活。
八年間という歳月は長くて、あの頃の記憶は大部分が薄れてしまっている。
それでも。
ある事柄だけは、今でも強く心に焼き付いている。
それはーーーーー
★今回追加された分岐点:元気だった女の子の事だ★
★前回との分岐相違点:元気だった女の子の事だ★
妹の事はさておき、屋敷に居た別の女の子のコトを思い出す遠野志貴。
それはないんじゃないだろうか。
思い出したのは、当時屋敷に居たはずの、双子の女の子のコト。
身寄りが無く、使用人として働くことを前提に引き取られた、亡き親父から聞いている。
「志貴ちゃん、いっしょにあそぼ」
屈託の無い性格で、いつも明るい女の子。
内気だった秋葉の手を取り、よく俺たちと遊ばせようとしていた。
幼い秋葉と志貴との橋渡し役を買って出る、甲斐甲斐しい子だった。
「・・・・・・・・・・・・」
屋敷の二階で、遊ぶ志貴たちを見つめていた女の子。
無表情に眺めるだけで、決して屋敷から出てこようとはしなかった。
志貴本人も。ーーその女の子とは、最後に少しだけ言葉を交わしたきりだった。
「あの子たち、今も屋敷にいるのかな・・・」
そういって、志貴は鞄から白いリボンを取り出す。
古びた白いリボンは、最後に彼女達から渡されたもの。
「・・・貸してあげるから、返してね」
それが、屋敷を出る直前、志貴と女の子と交わされた言葉・・・「約束」だった。
そのあと、もうカレーの福神漬けくらいの付足しで
秋葉が屋敷に居るからもどるんだ、と補足する遠野志貴。
それはないんじゃないだろうか。

「お待ちしておりました」
屋敷に到着すると、出迎えてくれたのは割烹着の女性、「琥珀」。
幼少の頃、一緒に遊んだよね?という志貴の問いに、嬉しそうに笑みを零す琥珀。
琥珀に連れられ、訪れた応接室には

凛とした表情の妹「秋葉」と、侍女服姿の女性「翡翠」。
志貴を遠野家に呼び戻したのは、父亡き後、現当主となった「秋葉」の意向であった。
半ば強引に翡翠を志貴付きの侍女とされ、自室に案内される志貴。
自室にて、琥珀が幼年期に遊んだ女の子であった事を思い出す志貴。
だとすれば、この子も昔屋敷に一緒に居た子だ!と舞い上がる志貴だったが、
この女の子とは、結局遊んだことがない。
白いリボンを片手に気まずい気分になる志貴に感情を見せることなく、
翡翠は「幼少のこととはいえ、申し訳御座いません」と一礼するのみだった。
食後、自室に篭っていると、翡翠がベッドメイクに訪れる。
屋敷の門限が7時、屋敷内ですら、10時以降は出歩かないことなど
厳しい屋敷内のルールを翡翠から確認する。
それでは、と部屋から出ようとした翡翠に、まだ質問が有ったと
肩に手をかけたその瞬間ーーーーー
超反応で志貴の顔面腕を叩き、距離を取る翡翠。
「何か悪いことしちゃったかな」と、呆然とする志貴だったが、
現代社会では安易に女性の肩に手を置く行為はセクシャルハラスメントとして
訴えられるのは当然である。別にこの場合呼びとめりゃ良いだけの話だし。
当然の報いだと思うよ。
深夜ーーーーー
オーーーーーーーーン。
オーーーーーーーーン。
屋敷へ戻った緊張と、久しぶりに会った妹「秋葉」の変貌。
慣れない生活への戸惑いから、疲れを見せる「遠野志貴」に追い打つ様に、
屋敷の外で、声高らかに鳴き続ける犬の声。
眠れず、苛立ち気味にベットから起き上がり、ギョッとする、志貴。
窓際に、鴉。
闇夜の中、黒いはずのその姿は、確かに蒼く。
煌々と輝くアカイ、ヒトミ。それが、機械レンズの様に、ぎょろり、とこちらを睨んだ。
不安と、悪寒・・・何よりも、声への苛立ち。
ついカッとなって何かしでかしてしまうタイプなのか、
なぜか制服に着替えて犬を追い散らしに屋敷の外にでる遠野志貴。
近年増加を続ける衝動犯罪が心配される行動原理だ。

「普段はー、真面目な学生さんに見えたんですけどー、
何かー、友達と口論とかになるとー、突然暴れだしたりはー、してましたー。」

「私もよくしらないんですけどぉ、先生や友達にー、
関係ないじゃないか!とかいってー、ナイフとか振り上げてましたー。
目が普通じゃなかったですー。」
(注:一部音声を変えております)
眠りを妨げられ、屋敷の外へ様子を見に出た「遠野志貴」の前には、
野犬ではなく、黒いコートを着た一人の男が立っていた。
黒い塊。その中で、凶器みたいな理性をもった目だけが、
爛々と輝いているーーーーーーー
「ここでは、なかったか」
その一言を残し、去っていく黒いコートの男。
言葉すら交わすことの無かった、その男との接触に、
「遠野志貴」の体は、何故か震える。
何事も無く、自室に戻ってからも、震えは止まらない。
頭痛、貧血の様な眩み。
気が付けば、
魔眼を封じる眼鏡すら超えてーーーー
ーーーーーあの「線」が、視えていた。

なんか、形式が変わりましたね。私達のコメント差込は無しですか・・・
前半はさして盛り上がるような部分も有りませんしねぇ。
まぁ、こんな所で進めて行きましょう。そもそも貴女達はTOPにでしゃばり過ぎです。

なんだか随分シエルさん寄りの冒頭で不安でしたけど、ようやく
私達もエピソードらしいものが加わりましたね!
加わったのはいいですけど、改めてキャラ違いを認識しますね。
特に翡翠(仮)。別人とかそんな問題ではないですね。
今更こんな事言い出すのもアレですけど、貴女のモチーフが誰なのか、
もう私にも判らないんですが・・・
まぁ、従来の魅力的なキャラ設定に
トラ耳と愛嬌が加わったと思って頂ければ・・・

・・・どちらかと言えば、従来のキャラ設定から
聞く耳とIQが抜け落ちたってカンジなんだけど・・・
というか、そもそも従来のキャラ設定自体を知りませんし・・・・・・
話の展開だけだと口の利き方がなっていない侍女って印象なんですが・・・
それが何か?って最後の一言余計だろ・・・
おぎやはぎか、オマエは
まぁ、そんな日も有るという事で・・・翡翠(仮)ですが何か?
・・・・・・・・・

まぁ何にせよ、ようやく私達も本編へのカラミが見えてきましたね!
この調子で、私達(っていうか私)のシナリオに移行出来るよう頑張りましょう!
メインヒロインを狙って行きましょう!
ピューと吹く!ジャガー うすた 京介 (著) 発行 集英社
2004/12/20 第23回

さて、前回からちょっと手法を変えての「月姫プレイ記」ですが・・・
2周目ですけど、結構反芻しているカンジではありますね。
まぁぶっちゃけ一周目は全然内容みてなかった上に
もう半年前なので忘れてますからね。それに初期のプレイ記は
しょーもない脱線ばかりで全然ゲームを掘り下げていませんし・・・

そんな、真剣に遊んでるみたいな発言しないでください!
前回だって月姫自体のプレイ時間よりも、画像探しに
ジャガー読んでる時間の方が長かったクセに!!
せっかく、私達の過去話とかも絡み始めたんですから、
もっと真面目にやってくれないと困ります。

翡翠(仮)ちゃんも真面目にやるなら
そのふざけた耳を取らんかぁーーーーっ!!

そっちじゃないっっっ!!!
あらヤダ!
・・・そうそう・・・初期のプレイ記はこんなのばっかりやってましたね・・
・
今、改めて見ると正直意味不明もいいとこですね・・・・・・
1/反転衝動
2day / october 22 (Fri.)
先生は言った。
この目が見てしまうモノは、物の壊れやすい個所なのだと。
それは人間でいうのなら急所、ということだろうか。
そこを刃物で通せば、何の力も要らずにモノを切断できてしまう線。
鉄みたいな硬いものでも、あの『線』は等しく切断できてしまう。
「つまりね、志貴。
あらゆるモノは壊れてしまうという運命を内包しているのよ。
カタチがある以上、こればっかりは逃れようが無い条件だからね」
先生はそう言った。
子供のころ。
その意味がようやく理解できて、とても怖くなった記憶がある。
それはつまり、セカイはツギハギだらけでいつ壊れてもおかしくないという事だ。
生命の死、以上に、地面や、壁、空、生活する空間で『線』が見えるという恐怖。
今にも崩れ落ちそうな大地、簡単に倒壊しそうなビルの群れ。
普段生きていくだけでも、毎日が世紀末。
こんな線がいつも見えてしまっていたら、
とてもじゃないけど 生きていけないーーーーーー
蒼崎青子に貰った魔眼封じによって、日常生活の不安は解消できていた。
はずだった。
はず、だった、のにーーーー
「−−−−おはようございます」
「朝です、お目覚めの時間です、志貴さま」
翌朝・・・昨夜より、志貴付きの侍女となった翡翠に起こされる。
慣れない屋敷の、朝。−−−ずきり、とこめかみに痛みが走る。
魔眼封じの眼鏡をかけると、周囲の『線』が見えなくなる。
昨晩は、魔眼封じすら超えて、あの線が見えていたが・・・
気のせい、と誤魔化すように、自分を納得させる志貴。

応接間でくつろぐ秋葉と琥珀に挨拶をすませ、昨夜、
外で野犬の声が五月蝿かった事を、いつもああなのか?と問う志貴。
だが、秋葉も琥珀も、顔を併せて首を傾げる。
「ははあ。それはワンワンパニックですね」
・・・・・・琥珀さんは、なんだかどこかズレてる気がする。
とか考える志貴だが、ズレてるとかそんな問題じゃない。
小馬鹿にされとる事に気付け。
ヽ(`Д´)ノズレてるのは、オマエだ!
全般的に高圧的な態度の秋葉を見送り、自身も学校に向かおうと
玄関に向かう志貴。
翡翠に鞄を渡され、玄関を出ようとしたその時、
二階から慌てて琥珀に呼び止められる。
有馬家からの届け物です、と渡された20センチ程度の木箱。
父からの遺品、と聞き、部屋に置いておいて、と頼むものの
興味深そうな琥珀に根負けして、その場で箱を検める。
握りの裏に七夜と記された、飛び出しナイフ。
興味が有ったのか、後ろから覗いていた翡翠からは由緒正しい古刀と断じられる。
七つ夜と銘打たれた、短刀。
それを何の気なしにポケットに入れたまま、志貴は屋敷を飛び出した。
ーーー屋敷の入り口、その脇ではなにやら人だかり。
ーーー屋敷の外に、血痕。
・・・・・・昨夜、あの黒コートの男が居たあたりの、場所だ・・・
血の跡・・・・血のあと。
そういえば、たしかに。
なにか、赤い色を見た気がしたけれどーーーー
翡翠に、声をかけられ、慌てて屋敷を飛び出す志貴。
なにかが色々と起こっている、気がするが。
違和感は、未だ、遠野志貴の日常にとっては、たまたま、気のせいといった範疇を抜けなかった。
ーーーこの後、あの女に出会うまでは。
・・・こうやって、物語の軸をネロ・カオス主体にしてなんとかテンションを上げようとする
自分の行為に、ちょっとだけ涙がこぼれそうになった。
オフィス街を抜け、学校までの道をひた走る遠野志貴。
この街で起こり続ける、連続殺傷事件をうけて、どこか淋しげな朝の街並。
学校に到着。時間に余裕に無いまま教室に駆け込むと、
そこには有彦とシエル先輩の二人。
志貴が居るかと尋ねてきたシエルは、すっかり志貴を気に入っている様子。

「・・・・・・そうなんですか?遠野くん、あんまり怒りそうにないですけど」

「・・・・・・いやぁ、そんなコトはないぜ。遠野はねー。普段大人しい分、
自分が理解できない事に出遭うとプッツーンとイッちまうヤロウなんだって」

「・・・・・・はぁ。ぷっつーん、ですか」

「・・・・・・そうそう。一度キレると見境がなくなるから、先輩もこいつを信用しちゃダメだぜ」
さすが付き合いが長いだけあって、かなり志貴の本質を突く、有彦。
志貴が事件を起こした暁には、きっとメディアに良いコメントを残すことだろう。
その後、家での生活を愚痴る志貴に、今朝のニュースは見ましたか?と問うシエル。
志貴は見ていなかったが、TVに映っていたのは、遠野家の屋敷。
「遠野君、あんまり夜遊びしちゃダメですよ」
そういい残して立ち去るシエル。
奇妙な話の流れに、ある種の警告が含まれていたことに、その時志貴は気付かなかった。
午前の授業が終わって、昼休みになった。
有彦は一足先に食堂に行っている。
さて、どこで昼食をとろうか。
★今回追加された分岐点:茶道部に顔を出しに行こう★
★前回との分岐相違点:茶道部に顔を出しに行こう★
下心丸出しにシエルとの会話目当てで茶道部部室に足を向ける志貴。
目論見どおり部室にシエルが居たので、一緒に昼食を、と
臆面も無く言ってのける志貴。
その図々しい発言に、迷惑そうな表情のシエル。
仕方がないので、カレーパンあげるから一緒に昼食を、と
餌付けを試みる遠野志貴。
「はい、どうぞどうぞ!ちょうどお茶をいれてたところですから!」
前回でシエルをカレー好きと見抜いたまでは兎も角、カレーパンを
用意する志貴の情報処理能力と用意周到さには恐れ入る。
恐れ入るがなにこの頭の悪い会話。
和室でくつろぐ中、二人の会話は自然と遠野家近郊で起こった連続殺人の話。
熱心に話すシエルと、わりと危機感の薄い志貴。
血を抜かれた死体に、「現代の吸血鬼」という安直なテロップ。
会話はそのまま吸血鬼の話となる。
吸血鬼に血を吸われた人間は、そのまま吸血鬼になるんじゃないの、
という志貴の質問に、シエルは吸血鬼になれなかったから、
死体として残ってしまったんじゃないでしょうか、という仮説。
その仮説に沿うならば、既に見つかった死体11名などは氷山の一角で
吸血鬼になってしまった人間はそれ以上に・・・
ホラーな話だね、と軽く言う志貴に、そうですね、と返すシエル。
現実味の無い話に交えられた、どこか現実めいた話。
客観的な意見を述べれば、シエルは組織所属の人間として
どうにも口が軽すぎるのではないかという事くらいであった。
5時間目ーーー
不意に、強烈なめまいに襲われる遠野志貴。
突発的な眩暈・・・持病となっている、貧血の前触れ。
とっさに気付いた有彦に体を支えられ、そのまま有彦が
教師に早退の許可を取る。長年付き合った中、有彦には見慣れた光景でもあるらしい。
「ほら、帰っていいとよ。そんな青い顔しやがって、
まずいと思ったらすぐにまずいって言わねぇとわからねえだろうが」
有彦の気遣いに礼を述べて、そのまま早退する志貴。
重い頭に気を張って、屋敷までの帰り道を戻り続ける、志貴。
一度は持ち直したものの、オフィス街の傍で、またも気分が優れなくなる志貴。
道端で倒れこむわけにもいかず、ガードレールに腰掛け、一休みをした
その時

遠野志貴の、視界が凍る。
ーーードクン
脈拍が跳ね上がる、
静脈と動脈が活性化する。

ーーードクン。
なにか、獰猛ななにかが、全身を駆け巡る感覚。
強烈な欲求。強烈な本能。
もはや、
志貴には、それに抗う術はなにひとつなかった。
メインヒロインとしてはビックリするほど味気ない後姿。
なんかオーラの無い芸能人みたいだ。
そんなメインヒロインをストーキングする変態が一人。
混濁する意識の中、周到に、手馴れたように尾行を続ける。
女の自宅まで尾行に成功し、そのまま女の部屋へと向かう、志貴。
ポケットにある、偶然朝手渡された、ナイフを玩びながら。
女の部屋の前で、チャイムを押す。
「はいーーーー」
相手が、扉をわずかに開けたその瞬間ーーー一瞬で滑り込み
「えーーーーー」
女の声があがった、その時には
女は、肉塊に解体されていた。
『ーーーえ?』
直後、目覚めたように、遠野志貴の理性が戻ってくる。
目の前には、バラバラに散った、女の、体。
フローリングの床には、大量の、血。
『なん、でーーーー』
自身が、たったいま、めのまえで、このオンナを
切り刻んだから
『俺がーーー殺した?』
もはや、困惑するしかない志貴。
自分が本当に殺したのか、何故殺したのか、何故、何故、何故・・・・!?
ぬるり、と足元に血が流れ、靴に染み込むさまにハッと現実に帰る志貴。
違う、俺じゃないーーー
俺じゃないーーーーーーーー
目の前には、たしかに、バラバラのオンナ。
手には、血に濡れたナイフ。
違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う、
違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う、
違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う、

違違違違違違違違違違違違違違違違違違偉違違違違違違違違
違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違
違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違
違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違ーーーーーー
「ちがうよーーーちがう、ちがう、ちがう、ちがうちがうちがう・・・・・・!
俺は知らない、こんなヤツ、街で見かけただけのただの他人だ・・・・・・!
ほら、おかしいじゃないか志貴・・・・・・ただの他人をさ、どうして俺が
殺さなくちゃいけないっていうんだよ・・・・・・!」
混乱のあまり、一人小芝居を始める遠野志貴。その錯乱ぶりが伺える。
叫び声をあげて、マンションを飛び出す遠野志貴。
もはや、死体の処理なども、現場の痕跡なども、考える余裕も無く・・・
「ごーーーぼーーーー」
公園で跪き、嘔吐する志貴。
激しいトラウマとなっていることは、もはや想像に易いが、
これがアルクェイド編では出会いの切欠なんだから
世間で言う運命的な出会いもロマンチックもたいした価値でも無いような気がする。
アルクェイドにいたってはバラバラにされたのが理由で好きになる
ワケだから、ヽ(`Д´)ノもうどんだけMなんだオマエは、と言いたくなる。
多分、志貴の前にケンシロウにあったらもうゾッコンだった事だろう。
あのとき、彼の手で受けた岩山両斬波。
あの痛みは・・・もしかして、恋?
もうわたしは、カレの事を一時も忘れることができなくなっちゃいました・・・★

過去に、先生は言った。
この力は、とても危険なチカラなのだと。
その気になってしまえば、人間をバラバラにしてしまえるこのチカラ。
もはや胃の中は空っぽなのに、血を交えながら、嘔吐を繰り返す志貴。
簡単に、人を殺せるチカラがあるのに、普通に過ごしてしまった事への懺悔の様に。
この目を潰してしまうか、誰とも会わない生活をするべきだったのにーーー
「俺ーーーー狂ってるの、かな」
長い、長いあいだ、悔恨の時が流れる。
公園の日が落ち、雨がしとどに振り続ける。
震える体、凍える体・・・だが、もう、そんな事はどうでもいい。
このまま
死んで
しまえば
「・・・・・・遠野・・・・・・くん?」
★前回との物語相違点:アルクェイド殺害直後、琥珀ではなく、シエルと出会う★
雨に濡れる志貴を心配して、手を差し伸べるシエル。
だが、その志貴の冷え切った体の冷たさに、慌てて志貴に屋敷に戻る様促す、シエル。
人を殺してしまった自分に、帰るところは無い。
半ば自棄になっている志貴の様子をじっとみていたシエルだったが、
「ーーーわかりました。それじゃあわたしの部屋に行きましょう。
遠野くんの家よりは近いですから、ちょうどいいですよ」
このまま見捨てることも出来ず、シエルは自分の部屋に志貴を休ませようと、腕を取る。
もはや志貴には、その手を振り切る気力も、ない。
あ、今更ですが上の「違」連呼のなかに、そっと一文字偉が混じっていましたが
皆さん直ぐに気付かれたでしょうか?

って、そんな頭の体操みたいな試みいらないっての!!
体を拭き、紅茶でひとまず体を温める志貴。
だが、心の中はまるで落ち着く事はない。

「わたし、ちょっと出てきます。お留守番、頼めますか?」
そんな志貴を気遣ってか、何も聞かずに部屋を出る、シエル。
一人きりになり、その気遣いに、胸が熱くなる志貴。
早くもルートが確定してしまった感がある。
戻ってきたシエルは、着替えや食材を用意していた。
先輩に優しくされる資格なんて無いのに、と自分を追い詰める志貴を
優しい笑みで諭し、シエルは結局、志貴をそのまま自室に泊める事とした。
自分のベットを志貴に貸し、床で毛布に包まるシエルに、心を奪われる。
人を殺してしまった自分が、こんなあたりまえの学生のように、異性を意識している。
この先、自分はどうすればいいのか・・・・・・

「遠野君。早く眠らないと、明日遅刻してしまいますよ」
眠らない志貴を気遣い、声をかけるシエル。
今は、嫌なことは忘れて、眠ってほしい、と。
だが、あれは忘れてはいけない。忘れられない。
自身の罪を噛み締める志貴に、シエルは
「人は、誰しも罪を犯しながら生きている」と諭す
「・・・・・・なんだよ先輩。それじゃあさ、なんか救われないよ。
みんなが過ちを犯してるなんて、そんな例え話、好きじゃない」
「・・・・・・そうですね、それじゃあ救われませんね。
けど、罪というものは償えるじゃないですか。
世の中には、罪を償える人と償えない人がいるだけなんです。
ですから、救われない人というのは、どうあっても
自分の罪を償えない人のことだと思います」
・・・・先輩の声は、なぜか哀しく聞こえた。
「・・・・・・・・・償い、か」
シエルの言葉に、すこしだけ先のことを見つめなおす志貴。
殺人事件として挙げられれば、もう普通の日常を送ることは出来ないだろう。
先輩とも、こうして話すことはなくなる。それはとても辛い事。
でも、それが償いになるのなら、受け入れるしかない。
受け入れる覚悟を決めれば、おのずと現実が、先が見えてくる。
志貴は、残りわずかと覚悟したこの日常を思いつつ・・・
ゆっくりと、眠りに落ちる。
ーーーーー
途中、衣擦れの音に目を覚ました時
上着をはだけ、うつろな瞳のシエルの体に、ぼう、と浮かぶ紋様が見える。
その刺青に、なにかよくないものを感じながら
志貴は再び、まどろみの中に落ちていった。

ってなんじゃあこりゃあーーーー!
も、もう殆どシエルさんルート確定っぽい流れじゃないですかっ!!
私達の出番は早くも二日目で終了ですか!?
まぁ、運が無かったと諦めてもらうしかないですかね・・・ご愁傷様でした。
個人的にはこのシエル嬢もなんとも絡みづらい部分は残してますが・・・
まぁ、前回の情緒不安定との絡みよりは全然納得できますかね。

納得いかねぇーーー!?特にアタシは一周目も殆ど出番なかったのに
ここにきて更に削られるってどういうことですかっっ!!
まあ、多分姉さんは元々粗雑な扱いなんじゃないでしょうか?
なんせたまの発言がワンワンパニックですから・・・
やだ、なんか寒・・・・・・

うるっさいわね!!ほっときなさいよ!
2005/01/26 第24回

さて、シンジ育成プレイ記も終わって、ようやく更新ですか・・・
もう来月にはこのコンテンツも1周年だというのに、
未だに一周しかクリアしてないってどういうことですかっ!

シンジ育成は4ヶ月で29回更新完了してるんですから、
このコンテンツももうちょっと本気を出せば、
既に3周分はプレイ記を挙げられたのではないですか?
いえいえ・・・これ以上の過度なプレイは体と心に悪そうですので・・・
某名人も言われていたでしょう?ゲームは一日一時間!

一時間で出来るゲームって、アクションとかの話でしょうが!
サウンドノベルを二週間から1ヶ月以上も期間を空けてプレイなんて
全然話を楽しめていないじゃないですか!!

ぶっちゃけ、時々内容を忘れてたじゃないですか!!
まぁ確かに物語を楽しむ為、シンジ育成は3日に1回はプレイしてましたがね・・・
エヴァ関連の情報も、相当数見て廻りましたよ。あまり詳しくなかった原作も
結構詳しくなりましたしね。プレイ記に重要なのはやはり、やる気です。

判ってるならやる気をださんかぁーーっ!!
ニュースネタ、オタネタ、月姫(?)ネタのサイトなんでしょうがっっ!!

それをいうなら、のっけのニュースネタって時点で既に嘘ですからね・・・・・・
ホント、何のサイトなんですか、ここは・・・・・・

3/黒い獣
3day / october 23 (Sat.)
「−−−−−−ん」
朝ーーーー、窓越しの日差しに目覚める遠野志貴。
昨夜の雨は止んだようだが、曇った空は爽やかな朝とは言い難い。
結局、志貴はそのままシエルの部屋で朝を迎える事となった。
昨夜に女を切り裂き、罪悪感の抜け殻状態だった事まですっかり忘れて、
目覚めた部屋が自分の部屋でない事にぎょっとする志貴。
昨日の事は忘れてはいけない事だったはずだが一眠りで忘れている。

「あ、おはようございます。昨夜はぐっすり眠れましたか、遠野君?」
学生服姿のシエルの挨拶に、ようやく昨夜の経緯を思い出す志貴。
「えっと、昨日はすみませんでした。
色々おせわになっちゃって、そのーーー」
「はい、一つ貸しにしておきますね」
ーーーーシエルはそれ以上何も言わず、志貴を許した。
時刻は朝の六時。随分早い目覚めに、一旦屋敷に戻ろうとする志貴だが
既にシエルが連絡を済ませている、との一言で酷く狼狽する志貴。
「ーーー困る。それは、すごく困る」
女の子に「今夜志貴君はうちに泊まります」とか連絡されて、
秋葉が電話に出たりしたら、俺はとんでもない女ったらしという誤解をされてしまう!
もっととんでもない事をした事を忘れている。
女ったらしとかそんな迷惑レベルの話をしている場合ではない。
喉もと過ぎれば熱さを忘れる、という諺が有るが、ひょっとすると彼は
一回悩んだらもう罪悪感ゼロなのではないだろうか。
ヽ(`Д´)ノだったら翌朝に忘れるなよっっっ!!
「・・・・・・遠野君・・・・・・わたしの部屋に泊まった事、
そんなに嫌だったんですね」
狼狽する志貴に、がっかりした表情で呟くシエル。
それにしどろもどろになって「先輩が嫌いとかじゃなくて・・・!」と弁解する志貴。
昨日先輩が居なかったら、どうなっていたか判らない、という志貴に
「−−−はい。そうですね、遠野君の顔はいつもの調子に戻ってくれてます。
昨夜どうしたか知りませんけど、元気になってくれて嬉しいです」
そういったシエルは、満面の笑みを浮かべていた。
結局、昨夜は乾有彦にお願いして、「志貴は有彦の家に泊まった」と
連絡してもらったとの事を聞き、ようやくホッとする遠野志貴。
「・・・・・・ああ、それなら問題はないけど・・・・・・
先輩、ちょっと趣味悪い。いまのは本当に心臓が止まるかとおもったじゃないか」

「はい。わたし、わりといじわるなんですよ。
好きな子っていじめたくなるじゃないですか」
そのシエルの狙い済ました一言に、さらにドギマギする遠野志貴。
からかう様な言動の多いシエル嬢は、確かにちょっと性格悪いいじわるだ。
結局、朝のうちに屋敷に戻る事となった志貴に、シエルは最後に
「お守りです」と古ぼけた指輪をひとつ手渡す。
例によって「貰えるものはなんでももらう」と、指輪を貰うという事に
何の疑問も持たず、志貴はそれをポケットに入れた。
「また、学校で」と、笑顔で見送ってくれるシエル先輩を尻目に、
志貴は、その笑顔はもう二度と見れないかもしれない、とようやく考えていた。
時間から考えれば、既に昨夜の女の死体は警察に見つかっており、
屋敷には既に警官が待ち構えていてもおかしくない。
殺害の後、痕跡をなにもかも残したままだったのだ。
逮捕される事を覚悟して屋敷に戻った志貴だったが、屋敷は普段どおりの様相を見せていた。

「あ、おかえりなさいませ、志貴さん」
当たり前の様に、琥珀に笑顔で出迎えられ、逆に困惑する志貴。
問いかけにならないまま言葉を紡ごうとするも、その前に琥珀から
「朝ごはんは直ぐにご用意します」、と普段通りの返答が帰ってくるのみ。

「ーーーおはようございます、志貴さま。
お帰りになられたのですね」
自室に戻れば、翡翠が普段通りに出迎えてくれた。
昨夜の汚れた制服の代わりに、まっさらの制服を翡翠から受け取り
居間に向かう志貴・・・・・・ここまでは、普段通りの対応。

「−−−あら、おはようございます兄さん。
いつのまにかお帰りになっていたんですね」
志貴の頻繁な外泊に不機嫌を隠そうとしないものの、秋葉も普段通りだった。
というか、最初の琥珀が普通だったワケだから、もはや屋敷に
警察の事情徴収どころか、何の連絡も無い事は間違いない。
「だいたいですね、学校を早退されるにしても
連絡を入れてくだされば、迎えの車を送れるじゃありませんか。
何を遠慮しているか知りませんけど、兄さんは遠野家の長男なんです。
使えるものは何でも使ってください。」
「・・・・・・そうでなくても、兄さんは人より体が弱いんですから」
昨日の早退も併せて連絡が伝わっているらしく、しきりに
志貴の体調を心配する秋葉。
車での送り迎えを提案する秋葉に、大丈夫、心配してくれるのは嬉しいけど。と返す志貴に
「・・・・・・そんなこと、ないです。私、兄さんの心配なんてしてません、から」
小首を傾げ、照れ隠しの表情の秋葉。
屋敷は、普段通り、いや、昨日以上に平和なまま。
秋葉のしぐさに微笑ましいものを感じながら、志貴はまた殺人の件を忘れ始めていた。

「ーーー今朝の志貴さまは、ひどく無理をしているように見えます。
どうか道々、お気をつけくださいませ」
翡翠に見送られ、そのまま普段通りに屋敷の門をくぐって、学校に向かう。
だが、翡翠は志貴に、なにか不安なものを感じ取っているようだった。
ーーー今日が、最後の登校になるかもしれない。
悔いを残さないように、と普段通りの生活を心掛けて出発する志貴。
罪悪はふとした拍子に思い出し、志貴の心を蝕んでいく。
それから逃れる事ができるのは、女とイチャイチャしている時だけだ。
朝の、学校前の交差点。
学校前の住宅街であるそこは、普段は学生で溢れ、学生以外はあまり見かけることはない。
・・・・・・普段、なら。 それしか、居ない はずだった
「ーーーーーーーーな」
息を呑む、遠野志貴。
登校途中に目に入る、女の姿。
肩口までの金の髪に白い服。細く長い眉と赤い瞳。
人待ち顔で 昨日殺した あの女が
こっちを見て笑っていた。
女は親しげに手を上げて笑みをむけると、ガードレールから腰を上げた。
ゆっくりと、確実にこちらに向かってくるその女に、
志貴は、どうしようもない恐怖を浮かべる。
「ーーーーーーー来る、な」
女の歩みは、止まらない。
「ーーーーーーー来るなよ」
女の歩みは、止まらない。
車の行き交う交差点を、意に介さずに、近づいてくるーーーー
「ーーーーーーー来るなよ」
あと、ほんの数メートル、女の姿が近づいた時・・・
志貴の恐怖は、限界に達し、はじけた。
「ーーーーーーー来るなって言ってるのにーーー!」
感情のまま、脱兎の如く逃げ出す志貴。
なぜか、直感的に、そう思うーーーー
掴まれば、 俺は、 あの女に、 殺される
女の表情は、笑みを崩さないままだった。
「はっ、はっ、はっ、はっーーーーーーー!」
「はっ、はっ、はっ、はっーーーーーーー!」
息を切らせながら、必死に逃げる志貴。
追う女は、笑みを浮かべたまま、歩むように追ってくる。
全力疾走なのに、振り切れないーーーー
「・・・はは、ははは、あははははははは!」
唐突に笑いだす志貴。笑いが止まらない。
これかぁーーーーー!!!
走りすぎて、脳内エンドルフィンが出てしまった志貴。
バキ理論でいくと、今の志貴は強い!死ぬまで動き続けられるはずだ。
「あっーーーー」
だが現実は甘くないらしく、情けない声を上げて無様に地面に倒れこむ志貴。
死ぬまで動き続けられる脳内エンドルフィンにも関わらず、
路地裏の行き止まりであっさりと動けなくなった。
「・・・たしかに、殺したのに」
そう、確かに殺したの、何故ーーーーー!?
殺したはずの女が、翌日には平気な顔で追ってくる。
混乱のあまり、何故を頭で連呼する志貴。混乱するとなにか言葉を連呼するのは
いい加減見飽きた志貴混乱のサイン。当然考えが纏まることも無い。
「あれ、追いかけっこは、もう終わり?」
志貴を追い詰めた女は、残念そうな表情。
この女からすれば、志貴との追いかけっこも遊びと大して違いは無い。

「こんにちは。昨日は本当にお世話になったわ」
「長かったなぁ、あれから十八時間、ようやく標的を捕まえた」
「お、おまえーーーー」
「何?」
「おまえは、たしかにーーーーー」
「ええ。昨日貴方に殺された女よ。覚えていてくれて嬉しいわ」
相手の女も、"殺された"と認めた。
では、何故死んだ人間が生き返るというのか?
立場を忘れ、逆切れ気味に叫ぶ志貴に、女は、何でもない事の様にあっさりと

「生き返ったのよ」
「わたし?わたしは吸血鬼って呼ばれてるけど。
あなたたち流に言えば、人間の血を吸って生きてる怪物かな」
非現実的な話を、飄々と語る目の前の女。
だが、志貴には既に、その話を冗談、非現実的と笑い飛ばせないだけの・・・
ーーー笑い飛ばせない、理由が、有る。
非現実的な話と、少なからず相手が生きていた事から、不思議と落ち着く志貴。
相手も、直ぐにこちらを殺そう、という訳でもない様子。
"殺した者""殺されたモノ" 奇妙な関係ながら、二人は経緯を語りはじめる。

「ねっ、反省してる?」
「−−−−え?」
「わたしを殺しちゃったことを反省してるかって聞いてるの。
それでね、もし貴方が反省してるっていうんなら、許してあげようかなって。
ーーー貴方、人間にしては嘘が下手そうな感じだし」
信じられない、申し出。
目の前の吸血鬼は、"殺した"事を、ごめんなさいの一言で許そうというのだ。
その申し出を受け、悔恨と罪悪感を懺悔する志貴。
生きていればいい、という事ではない。"殺した"という事実・・・それは曲がらない罪悪。
朝はすっかり忘れていたが、忘れてはいけない事実なのだ。
「−−−そっか。うん、いい人なんだね、あなた」
そう呟いた女は、本当に優しげな笑みを浮かべていた。

「決めた。やっぱり貴方にはわたしの手伝いをしてもらうわ」
笑顔で志貴を許した彼女は、志貴を気に入ったのか、
彼女はさらりと、そんな事を言い出した。
金髪、赤い瞳の女吸血鬼。これが彼女との数奇な出会い。
自らも吸血鬼を名乗りながら、この街に現れた他の吸血鬼を狩る者という。
今、街にはびこる吸血鬼を狩るためにこの街に訪れたのだという。
だが、志貴に一度殺害され、そこからの再生に膨大な能力を費やしてしまった。
弱った力を補う為に、志貴に、暫くの間"盾"として務めてもらう、という。
突然の申し出に狼狽する志貴。殺してくれた責任を取りなさいよ、と詰め寄る女。
その時・・・
「・・・・・・あれ?」
「ちょっとまった、アレ、なんだろう」
・・・ビルとビルの切れ目に、おかしなモノが有る。
確認しようと近づいた志貴の目の前にいたのは・・・
ーーーー鴉。二日前に見た・・・アオイ、鴉。

「−−−−まいったな」
「もうっ、貴方がいつまでもぐずぐずしてるから見つかっちゃったじゃない」
そういって苦い顔を浮かべた女の視線の先。
何の事かと視線を追った志貴は、ぎょっとする。
ーーー目の前には、微妙にデッサンの狂った一匹の犬がいた。
どこか歪つフォルムをした強靭な四肢と、ピンとはりつめた鉄骨のような首。
明らかに、微妙にデッサンの狂った『狩猟』生物。
その微妙にデッサンの狂った黒い獣に、志貴は直感的な恐怖感を覚えた。
まぁこの後は前回と同じで、アルクェイドが黒犬をやっつけて終了。
というか、この辺の描写は前回と全く同じなので詳しく取り上げる必要無かった。
微妙にデッサンの狂った犬のお陰で、無駄に描写に熱が入っていた事に気付けました。
ありがとう、微妙なワンちゃん。
突然襲ってきた、黒い犬を撃退した金髪の女。
打ち倒したその犬は、コールタールのようにどろどろになり・・・そのまま壁に染み込んで消えてゆく。

「・・・・・・溶けた・・・ううん、今のって、もしかして融けたのかな。
ーーーーまさかね。こんなところに混沌があるわけないか」
そう呟きつつも、どこか釈然としない表情の彼女に、今の犬は何かと問いかける。
彼女は、あの犬は敵の吸血鬼の使い魔で、今のやりとりで見つかってしまった事を告げる。

「ちょっとまずい展開になってきた。
こうなったら、本当に貴方には盾になってもらわないといけないみたいね・・・」
今の戦闘で志貴を庇い、残る能力を使い果たしたという彼女。
しかし、普段の志貴は普通の学生ーーーと、本人は思っている。
今の戦闘でも何も出来なかった。彼女の力にはなれない、と頑なに拒否する志貴。
普通の人間に、わたしは"殺せない"という彼女の言葉にも否定を続けるのみ。

「・・・・・・ふぅん。それじゃあわたしが眠っている間、
廻りを見張ってくれるだけでいい。それぐらいなら問題ないでしょう?」
憮然としつつ、そう申し出る彼女に、志貴は拒否する事がどうしても出来なかった。
自分自身に辟易しつつも、結局見張りを引き受ける遠野志貴。
「うわぁ、本当にいいの!?わたし、本当に吸血鬼なんだよ!?」
自分で申し出ておきながら、大げさに驚く彼女。
そして、
「これでやっと自己紹介が出来るわね。
わたしはアルクェイドーーーーうん、長い名前だからアルクェイドだけでいいわ。」
満面の笑みを浮かべて、手を差し伸べてきた。
ーーー吸血鬼、真祖、アルクェイド。これが彼女との数奇な出会い。
「それじゃあ宜しくね、志貴。
私を殺した責任、ちゃんととってもらうんだから」
「・・・・・・ん?」
路地裏を出たとたん、アルクェイドは不審そうに眉を寄せた。

「・・・ねぇ志貴。貴方って、もしかしてクリスチャン?」
思いがけない、アルクェイドの問い。
それに対し
「クリスちゃん・・・・・・?なんだよ突然。
そんな女の子の知り合いはいないけど?」
寒い天然ボケを返す志貴。だが、アルクェイドは

「そう。じゃあわたしの勘違いね」
人の話を全然聞いていないアルクェイドはそれを否定ととって会話は終了した。
遠野志貴、ボケ不発。
そのまま、ホテルの最上階一フロア全てを貸切にし、、そこで休む事となった二人。
博打馬鹿の当サイトのアルク(仮)姐さんと違って、本編のアルクェイドは富豪だ。
最上階の一室、アルクェイドが眠る間、志貴が見張りをする事に。
二晩・・・いや、一晩眠るだけでも、それなりに能力を回復できる。
部屋に篭ると、疲労の限界なのか、電池の切れたように眠りに陥るアルクェイド。
目の前の男・・・殺した男が居るというのに、なんという無防備な表情なのか。
その馬鹿正直さに、呆れつつも、どこか惹かれるものを感じる志貴。
「−−−−−ばかだな、こいつ」
そうつぶやいた志貴。そう、この状態からなら、何時でも逃げ出せるのに。
この危険な状況から引き返せる、最後のチャンスに、志貴の心が揺らぐ。
だが、ここで逃げるのは本当に最低だろう。
殺したことへの償いを考えていたんなら、尚更だ。
結局志貴は、アルクェイドの元を離れず、そのまま彼女の見張りを引き受ける事を覚悟した。
眠るアルクェイドを見つめる志貴。
呼吸をしているのがあきらかな、上下するふくよかな胸。
白くて滑らかな肌とか、さらさらと軽そうな金髪とか。
柔らかな身体のラインとか、しゅっと墨を引いたような長いまつげとか。
ヽ(`Д´)ノってオマエそれ視姦じゃねぇか!!
眠る女をジロジロと観察するデリカシーの欠片も存在しない主人公。
アルクェイド嬢はまったく別の意味で危険に晒されている。
とりあえず、そんな最低な行為をしつつも、志貴は彼女を護る事を心に誓っていた。
ちなみにストーカー理論もそういう勝手な自己責任意識で成り立つものらしい。
彼はまた同じ過ちを繰り返すのだろうか?
ーーーーー回想。
夏の、暑い日。
青い空と、大きな、大きな入道雲。
いつもの広場には、蝉の鳴き声が響き渡る。
えーん えんえん
えーん えんえん
えーん えんえん
秋葉が泣いている
おとなしくて、いつも僕の後についてきていた秋葉が、ぽろぽろと泣いている。
秋葉の足元には、子供が一人倒れている。
血にまみれた、殺されてしまった、自分と同い年ぐらいの子供の死体がある
蝉の、ぬけがら
この両手は
倒れている子供の血で、赤いのかーーーー
「シキーーーーーー!」
おとなたちが、やってくる。
倒れた子供は、死んだまま。
大人たちはさけんでいる。
おまえがコロシタのかとさけんでるーーーーーー
「志貴」
「ほら、目を覚まして。もう日が落ちちゃってるじゃない」
すっかり日の落ちたホテルの一室。
どうやら、志貴もそのまま眠りこけてしまったらしい。全然見張りになってない。

「もう。そんなんじゃ護衛失格よ。二人とも眠ってたなんて。
もし敵に襲われてたら、わたしも志貴も死んでたかもしれないのに」
「−−−−だから悪いって言ってるだろ。
それに昼間は安全だって言ったのはおまえじゃないか」
逆切れしてる。最低だ。
その後交わされる、色々なやりとり、吸血鬼談話。
アルクェイドは「真祖」と呼称される、生まれながらの吸血鬼。
敵である「死徒」は、人間から吸血鬼と化したもの。
「死徒」は吸血行為により際限なく同属である「死徒」「死者」を生み出す。
吸血鬼としては同属だが、その意識は大きく違える「真祖」としては、
秩序を乱す「死徒」を野放しにはしておけない・・・・・・
今、街に「死徒」が存在し、それが街を蝕んでいるのだ。
なんとかしなければならないのは、確かだった。

「志貴、あなたはどうやって私を"殺した"の?」
続くアルクェイドの質問。・・・アルクェイドは、吸血種でも上位に位置する「真祖」。
並みの人間はおろか、卓越した術者やエクソシストにすら容易には殺せない相手。
その事を自分自身よく知るアルクェイドは、志貴の能力を不思議に思っていた。
そこで語られる、志貴の「直死の魔眼」の能力。
モノの"死"を見、そこを断てば、全てを"殺せる"能力・・・・・・

「−−−−−直視の魔眼なんて童話の中だけの話だと思ってたけど、
居るところには居るものね。・・・貴方みたいな、突然変異の化け物が」
そう呟く、真祖の吸血鬼。
不老不死の吸血鬼が、化け物と呼ぶほどの能力ーーーー
一度とはいえ、アルクェイドを"殺した"その能力は、不死者すら脅かすものだった。
こんな目をもって、どうして生きていたのか。
そう問うアルクェイドに、魔眼封じの眼鏡を譲り受けた事を語る志貴。
かつて、先生"蒼崎青子"に譲り受けた眼鏡に興味を示し、
それを手に取るアルクェイド。

「・・・志貴。これを作った人、この街にいるの?」
「さあ。いないと思う。こう八年も前の話でさ、
ほんの一週間だけこの街にいたみたいだから」

「ーーーーそう。良かった、よけいな相手が増えなくて。
・・・・・・ま、もっともブルーが相手じゃ引いたほうが無難でしょうけどね」
深刻な顔で、ぽつりと呟くアルクェイド。
「アルクェイド。おまえ、先生ーーーじゃなくて、
その眼鏡を作った人を知ってるのか?」

「・・・・・・知ってるわ。現存する四人の魔法使いの一人だもの。」
そうつぶやいたアルクェイドの表情は、苦々しさを隠そうともしなかった。
その後も長話が続くなか、時刻はゆっくり、ゆっくりと過ぎてゆく。
とりとめのない話を繰り返しながら、朝までの時刻を、ゆっくりと待つ。
時刻は、もう4時。夜明けまでは、あと一時間といったところ。
ーーーー今夜は、もうこのまま夜明けを向かえそうだ。
そんな確信を持つ遠野志貴。
これで、アルクェイドの能力もだいぶ回復できるだろう・・・・・・
一晩中、眠るでもなく、ずっと話しかけてくるアルクェイドに辟易する志貴。
6時間もの長話で疲れたのか、空腹で腹の音が鳴る志貴に、
「ルームサービスでも取れば?」というアルクェイドに、満腹になると気が緩むから、と
断ったとき、ふと志貴にある疑問が湧き上がる。
ーーーーこの吸血鬼は、どれほどの血を吸ってーーー
ーーーーどれほどの人を殺したのだろうーーー
ちらり、とアルクェイドの顔を覗きみる志貴に、
ふふん、と鼻を鳴らしてほくそえむアルクェイド。志貴の態度に、聞きたい事を悟った様子。

「気になる?」
「わたしが、どのくらいの人間から血を吸ったのか、気になる?」
わたしは今まで何人の血を吸ってきたでしょう?、と
志貴にクイズのように問いかけるアルクェイド。
吸血鬼なのだ、"食事"と考えれば、相当数の人間が必要だろう・・・
3桁、それとも4桁だろうか、と答える志貴に、楽しそうに「はずれ」と返し、
「わたしは何かの血なんて、この八百年一度も口にしたことないかな。
・・・・・・ふつうの人間を殺した事だって、一度もないよ」
「ーーーわたし、血を吸うのが怖いんだもの」
そう呟いたアルクェイドは味気ない後姿を見せたまま、
その表情を・・・・・・心情を、志貴に見せることは無かった。
ーーー血を吸う事を恐れる、吸血鬼。
「・・・・・・きっと臆病なのよ、わたしは。
だからいつまでたっても、吸血種として半人前なんだ」
窓から夜空を眺めながら、アルクェイドは寂しげに、もう一言呟いた。
ーーー血を吸う事を恐れる、吸血鬼。
半人前と呟いたアルクェイドとは裏腹に、遠野志貴は、目の前の吸血鬼が
"半人前"である事が、なぜだか、とても、嬉しく思う。
そんなアルクェイドに声をかけようとーーー窓に目を向けた、その時
「あーーーー」
頭の奥に、ずきりとした、鈍い痛み。
一瞬、目の前が真っ赤に染まる。
なにか、良くない事の前兆ーーーー
窓の外を見て、愕然とする。
目の前には、あのーーー蒼い、鴉。
アルクェイドも、気付く。目の前の、使い魔・・・そして、その主に。
「・・・・・・ネロ?」
『イカニモ。ヨウヤク見ツケタゾ、真祖ノ姫ヨ』
言葉ではない・・・思念、意志が、部屋の中に流れ込む。
アルクェイドの目が、敵意に満ちる。
クワァ、と鴉が甲高く一声鳴いたときーーーーー
『コレマデダ。イマスグ、其処ニ行クゾ』
ゴンッッ!
ーーーホテルが、大きく音を立てて、揺れた。
テロだ、テロっ!
結局、遠野志貴の無事に終わりそうだという確信は、まるで的外れだった。
「なんだぁーーー!?」
突然の衝撃に、素っ頓狂な声を上げる志貴。
横では、アルクェイドが苦い表情のまま。口惜しそうに唇を噛む。
・・・耳を澄ませば、下層階からは叫び声が聞こえてくる。
アルクェイドは深刻な表情のまま、一切何も答えない。
ーーー衝撃から、二分。
二人の部屋は、静寂に包まれている。
その間も、アルクェイドは何かに耐えるように、じっと黙ったまま・・・・・・
唇は強く噛み過ぎたのか、赤い血が一筋、唇から流れ落ちる。
アルクェイドの能力を回復する為に訪れたこのホテル。
ーーーーアルクェイドは、この部屋から出ないと言った。
なら。
俺は、何のためにここに居るのか。
ーーーそう、"見張り"。この一晩、アルクェイドを護るためだ。
ならば、俺が動かなくてはならない。

「・・・・・・・・・志貴?」
「様子を見てくる。俺が帰ってくるまで、部屋から出るな」
ナイフを構え、志貴はゆっくりと廊下に出た。
廊下に、人影は無い。
階下からは、がやがやと騒がしい声。
ーーーーーこめかみの奥。眼球の奥が、ひどく痛む。
廊下を一歩一歩進むたび、痛みが、増す。頭が、痛む。
まるで、警報が徐々に高らかになるようにーーー
まるで、危機に迫る警戒信号の様にーーーーーー!
痛みに耐えきれず、眼鏡を外す。
とたん。壁に、床に、視界全てに広がる"死の線"。
『キコーーン』
廊下の突き当たり、エレベーターが到着した音。
その扉の隙間からーーー"線"が・・・"死の線"が・・・・
ーーーー否。
"死"が、見えた。
エレベーターの扉が開く。
そこには、もはや魔眼を使うまでも無くーーーー
ーーー死が、溢れていた。
その中には、二匹の黒犬。−−−−昼に遭遇した、微妙な黒い獣。
微妙な黒い獣が、エレベーターで肉を貪り喰っていた。
エレベーターの惨劇が、今、ホテルで起こっている"すべて"を物語っていた。
階下のざわめきはーーー悲鳴。阿鼻叫喚の、渦。
ホテルという箱の中、凄絶な、凄惨な『狩猟』が、繰り広げられているーーーー!
ギリ、と強く、歯と歯を噛む。
アルクェイドが、何故あれほど悔しそうに唇を噛んでいたのか。それに気付く。
エレベーターの中の黒犬が、こちらを向いた。
ーーーー階下の音は、もう、なにひとつ、しない。
つまり。
もう、階下には"なにひとつ、生きていない"。
ーーー獣が、こちらに気付く。
黒い獣は、最後の獲物であるーーー志貴に襲い掛かる。
だが、志貴はそれに対し、戦う事も、逃げる事もしないーーーー
志貴は、怒りからか、それとも別の何かからか・・・思考が、赤く染まっていた。
ガブリ、と首筋に黒い獣の牙が噛む。
だが、それが首を喰いちぎる前に、黒犬の"点"に、ナイフを突き立てた。
瞬間、黒犬は電池が切れたように、その牙の力を無くして地面に落ちた。
二匹目。
大きく開いた口の中に、ナイフを突き立てる。
ーーーだが、そこは黒犬の"点"ではない。
頭を貫かれてもその活力を失わず、腕を食い千切ろうとする黒犬。
その痛みに、冷静さを取り戻しーーーーとたん、狼狽する、志貴。
痛みに、混乱する志貴。このままでは、腕を、食い千切られてしまう!
それを防ぐにはーー目の前の犬を、"殺す"しかない。
だが、こんな状況にあってすら、普段の志貴には、"殺す"事にどうしても躊躇いが残る。
アルクェイドを"殺し"たときも、一匹目の黒犬を"殺し"たときも、自分の意識とは別の時。
自分の意志で、目の前の生き物を"殺す"事にどうしても躊躇いがーーーー
ーーーーーーおまえは、既に
一度、人を殺しているじゃないかーーー!
「あああああああああああ!!!!!」
叫んだ直後ーーー、志貴は、黒犬の頭を貫き・・・胸の"点"を、貫いた。
獣を"殺し"たものの、状況は好転した訳ではない。
階下には、きっと、死体の山。
そして、黒犬の・・・・・・主。"吸血鬼"が迫っているのは、間違いない。
『キンコーン』
地獄のような光景に、おもわず笑い声を上げる志貴の横で、
また、エレベーターの到着音が響いた。
「・・・・・・エレ・・・ベーター・・・・・・?」
そう呟いた、志貴の目の前には・・・・・・・・・・
「皆殺しにしたはずだが、まだ残っていたか」
以前、屋敷の前で見た、黒いコートの男。

「ーー塵どもめ。肉片ひとつ片付けられぬのでは、我が肉体である資格はない」
不快げに呟いたその男がコートを持ち上げると、黒い獣達は、
びゅるん、と音を立てて、液体になってコートの中に消えてしまう。
ーーーコートの中にあるのは、ただ、ただ、闇が。
この男は、ヤバイ。この男は危険だ!
志貴は、もはや、竦むのみで動けない。捕食するモノを前に、動けない獲物のようにーーー

「喰え」
男のコートから、"鰐(わに)"が飛び出し、その牙を剥く。
もはや、遠野志貴に、抗う術は、なにひとつ、ないーーーーーー!
ぞぶり
「なっーーーー」
寸でのトコロを救ったのは、アルクェイドだった。
鰐の顎は、志貴を庇ったアルクェイドの腹を食い破る。
完全に喰いつかれる事は避けたものの、傷を押さえて苦悶の表情を浮かべる。
そんなアルクェイドを、無言で見つめる、コートの男。
「ーーー信じられない。混沌とも名付けられた吸血鬼が、
こんなくだらないゲームに乗ってくるなんて・・・
なんだか、出来の悪い夢みたいだわ、ネロ・カオス」

「同感だな。私も、真祖の生き残りを捕えるなど、そのような
無謀な祭りの執行者に仕立て上げられるとは夢にも思わなかった。
・・・私にとっても、これは悪夢だ」
ネロ、と呼ばれたその男は、アルクェイドのみを視界に捕え、動かない。
もはや、喰らい損ねた獲物・・・志貴のことなど、眼中にはない。

「しかし、これはどういう事だ?
私の前の執行者は、貴様に傷ひとつ付けられなかったという話だが、
それはどのような間違いなのだ。」
「今の貴様の存在規模は、脆弱すぎるーーー」
アルクェイドは、答えない。
対するネロは、アルクェイド本来の力を知っているらしく、
今の衰退ぶりをむしろ怪訝に思っている様だった。
くるり、とネロが、アルクェイドに背を向ける。
「だが、どちらにせよ私にとっては僥倖だ。
貴様がそこまで弱っている是非は問わぬ。
・・・勝機があるうちに、その首を貰い受けるのみだ」
「っ・・・・・・!」
その言葉に、慌ててナイフを構える志貴。
ーーーが、男はきびすを返したまま歩き出し・・・
そのまま、エレベーターに乗り込むと、この廊下から退場してしまった。
へ?と間抜けな声を上げる志貴の横、アルクェイドがうめく。
腹の大きな傷は・・・さっき、志貴を庇って出来た傷だ。
「おまえーーーーなんで」
「・・・・・・うん、ちょっと甘く見てた。あれぐらいなら、
志貴を助けて、私も軽くかわせると思ったんだけどーーー」
「さすがだね、志貴。志貴にやられた傷、そんなに甘くなかったみたい」
全てを"殺し"きる、魔眼の能力・・・それは、不死者であるアルクェイドにすら、
癒せぬ傷として、予想以上の大きな深手となって、その能力を奪い去っていた。
わるいけど、部屋まで連れて帰っておいて。
そうつぶやいた後、アルクェイドはがくん、と崩れ落ちる様に意識を失う。
このままこうしている訳にもいかず、アルクェイドを抱えたまま、
志貴も、惨劇のホテルを後にした。
「・・・・・・そうか、そういうコトか」
外に出て、ようやく、あの男がなぜ獲物を目の前にして
引き下がっていったのかを、理解する。
街には、うっすらと茜がかりはじめる。
ーーー夜が、明けようとしていた。

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・
いやぁ、久しぶりのプレイ記だったので、ちょっと力が入ってしまいましたね。
我ながら、中々熱の篭ったテクストだと思うのですが・・・・・・

いや、これ力入りすぎでしょ・・・。前回と殆ど変わらない流れなのに、
なんで今回はこんなに描写を細かくしてるんですか!
私達の出番殆ど無いトコロなのにっっっ!!
そりゃ、(今のところ)作中唯一と言っていい見せ場である
『対ネロ・カオス戦』ですからね。俄然、気合も入ろうというものですよ。

・・・気合が入るのは構わないのですけど、これって今回は
ほとんど前回と同じ選択肢で進めてるってことですよね・・・・・・
このままだと、今回もまたアルクェイド編になってしまう恐れが有るのでは・・・
それ、いいじゃん!

どわっ!?ちょ、急に出てこないでくださいよ!
今回は充分目立ったんですから、もう引っ込んでください!
そうそう!今回はなんだか私の扱いも良い感じじゃない!?
なんかヒロインしてると思うんだけど!

・・・・・・どうも最近思っていたんですが、アルク(仮)姐さんの扱いが
最近随分厚遇されていませんか?

・・・それ、私も思った。なんかイラストとか増える一方だし、
顔パターンも私達より断然多いし、出番もすんごい増えてるし・・・。
・・・ひょっとして、土矛さん、あなたアルク(仮)姐さんに情が移ってませんか?
えー!!なぁんだ、ホントはそんな事実が隠されてたの!?
やっぱり、ヒロインは私だって認めてたんだ!
管理人さんもホントは私が好きなクセに今迄隠してたなんて、このこのん★
・・・い、いや、確かにパチアマ日記から姐さんに情が移ったのは認めますが、
貴女達の顔パターンが少ないのはぶっちゃけゲームで出番が少ないからですよ・・・
顔パターンが増えるほどゲームに出てないからじゃないですか。


だったら私達の出番が増えるよう努力せんかぁーーっっ!!

2005/02/26 第25回
毎度御馴染み、流浪の月イチコンテンツ「月姫プレイ記」のお時間です。
久しぶりですので、それなりに頑張っていきましょうか・・・

って、何時の間にか月イチ連載にされてるー!?
月間連載のプレイ記なんか、一体誰が見てくれるというんですか!
もう話の内容忘れてますよっ!!

えーと・・・月イチ連載という事は、1ヶ月一話形式で進むとして、
1人のお話しが12話前後・・・一人クリアに、きっちり一年かかっちゃうんですけど・・・
・・・断言しますけど全キャラ攻略とか絶対しません!
無理!無理!無理!プレイ記終了したらもうお堂に納めて供養します!

私達がゲームで本来どういうキャラなのかも知らぬまま
ゲームを放棄するつもりですか!月姫(?)のサイトなんでしょうがっっっ!!!

吸血鬼モノというのは時間のかかる代物なのかもしれませんから、
何年かかろうと私のシナリオまでは進めてください。
ヘルシングだってコミック1冊に一年のペースですし、我慢します。
そんなの私が我慢出来ませんよ!!
あとヘルシングの事はほっといてあげなさい!
いいの。それを補って余りある面白さが有るから・・・
・・・あのう、わたしとかって、TOPのキャラに
使って頂けたりはしないんですか?
私も表に出てはいませんね。・・・まぁ、見たところ
パチンコやらされたり、変な漫才やらされたり、ぬ、ヌーブラとか付けられたり・・・
オホン、とにかく、碌な目にあってない様ですから、私は別に出なくてもいいですけど・・・

いやいやいやいや・・・もうTOPの人員は充分ですから!
秋葉さまはこんなヨゴレ仕事をなさってはいけませんから。
屋敷の方にお戻りくださいませ!さ!さ!(私が気疲れするから!)
眼鏡の貴女も、ほら、なんていうか、キャラ薄いですから!
う、薄くなんてありませんっ!!失礼な!
それに、私の応援でWEB拍手コメントが1度に20件近く来た事も有るんですよ!
これはかなりの支持を受けているといえると思います!

いや、それ絶対一人のヒトが複数を装って送ってきたものですし・・・。
大体ですね、ゲームをやってないのは仕方ない・・・いや、ホントは
ゲームやりきってないのにキャラクター使うこと自体オカシイんですけど、
せめて原作キャラクターがどういうキャラなのか位は、
いい加減調べておいたらどうですか?

・・・秋葉さまのおっしゃる事はごもっともなんですが、
恐らくは徒労に終わると思いますよ・・・・・・
あちらに、ちゃんとゲームでキャラクターを理解されたはずの女性が居ますけど・・・
えー、ホントホント!絶対美味しいってー!
マペも試してみなさいよ、マルちゃんのトレーワンタンで手製ワンタンメン!
あたしコレ大好物なんだー!


・・・いや、姐さん。姐さんがマルちゃんのワンタンが好きなのは判ったが、
なにも一度に30個も買わなくてもいいんじゃないか!?
毎日喰う気かよ!?
もちろん毎日食べるわよー!
夜中にちょっと小腹が空いたときとかに最適なのよね、この量が!
適量って、トレーワンタンには二人前って書いてるじゃねえか!
そんな夜中に夜食とか食べてるから、鏡の前で
何度も何度も脇腹をつまむことになるんだよっ!!
反対側に反り返りながら『脇の肉つまめないからまだ大丈夫!』とか言うな!
その反対側に出来ている段を直視しろ!!

だれがマニアックな体形かぁーーー!!!
・・・マルちゃんのトレーワンタン??

まぁ、正直原作を知ろうと知るまいとなんの脈絡無く違うキャラに
仕立てられてしまいますから・・・。
秋葉さまも、秋葉(仮)さまとか呼ばれ始めたら要注意ですからね。

なんで、アルク(仮)姐さんは、ああも庶民的というか
ビンボ臭い役回りなんでしょうね・・・
というか、もうキャラクター別の個性なんてとっくにネタ切れですよ!
こんな眼鏡以外は地味なキャラクターとかまでTOPに出てこられても、
うまく立ち回らせるのは困難極まりない!
わたし地味じゃありません!!
4/黒い獣
4day / october 24 (Sun.)
ーーーホテルの惨劇から明けた朝。
志貴は、アルクェイドを抱えて彼女の住まうマンションまで辿り着いた。
訪れるのはまだ二度目のアルクェイドのマンションだが、
志貴は迷うことなく部屋まで辿り着いていた。
一度目は・・・そう、アルクェイドを殺害せしめた時。
朦朧とした・・・いや、自分の中の別人格が働いていたとしか思えない一度目の訪れだが、
アルクェイドの住まう場所を、志貴は鮮烈に覚えていた。
・・・もっとも、覚えていたのは入り口までの事。
あの時は、アルクェイドを殺害したことで頭が一杯だったが、
部屋の内装は予想以上にオシャレで、小奇麗にされていた。
アルクェイドをベットに寝かせ、朝日が差し込まぬように、カーテンを閉める。
一段落して床に座り込むと、志貴の方も、がくりと力が抜けてしまう。
「ーーーありゃ。俺も疲れてるみたいだ」
・・・アルクェイドの傷は、大丈夫かな・・・
疲弊しつつも、彼女の傷口を心配する志貴。
何故だろう、自分も疲労感でいっぱいだというのに、彼女の事が気にかかる。
ーーーふと、テレビのニュースだろうか。
男性のアナウンスする声に、目を覚ます志貴。
どうやらあのまま、眠ってしまったらしい。
時刻は、お昼に差し掛かったトコロだろうか。
志貴の身体には、何時の間にかシーツがかけてあった。
当然、アルクェイドの仕業だろう。
ふと、台所に人の気配。台所でなにかをやっている様だ。
「あの馬鹿。あんな身体でなに動き回ってるんだ」
自分の傷もあるのに、何をやってるんだ、と立ち上がったその時、
ーーーニュースの内容に、志貴の足が、止まる。
『・・・次のニュースです。本日未明、南社木市にあるホテルで、
大規模な行方不明者が出るという事件が発生しました。
ホテルに宿泊していた百三名の姿は、いまだ発見されていません』
ーーー惨劇のホテルには、僅かに血痕が残るのみ。
ホテルは、間違いなく、昨日ネロ・カオスが襲ってきたあのホテルだ。
死体は、すべてヤツの腹の中。
残されたのはわずかな血痕と、大量の野生動物の体毛。
犯罪と呼ぶにはあまりにお粗末なほど、残された痕跡は非現実的。
ーーーだが、事実は、ホテルで唯一生き残った、自分だけが知っている。
混沌の吸血鬼ーーーーネロ・カオス。
ヤツの顔を思い出すと、恐怖と、嫌悪・・・そして、それ以上の憎しみが沸き起こる。
100人が、たったの30分で、あの化け物のディナーにされてしまったのだ。
「ふざけーーーやがって」
ぎり、と歯噛みして憎しみを噛む志貴。
あの時、あの男に本能的に"死"を感じ、何も出来なかった自分。
高ぶる衝動。苛立ちは、あの男に対してなのか、それとも、自分自身に・・・

「気がついたの、志貴?・・・なに?怖い顔しちゃって。
何かあったの?」
あ、と声を洩らす志貴。
目の前には、何事も無かったかのように気軽に声を掛けてくるアルクェイドの姿。
・・・それで、先ほどまでの高ぶりは、ついと消えた。
そう、もうひとり。自分と、あのホテルから生き残っていたもう一人。
昨日の傷はもう回復しているのか、彼女は気さくな表情でこちらを見ていた。
大した傷じゃなくて、よかった、と助けられたことに感謝して。
アルクェイドにお礼を述べる志貴。
それに大して、アルクェイドの方はただ目を丸くして驚いていた。
ネロとの争いに巻き込んだのは私だから、謝る必要なんてない、
むしろ疎んじるのが普通でしょ、と返すアルクェイド。
それに対し、自身がアルクェイドに危害を加えた為に、その力を失わせたのだから
盾になるのは当然の責任。自業自得なんだ、と答える志貴。

「自業自得かぁ、うん、志貴ってばある意味で運が悪いわ。
人を殺すにしたって、私以外の子にしておけば
こんなコトにならなかったでしょうし。」
その、アルクェイドの言葉に、ふいに疑問が沸き起こる。
ーーーー俺は何故、アルクェイドを殺したくなってしまったんだろう。

「理由なんてないんじゃない?
だって志貴って、根っからの殺人鬼なんだから」
さも、当たり前の事のようにそう返すアルクェイド。
自分を殺害した時の、あまりにも手馴れた動作。そしてナイフ捌き。
昼間とはいえ、アルクェイドほどの不死者に一切の反撃の余地を与えなかったのだ。
『殺すことに手馴れている』とアルクェイドが判断するのも当然といえる。
当然、アルクェイド以外を殺害したことなど無いと自負する志貴は
腹を立てて、猛反論をする。
こんな目を持ってはいるが、今までに、人を殺したいと思ったことなど、
まして、人を殺したことなどーーーーー
「−−−−−そう、か」
忘れていた。忘れてはいけなかった。
俺はこの場所で、アルクェイドを殺したんだ。
その事実は・・・・・・変わらない。その罪は、けして、決して変わらない。
己の行為を思い出し、俯き、アルクェイドに謝罪する志貴。
過程が問題なのではない、彼女を殺した、という"結果"の前には。
「−−ごめん。ごめんな、アルクェイド。
遠野志貴は、キミをここで殺した。
俺は何よりその事を、一番最初に謝らなければいけなかったのにーーー」

「・・・・・・・・・・・・」
そう、彼女が言うように、俺は本当は殺人鬼なのかもしれない。
彼女に対して何か言える資格なんて・・・俺には、無い。

「ーーーそう。志貴は本当に、自分でも理由がわからないのね」
志貴の謝罪を、神妙な面持ちで聞いていたアルクェイド。
だが、手のひらを返したように、アルクェイドは言い放った。
ーーーー志貴は、殺人鬼なんかじゃ、ないよ。
「志貴。人間にはね、どんなに世の中を恨んでいても悪魔に魂を売れない人が本当に居るわ。
・・・たとえば、吸血鬼相手に『ごめんなさい』なんて言える正直者とかね。
だからきっと大丈夫。誰がなんていったって、志貴本人がそうじゃないって言い切ったって、
ーーー志貴は、まだそっち側の世界にいられるよ」
笑顔で。
笑顔で、アルクェイドはそう言い放った。
言葉に詰まる、志貴。
「アル・・・・・・クェイドーーー」

「ほら、そんなことよりも、私達にはもっと厄介な問題があるでしょ。
志貴も目を覚ましたことだし、今後のことを話し合いたいんだけどーーー」
言いかけて、アルクェイドはバタリ、と床に倒れこんだ。
ーーー額には汗が浮かび上がり、白い服の腹部のあたりに、じわりと赤いしみが広がるーーー
うーん、いい話ねーー!意気消沈した主人公を、怪我を隠しながら励ますヒロインの私!
まさにメインヒロインの鏡だわ!!

まぁ、要点だけかいつまんだらそんなに違和感は感じませんが・・・
文章を噛み締めながらですと、、えらく情緒不安定な話に見えませんか?
志貴さん、「いいかげんにしろ、ばかおんなーー!」とかエコー掛けて叫んだ後に
手のひらを返したようにゴメンとか言われても・・・・・・

今の部屋での会話をまとめてみると、こんなカンジですね

あ、順番間違えた。
志貴さまがアルクェイドさんをいってれぼした回想シーンが謝る前ですね。
こりゃ流石に謝るわな。

いってれぼとか言ってないわ!
アルクェイドの傷は、浅くはなかった。
結局、志貴に殺された後遺症も抜けぬままに深手を負ったアルクェイドは、
ネロに受けた傷を癒せるほど回復していなかった。
今までは怪我や傷など容易に回復していたアルクェイドは止血の方法など知らない。
傷口をガムテープで固定する、というおよそ治療とは呼べない荒事で傷口を塞ぎ、
そしらぬ顔で志貴と会話をしていたのだ。
なんだか頭にきて、アルクェイドをベットに強引に寝かせる志貴。
「いいか、俺が戻ってくるまで絶対に動き回るな。
さっきみたいに歩き回ったら、金輪際おまえのコトなんて忘れてやるから、覚悟しとけ」
と、脅しになってない上に先ほどの反省をあっさり覆す
意味不明な発言をして、志貴は薬局に赴き、止血の為の品々を買出しに出る。
ーーーふと、玄関近くの台所には、食材が乱雑ながらも、調理されようとした跡がある。
そういえば、随分長いこと、食事をとっていない志貴。
・・・この食事が誰の為に用意されようとしていたのかは、考えるまでも無い。
「くそーーーなんなんだ、あいつ」
お人好しの吸血鬼。
自分は、あんな体で、動くことすらきつそうな、あんな身体で。
志貴はこのもどかしいイライラを、一分一秒でも早く応急手当の出来るものを
買うことに向け、飛び出すように走り出す。
既に正午を大きく過ぎたであろう、アルクェイドの部屋。
アルクェイドの応急処置を済ませ、二人の会話は自然、昨夜の吸血鬼「ネロ・カオス」の事に。
・・・混沌と称される吸血鬼、ネロ・カオス。
古参の吸血鬼でありながら、城も領土も持たず、彷徨っている。
吸血鬼は、意志力で己の肉体に使い魔を内包することが出来るらしいが、
ネロはその中でも桁違いの意志力で、多くの獣を内包しているらしい。
ホテルで開放されたネロの使い魔は、おおよそ30程度。
並みの吸血鬼に制御できる数ではないが、ネロの武装を見極めたと、案外アルクェイドは楽観的だ。
だが、肉体にそれだけの魔物を内包し、ホテルに肉片すら残さず103名を平らげた
ネロという男、決して油断できる相手ではないことは確かだ。
「ーーー信じられない。それじゃあ、まるっきり化け物じゃないか。」

「そうね。ネロはこれ以上ないっていうぐらい最悪の相手よ。
出来れば、出会いたくない部類に入る。」
アルクェイドがそこまで言うのだ。吸血鬼でも超一線級の相手であろう。
既にこちらの居場所も知れている。恐らくは、使い魔に常時監視させているであろう
事からも、もはや逃げる事はできそうにない。
今朝は、朝日に救われたがーーーー
『だが、どちらにせよ私にとっては僥倖だ。
貴様がそこまで弱っている是非は問わぬ。
・・・勝機があるうちに、その首を貰い受けるのみだ』
おそらくは、今夜。午前零時という、最高のタイミングで、
アルクェイドを殺しに来るに違いない。
あいつがーーーー来る。
ニュースで歯噛みするほど憤っていたのに、あいつはヤバイといきなり逃げ腰になる志貴。
逃げるべきか?と半ば引き気味の気持ちで、アルクェイドに何か問おうと
口を開きかけた、その時ーーーーー

「でも安心ね。だって、志貴ならネロなんて問題じゃないんだもの。
貴方は相手が何であれ一撃で殺せるんだから」
「−−−−−−へ?」
拍子抜けしてしまうほど、アルクェイドはさらりと、
そして当然のように、志貴がネロを倒すのだと言い放った。

「私と一緒に戦ってくれるんでしょ、志貴?」
真直ぐな、眼差し。彼女は、既に志貴を信頼しきっている。
だが、志貴はーーーーーー
<選択肢>
・1、できれば、断り、たいけどーーー。
・2、いや、あんな化け物とやりあう事はできない。
以前、WEB拍手で「ネロと戦うというのは断った方がいいですよ」というのを
頂いた事があるのだがそんな事はしらん。
物語分岐点になるのかもしれないが、ここでそんなヘタレな選択肢を選ぶくらいなら
もう一度アルクェイド編になる事になろうとも1を選ぼう!
情緒不安定な主人公でも、ヒネクレ選択のユガミプレイでも、譲ってはいけない線がある。
またアルクェイド編になったらゴメンナサイ('A`)

「ーーー志貴?」
「・・・・・・ああ、わかってる。いまさら自分だけ逃げようなんてコト、できやしない」
天井を見上げ、大きく息をつく。
ーーーー覚悟は、それで固まった。
「いいぜーーーー手伝うよ、アルクェイド。
それがあのホテルに居て、自分だけ生き残った、俺の義務だと思うから」
ネロ戦の後は、意味不明のラブコメ展開と、
あの盛り上がりに欠ける三下が相手なのだ。
ここしか盛り上がれない予感がするので、このVSネロ戦では一歩も引かぬ!
頑張れ、主人公!
ーーーーー夜の公園、アルクェイドは、ひとり佇んでいた。
茂みには、息を殺して潜む志貴。
作戦は、ひどく単純。
アルクェイドが、監視している使い魔を誘って、夜の公園に辿り着く。
時間を置いて公園に潜んだ志貴が、公園に現われたネロを背後から攻撃し、
ネロの"死"の点を、貫くーーーー。勝負は一瞬、憂いなしだ。
一瞬でもためらったり、初撃で仕留められなければ、間違いなく、志貴の命は、無い。
だが、公園を出る前、アルクェイドは、一度も"殺す"という言葉を口にしなかった
志貴に対して、不安の色を隠しきれないまま。
「は、あーーーーーーー」
・・・・事実、志貴はこの期に及んでも、落ち着くコトが出来ていない。
これから再び、ヤツと相対することに対する恐怖なのか、
それとも、この手でヤツの命を"殺す"ことに対するためらいなのか・・・・・・
「アルクェイド・・・・・・おまえは、怖くないのか」
アルクェイドは一人、ただぼんやりと空を見上げて立っている。
不安は、見えないーーーその表情が、空から、地上へと視線を移した。
「ーーー待たせたな、真祖の姫君」

「そうね。随分と待たされたわ、ネロ・カオス。
それともフォアブロ・ロワインと呼んだ方がいいのかしら?」
禍々しい威圧感を持ってーーーー
あの黒いコートの吸血鬼が、公園の奥から、その姿を現した。

「ーーーよもや、な。
私がいまだ人の身であった頃の名を聞くことになろうとは夢想だにしなかった。
流石は我らの処刑役。現存する死徒二十七祖の経歴なぞ、とうに知り尽くしているというわけか」
ネロの注意が、アルクェイドに注がれる。
志貴は一息はくと、黙って魔眼封じの眼鏡を外す。
俺は、あの人食いの化け物を『解体』するーーーー。
過去の因縁だろうか、他の吸血鬼・・・『アカシャの蛇』とう吸血鬼の話に
語気を荒げるネロ。話の内容は、志貴には判らない。
ただ、アルクェイドの挑発に、ネロの注意は散漫になっている。
ーーー今しか、ない。
体制を低くして、だっ、と志貴がネロに駆け出した。
ネロはまるで無防備だ。意識は、もはや眼前のアルクェイドに向いている。
終わる。あと一歩で。ヤツの"死の点"を貫く。
それで、ヤツは終わるーーーー
「ーーーーーーえ?」
ない。
ない、ない、ないないないないない・・・・・・!

ーーーー死の線が、どこにも、無い!?
とっさのコトに、驚愕を隠し切れない志貴。
今まで、そんなモノはいなかったーーーーー
ずきり、と頭が痛む。
そうして、目の前に、ひとつだけ、"死の点"が視えた。
これだ、と意を決して、ヤツの点を穿とうとしたその刹那ーーーー
今度は、怖ろしい勢いで増えてゆく、死の点、点、点、点ーーーーー!
なにか、違う、これはヤツの『死』ではない気がする。
何か異質なものの集合体。こいつの身体は、一体ーーーー!?

「ーーーーー志貴!!」
長考しすぎ。
ネロの背中から飛び出した黒犬が、ぞぶりと志貴の腹に牙を立てて吹き飛ばす。
押さえこみ、志貴の喉笛を食いきろうとする犬の"死の点"を突き、
難を逃れようとした志貴だったが、死して犬は液体のようになってしまい、
志貴を地面に縛り付けた。

「貴様の使い魔か。だが、残念だったな。
私の領域に入ったものは、私が気付かずとも"私達"のいずれかが発見し、
これを迎撃する。もとより、私に奇襲は通用しない」
奇襲は、失敗に終わった。
もはや・・・打つ手は、無い。
ゆらり、とアルクェイドがネロに向かって歩み寄る。

「ーーー面白い。空想具現化も出来ぬほどに衰退している貴様が、
そのままで私に挑むというのか?」

「いらない。たかだか死徒相手に世界と同化しても仕方ないわ。
貴方程度ーーーこの爪だけで十分よ、ネロ・カオス」

「ーーーたわけ。その身を痴れ、
アルクェイド・ブリュンスタッドーーー!」
その声が、引き金となって戦いの火蓋がきられる。
片手をあげたネロから、巨体を揺らして、三匹の黒豹がその身を現す。
アルクェイドの何倍もなりそうな巨体を揺らして、飛び掛る三匹の黒豹。
一閃。
アルクェイドの爪が横に凪いだ瞬間、黒豹の巨体は、真っ二つになる。
言葉を失う、ネロ。
何も言わない、アルクェイド。
アルクェイドが、猛然とネロに襲い掛かる。
驚愕しつつ、己の体から次々に獣達を湧き上らせるネロ。
獅子、豹、虎、鷲、鮫、熊、象・・・・・・
結果は、全て同じだった。
一傷すらも浴びせられぬまま、黒い粘液となって消えてゆく獣達。
「なーーーーー」
ネロの足が、引いた。
が、アルクェイドの爪の方が、遥かに速い。
ざん、という音の後。
ネロの身体は、首筋から二つに分かれた。
「ギィイイイイイィィィィィィ!」
苦悶の声を上げて飛びのくネロ。
その半身が、どさり、と音を立ててアルクェイドの足元に崩れる。
ーーーもはや、勝負にすらなっていない。
圧倒的な戦力差に、俺要らないじゃんと馬鹿馬鹿しくすら思う志貴。
そう、恐らくは、志貴の力などなくとも、アルクェイドはネロを殺傷せしめただろう。
ーーーー万全の、体制ならば。
「はぁーーーー、はぁーーーー、はぁーーーー・・・・」
苦悶するネロに歩み寄るアルクェイドの足は、重い。
苦しげな表情、呼吸。・・・半身を失ったネロ以上に、アルクェイドの方が辛そうに見えた。
「ーーーまさか、な。それほどの衰退をして、なおその戦闘能力か。
さすがは真祖たちが用意した処刑人。・・・曰く、白い吸血姫には関わるなーーーか。
どうやら同胞たちの忠告は正しかったとみえる」
半身を失い、圧倒的な戦力で攻め立てられ、それでもなお、
ネロの姿には、声には、些かの曇りもない。
苦悶の声も、苦悶の表情も、今はもうない。
関係ないけど、"白い吸血姫"と称されるほど昔からアルクェイドは一張羅なのだろうか?
白い(けど、ところどころやや黄ばんでいる)吸血姫とか影で言われていないか心配だ。
それは確かに色んな意味で関わりたくない。
「だが私とて、もとより十や二十程度の"私"で
貴様を仕留めようとは思っていない」
「ーーー強がりはそこまでよ。貴方が使役する使い魔では
何匹かかろうと私を殺せないし、その半身も既に断った。
どうやっても貴方に勝ち目なんかない。」
「・・・一つ、貴様は思い違いをしているようだ」
その言葉に、疑問の眼差しを返すアルクェイド。
ネロは、目線を細めて、静かに答えを返す。
「私は使い魔など持っていないし、使役などもしていない。
今お前の相手をしたのは、あくまで私自身なのだよ。」
本来の貴様ならば、一目で気がついたろうに。と薄く笑うネロ。
志村、うしろーーー!
と、志貴が叫んでしまうそうになるが、もう遅い。
アルクェイドの足元に横たわるネロの半身が、びくりと動いた瞬間。
それは大蛇となってアルクェイドの身体を背後から襲う。
「しまっーーーー」
アルクェイドの声が発せられる前に、大蛇はもとの粘液ーーー濁流となり、
志貴を押さえ込む何百倍という質量で、アルクェイドを地面に釘付けた。
「無駄だ。それがどのようなモノなのか、
貴様ならば理解できるだろう、真祖の姫」
驚愕し、地面で必死にもがくアルクェイドに、勝ち誇った笑みを浮かべるネロ。
「ーーー思慮のあるものは、獣の数字をとくがいい。
それは人間を表す数字、すなわち"666"であるーーー
・・・くく、我が体内の混沌は気に入ったか、アルクェイド・ブリュンスタッド」
「正気なの、あなた・・・・・・!?ヒトの身体に・・・・・・
人の形なんていう狭量で密閉された空間に、三百以上の因子を
圧縮して内包しているなんて、これじゃまるでーーー」
「いかにも。これでは原初の海と何らかわりはない。
私はな、他の動物どもを我が肉体としているのではない。
『動物』という因子を肉体とし、混濁させているのみだ」
肉体に、666もの獣を、命を抱える"混沌"。それが、ネロの正体だった。
半身を絶とうとも、首を潰そうとも意味はない。
一瞬で、666もの命を滅ぼせねば、かの者を滅することは出来ない・・・・・・
ネロという個人、人格はとうの昔に消えうせ、彼はネロという"群体"となっている。
いずれは、全ての意識すら失い、混沌というなの空間に変わってしまうであろうモノ。
禁忌に触れた異端者、それゆえに、ネロ・カオスと呼ばれるのだ。
「いかな貴様といえど、その檻からは抜けられぬ。
我が分身のうち五百もの結束で練り上げた"創世の土"。
たとえ貴様が万全であったとしても、それを破壊することは叶わぬ。
ーーー大陸をひとつ、破壊するようなものだからな」
アルクェイドを覆う黒い粘液は、既にアルクェイドの首までも埋めている。
ネロは、ただ満足げにその様子を伺っている。
再び、ネロの口から『アカシャの蛇』という言葉が漏れた。
この固有結界を教えたのは、蛇、と称される吸血鬼。
蛇を盟友と呼び、かの蛇をなぜ、アルクェイドが執拗に狙うのかを疑問に思いつつ・・・
ネロの瞳は、冷たい光を湛えながら、もはや泥の塊のようになってしまった
アルクェイドを、ただ見つめている。
「ーーーこのまま私の一人になってもらうぞ、
アルクェイド・ブリュンスタッド」
このままでは、アルクェイドが取り込まれてしまうーーーー!
「こーーーのぉ・・・・・・!」
ここにきてようやく動く気になった遠野志貴。
正直、彼は傍観している時間が長すぎる。
液体を『視』る。
そんなものでも、黒い死の線は、確かに、有る。
苦痛に短く呻きつつ、液体の黒い線を凪ぐ。
線を切られた液体は、そのままただの水のようになってしまって、地面に溶けた。
拘束から逃れ、立ち上がる。
・・・だが、術がない。ヤツの獣に立ち向かう術も、ヤツの背中に無数に視えた
死の点を、全て穿つ術も。
「ーーーほう」
その時。ネロの表情に、悪辣な笑みが浮かんだ。
その注意が、そちらに注ぐ。志貴に対してではない。
ーーー公園の奥から、足取りが聞こえた。
姿が見える。志貴と同い年くらいの、女の子の姿。
争いにはまったく関係ない、普通の人間。
半身を失い、養分がまるで足りていない。
ネロがぼそりと、獲物を前に、そう呟いたーーーー
「逃げろぉーーーーーー!」
叫ぶ。ネロに気付かれることなどおかまいなしに、叫ぶ。
だが、女の子の足取りは止まらない。
「やめーーーーー」
静止の声もむなしく
ネロから現われた虎は、あっというまに少女の顔を裂き、肉塊と化した。
ーーーごり。がき。ぐしゃり。
肉塊が虎に溶け込み、捕食される音がする。
ネロという男の体の中で、音がするーーーーー
「てーーーーーーー」
ネロの口元が、悪意に満ちた笑みで歪む。
「てめえーーーーーーー!」
志貴は何も考えられないまま、ネロに向かって駆け出した。
怒りで、視界が真っ赤に染まる。思考すら、赤く、朱く染まっている。
猛然と走る志貴。だが、ネロには大した興味すら、ない。
「ーーーーー喰え」
ネロの体から、黒い豹が飛び出した。
以前相手した黒犬の何倍もの巨躯。何倍もの獰猛さ。
だが、そんな事は知らない。
要は生き物。
生きているのなら、"この俺の敵じゃない"
「邪魔だよ、おまえ」
そう呟いた時には、豹は四つのパーツになって地面に転がっていた。
「ーーーそうか、さきほど私を背後から襲ったのは、おまえか」
ーーーようやく、遠野志貴という人間を認識したネロ。
少なくとも、あの押さえを解き、獣を一体とはいえ片付けたのだ。
それなりに、戦う術をもつ相手なのだろうと、侮りつつも認識を改める。
魔眼を志貴に向けるネロ。だが、ヤツの睨みなど、この殺意の前には足止めにもならない。
「・・・・・・アルクェイドを離せ、化け物」
「ーーーーー」
「離せっていってんだよ。お前の相手はこの俺だ。
そんな半分だけの体じゃ、話にならねえだろう」
ネロは、答えない。
目の前の人間が何者なのかは知らないが、人間風情に相手をすると言われ、
彼の自尊心は大きく損なわれたようだった。
興がそがれた、と不快に呟くと、半身の腕をざあ、とあげる。
「ーーーその劣悪な思考回路。
私の相手をするといったお前の思いあがりは、万死に値する」
ごう。
風切り音とともに、ネロの体から何十という数の獣が湧いた。
あ、と志貴が短い声をあげたきり、志貴に群がる獣の群れにかき消される。
ナイフを振るい、目の前の獣の"死"を穿つ。
ーーーだが、その瞬間には、上から、背後から、側面から、下からもーーーー
ネロの獣達が、志貴に次々と、その牙を突きたてる。
「私は人間であるのならえり好みはしない主義でな。
安心しろ、細胞一つたりとも残さんよ」
獣に弄られ、やがて黒いドームのようなものに包まれる志貴を見ながら。
ネロは傷つけられた自尊心を癒していた。
獣達が、削るように、削るように志貴の体をついばんでゆく。
目の前には。黒い塊と、獣の死の点が無数に見えるだけ。
生きたままの、咀嚼。
殺される。
間違いなく、殺される。
絶望的に、そればかりが頭の中を連呼する。
頭を、闇が覆いはじめる。
ドン、と音をたてて、獣の腕が、八年前の古傷を打ちつけた。
ーーーー八年前の傷口。
なぜか、その時の想いが、思考が、志貴の頭を支配する。
そ う だ
俺はただ、ひたすらに憎かった
ならば、やることはきまっている。
ーーーオマエが、オレを、殺すというのなら。
殺される。
殺される。
確実に、殺される。
ーーーーヤツは、この俺に、殺される。
「あはははははははは!」
白痴のような笑い声を上げる志貴。
ザンザンザンザンザン、と音を立ててケモノは次々に死んでゆく。
脳髄が痛い。体中が、どうかなっちまったような間隔。
もう、体を覆うドームは無い。
体をついばんでいた七十ばかりのケモノは、全てブチ殺した。
「なーーーーーに?」
遠くで、ネロの驚く声が聞こえる。
立ち上がる。動ける。問題ない。
「貴様ーーーなにを」
ネロの声は、届かない。
志貴の頭を支配する感覚。アルクェイドを殺したときの、
あの火の出るような熱い感覚が、脳を焦がす。
オマエは俺を殺したいんだな、ネロ・カオス。
ーーーだったら、俺たちは似たもの同士だ。
「いいだろう。−−−殺しあおうぜ、ネロ・カオス・・・・・・!」
高らかに吼える。駆け出す。
ネロに駆け出すのは、これで3度目の志貴。
1度目は、1匹の犬に簡単に弾き飛ばされた。
2度目は、何十というケモノに襲われ、地面に縫い付けられた。
だが、3度目は、もう、何であろうと、志貴を押さえつけることはできやしないーーー
アルクェイドに向けられていたような、大型獣が姿を現す。
関係ない。線を凪ぐと、ケモノは水のように地面に溶ける。
「馬鹿な。姫君でさえ消滅させられなかった私達が
ーーーーことごとく、無に帰している」
理解できない表情で、表情を歪めるネロ。
関係ない。ヤツの点を穿つ。ただ、それだけだ。
無数に視えるヤツの死の点の中に、一際大きな点が視えた。
「ーーーよかろう。お前を、我が障害と認識する」
本気になる、混沌。
黒いコートを大きくはだけ、ヤツの体から、ゲームのキャラクターのような
おかしな生き物が姿を見せる。角の生えた馬。翼の生えた蜥蜴。
アルクェイドにすら出さなかった魔獣を、その混沌から生みだした。
ーーーー関係、ない。
魔獣といえども、生きているモノならば。
「ーーーーー有り得ん」
切り裂かれた魔獣の姿を見て、ネロが口惜しそうにそう呟く。
「おのれーーーなぜ私が、たかだか人間風情に
渾身でかからねばならぬのだーーーー!」
びゅるん、という音。
遂に、ネロはアルクェイドを押さえていた半身をその身に戻し、
真正面から、志貴に向かって相対した。
「ーーー殺す。我が内なる系統樹には、
貴様らの域を凌駕する生命が有ると知れーーー」
両腕で自らの胸を掻き毟り、闇を裂き、ネロの混沌から、
切り札とも言うべき最後の魔獣がその姿を現した。

最弱の蟹ライダーのような、蜘蛛。
巨象よりも大きな、巨体の魔獣。
ーーー体が痛い。眼がもうろくに視えない。背骨が、焼けるように痛い。
体が寒い。とても寒い。血を流しすぎたろうか。
志貴の体は、もう限界に近かった。
ーーーー関係、ない。
目の前の最弱の蟹ライダーを、裂く。
巨躯の魔獣だろうがなんだろうが、生きているなら、関係ない。
ましておもちゃ屋で番組途中ですらフィギュアが半額だった蟹ライダーじゃなぁー。
目の前で、ネロが僅かによろめいた。
「ーーー有り得ん、私のあらゆる殺害方法が殺されるなど、
その様な事実が有り得るはずがない・・・・・・!
私達は不死身だ。私が存命している限り、死しても混沌となりて我に戻り、
転輪す不死のケモノたちがーーーー
なぜ貴様に刺されただけで、元の無に戻ってしまうのだーーーー!」
理解できない現象に、ただ叫ぶネロ。
じり、と後退しようとするも、かろうじて押し留まる。
目の前の相手が、もはや危険なコトであることは明白だ。
だが、吸血鬼として、ただの人間に対して引くことなど、出来ない。
志貴の身体が、ネロの一歩前に、届く。
「ーーー否、断じて否ーーー!
我が名はネロ、朽ちずうごめく吸血種の中において、なお不死と称された混沌だ!
それがこの様な無様を見せるなぞ、断じてありえぬ・・・・・・!」
闇で構成された身体に、除々に形が出来あがる。
魔獣を出すことは、もうない。魔獣では、もはや足止めにもならない。
ネロの瞳に、獰猛な殺意が、ハッキリと浮かび上がるーーーー
「この身は不死身だ!
死など、とうの昔に超越したーーーー!」
跳躍する、ネロ。、
残るケモノを凝縮し、自らを最高のケモノに変えて、志貴に全力で飛び掛る。
アルクェイドに匹敵する、恐るべき速度。
触れれば確実に首を粉砕されるだろうその腕が、志貴に伸びる。
ぎん
短い音を立てて、すれ違いざまに、ネロの右腕の線を凪いだ。
跳躍した勢いのまま、ネロとの距離が再び開く。
「なんなのだ、これはーーー!何故ーーー何故切られた箇所が再生しない!?
こんなたわけた話があるものか・・・・・・!アレは魔術師でもなければ
埋葬者でもないというのに、何故、ただ切られただけで私が
滅びねばならんのだーーーー!?」
「馬鹿ね。そんなつまらない体面を気にしてると、
殺されるわよネロ・カオス。」
はっ、と視線をそらすネロ。その先には、悠然と構えるアルクェイドの姿が有った。

「ああ、私のことは気にしなくていいわ。
貴方の始末は志貴がする。邪魔をしたらわたしまで殺しかねないものね、今の彼は」
アルクェイドは、すでに余裕の表情だった。
対するネロに余裕は無い。
この男を殺したら、今度こそオマエだ、と吐き捨てながらも、
その視線は志貴を捕えて離さない。
全霊を篭め、ネロは、再度志貴に対して跳躍を試みる。
「そうそう。ひとつ言い忘れていたわ、ネロ」
忠告するように、アルクェイドの声が流れる。
ネロにとっては、信じられないような言葉とともに。
「ーーー今更おそいかもしれないけど。
彼はね、一度私を殺しているのよ」
その言葉に、愕然とするネロ。
その気配が、殺気が大きく揺らぐ。
間隙。
ーーーそれは、悪夢か。
アルクェイド・ブリュンスタッドを殺す?
この、不死身などという言葉さえ生ぬるい怪物を、あの人間は殺したというのか?
いや、それこそ否だ。
だが、もし。仮釈、それが真実だとするならば。
ーーーー果たして。
思い上がっていたのは、一体どちらだったのか。
高らかに笑う、ネロ・カオス。
駆け出す、志貴。
「そうか、私を殺すのか、人間ーーーー!」
ネロの渾身の跳躍。その爪が、完成された軌跡を辿り、志貴の頭上に舞う。
その爪が、志貴の頭を穿つ前に、志貴のナイフは群体であるネロの中心・・・・・・
群れの頭ともいえる、死の極点を、貫いた。
「まさか、な」
「ーーーーーおまえが、私の死か」
その言葉を最後に、ネロ・カオスという存在は、死滅した。
「つかーーーれた」
ようやくナイフを手から離して、大地に倒れこむ志貴。
体中に牙の後、爪の後、嘴の後で傷だらけだが、それ以上に寒さが身体を包んでいた。
「ーーーー志貴!逃げて、狙われてる!」
え、と思ったその時・・・
空に、鴉の姿が見えた。
ネロ・カオスの一部であった、青い鴉。
クワア、と一声鳴き、一気に落下してくる。
その鋭い嘴を、志貴の脳天にめがけて。
「ーーーーーー!!!」
動こうとしたが、動けない。
もう、身体の四肢がとても言うことを訊かない。
目の前に、鴉の嘴が迫るーーーー
ザン
目の前で、鴉は音を立てて絶命した。
突然飛んできた刀じみた巨大な釘に、串刺しにされている。
空から飛んできたであろう刀。その元を捜そうと、空に眼を泳がせる。
ーーー神父のような服を着た何者かが、街頭の上からこちらを黙って見下ろしていた。
感情の無い瞳でこちらを見下ろすその僧衣の女性を見て、
志貴は、先輩にーーーー、シエル先輩に似ている、と感じながら
ゆっくりと意識を、視界を闇に落としていく。
朦朧とした意識の中。
アルクェイドと誰かがいがみあっているような声が聞こえてくる。
「貴女には任せて置けません。彼は、わたしが治療します」
「貴女は余計な真似をしないで。
コレは私のなんだから、あなたには関係ないわ」
いがみ合う声には、明確な敵意。
機知の間柄のようだが、けして友好的な関係でないことは明らかだった。
結局、アルクェイドには治療すべき手段が無いことから、
もう一方の声の主が志貴の治療をしているようだった。
「−−−わたし、あなたのこと大嫌いなの。
殺されない内にさっさと消えて」
「私だって、貴女の事は大嫌いです。
言われなくとも、彼の治療を終えたら直ぐに立ち去ります。
貴女こそ、わたしに殺されないうちにこの街から消えてください。目障りですから」
鬼気迫る会話に不安を覚えつつも、そこで、志貴の意識は、完全に闇の中に落ちていった。
意識を取り戻した時は、公園のベンチの上だった。
横には、神妙な面持ちのアルクェイドが、ただ黙って立っている。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
いや、正確には、無言で睨んでいるんだろうか。
こちらが問いかけても、両腕を組んで憮然とした表情のまま。
ふと見ると、傷がすっかり治っていた。
時刻は、1時を廻ったところ。戦いの後、それほど時間も経っていないのに、
傷口は、不思議なほどにきれいにふさがってしまっていた。
「アルクェイド、オマエまた、ネロの身体を塗りつけたのか?」
ちょいとお待ちなせぇ、志貴さんや!
また、って何だ、またって!?確かに前回のアルクェイド編ではネロの肉体を
媒介にして、ネロ戦の傷を治療したけど、それはそれで別の話だろ!
繰り返しプレイというか前話を過去にすげて話をするなよ!
あれ以外の方法ってなんだよ〜〜・・・そのアレを、なんで今の志貴が知ってるんだよ〜・・・・・・
凄い勢いでテンション下がっちゃったんですけど・・・・・・
★追記★
えーと、月姫ファンの方に何件かご指摘頂いたのですが、どうやら
正等な"シエル編ルート"ではホテルでのネロとの遭遇時にアルクェイドに庇われず、
腹部に傷を負った志貴はアルクェイドにネロの残骸でもって、傷の治療をされるらしいです。
今回のケースは、自分の選んだ選択肢がややアルクェイド依りだったため
アルクェイド編のシナリオが混ざってしまった為に起きたシナリオ矛盾とのコト。
あー、なるほど、そういうことかー!
そういうコトならしょうがな
やっぱり猛烈な違和感で一杯なのだが、アルクェイドは不機嫌な表情のまま、
治療をしたのは自分ではないと言い放つのみ。
アルクェイドでないのなら・・・恐らくは、先ほどのカソックを着た女。
彼女が、恐らくは治療してくれたのであろう。
アイツは何処に?と問う志貴だが、アルクェイドは全く取り合わない。
相当虫の好かない相手なのだろう。志貴の質問に、知らぬ存ぜぬの一点張り。
「いいから、あんなヤツのことは忘れて。
私の前であいつの話をしたら、本当に怒るからね」
不機嫌なまま、ピシャリとそう言い放つアルクェイド。
これ以上は訊きだせそうに無い、と観念する志貴。
・・・それに、目的の吸血鬼は倒したのだ。これでアルクェイドとの関係も終わりだろう。
ちょっと不満げだったアルクェイドだが、素直に納得してくれた。
「それじゃあな、アルクェイド。
その、さ。色々酷い目にもあったけど、わりと楽しかったよ。
えっと、だからーーーおまえも元気でな」
「そうね。今夜はもう遅いし、家に帰らないといけないか。
おやすみ。それじゃあまたね、志貴!」
・・・惜しみながらも別れを伝えたつもりだった志貴だが、
アルクェイドには伝わっていなかった様だ。
その声を最後に立ち去ったアルクェイドをあっけに取られた表情で見つつ、
まあいいか、と志貴も何かの拍子での再会に、なんとなく思いを寄せていた。
屋敷に忍び込むようにして、戻ってきた志貴。
幸い玄関は開いていたため、そのまま自室まで戻ってくることが出来た。
自分の部屋で、ようやく全て終わったんだ、と気持ちを落ち着ける志貴。
ようやく眠れる、とベットに身を倒すも・・・

どうにも、あのカソックの女性が気になって仕方が無い。
先輩のはずはない。・・・だが、どうしてもそのイメージが重なり、先輩のような気がしてくる。
「あした・・・学校で訊けばいいか・・・」
そう、もう日常に戻ってこれたのだ。
普通に学校に赴き、学校で挨拶を交わし、「人違いですよ」という言葉を聴けばそれでいいんだ。
そう自分を納得させ、眠気を誘うために屋敷の書物を読み始める志貴。
『不老不死』と銘打たれたその蔵書。
不死を探求するモノの理論を説くその蔵書では、どこかで訊いた
『蛇』と『混沌』と称される二人が、己の理論を語らっていた・・・。
む・・・・・・なんだか、最後で話が大きく違えたわね。
やっぱり、このまま地味な眼鏡にヒロインが移行しちゃうのかしら?

地味言うな!!

やっぱアレですよ。どうせだったら登場シーンで
シィィィィィィとかゲハハハハハハハとか笑って登場すれば良かったのに。

もういっそ、顔アイコンもアンデルセン神父にしてしまえば
地味さも払拭できていいのではないですか?ヒロインかどうかはさておき
そんな目立ち方嫌過ぎます・・・
って、もう変えられてるーーー!?
まぁ、顔が変わろうと特にキャラ立ってないままだし、
地味さは変わってないんだけどね。
我に求めよさらば汝に諸々の国を嗣業として与え地の果てを汝の物として与えん
汝黒鉄の杖をもて彼らを打ち破り陶工の器物のごとくに打ち砕かん
されば汝ら諸々の王よさとかれ地の審判人ら教えを受けよ
恐れをもて主につかえおののきをもて喜べ子に接吻せよ
恐らくは彼は怒りを放ち汝ら途に滅びん
その憤りは速やかに燃えゆべければ全て彼りよりなり頼む者は幸い

ヒューマン
ブチ殺すぞ、人間!


なんか唱えながら喧嘩してるーーー!?
そ、それでは皆様、また次回の講釈で!

・・・というか、毎回喧嘩オチじゃないですか?
2005/03/26 第26回
最近、看板娘不要なのでは、という疑問が湧いてきております当サイト、
毎度御馴染み、流浪の月イチコンテンツ「月姫プレイ記」のお時間です。

不要とか言うなぁーーーッ!!!!
ニュースは云うに及ばず、最近はゲームプレイ記三昧で
全然私達の出番がないじゃないですかっ!
そのくせ月姫プレイ記は全然進めないで、ホントこの人は・・・・・・!

そのゲームプレイ記も、改めて見ると手法が既にマンネリじゃないですか。
黒タカさんや蒼月さんのように、プレイ記やレビュー毎に
手法や語り口調を変えられるセンスも無いのに
色々手を出すから、こんなワンパターンに陥ってるんですよ・・・
さ、最近のリアルな悩みを持ち出すなッ!!!
5/朱い残滓
5day / october 25 (Mon.)
混沌「ネロ・カオス」との激戦から一夜。
志貴は、遠野家の自室で何事も無く、翌朝を迎えた。
昨晩までの陰鬱が嘘のような、晴れ渡った空。
昨日の日曜日を含めれば、もう3日、学校には行っていない。
学校にいかなくちゃ、と半ば義務感に急かされるように、志貴は眠りから目覚める。
ーーーーようやく戻ってこれた、平穏な日常生活。
なのに、なぜだろう。
何か、物足りないような気分に陥る志貴。
日常に感じる、刺激の足りなさ。物足りなさーーーーー
「・・・・・・そんなバカな。どうかしてるよ、それは」
相変わらず独り言の多い志貴。
ふるふると頭を振っていると、

「お早う御座います、志貴さま」
横から、久方ぶりに見る翡翠に挨拶をされた。
ばっちり独り言をブツブツ呟いているアブナイ人な所を見られて狼狽する志貴。
物足りないとかどうとか考える割には、隣に人が立っている事すら
反応できない鈍さと弛緩は如何なものか。
キラじゃなくても、戦場ならお前は3回は死んでいる。
激戦を潜り抜けた痺れは残っているが、肝心の感覚のほうは
とうの昔にふやけきっていた。ヽ(`Д´)ノ物足りないなどと抜かすのは10年早い!
「−−−あれ?まだ七時前だよね、翡翠」

「はい。志貴さまがお目覚めになられるには、
少しばかり早い時間ですね」
「そうなんだけどーーーそれじゃあ翡翠は何しに来たんだ?」

「志貴さまを起こしに来たのです。秋葉様がここ二日間のお話しを聞きたいので、
志貴さまをテコを使ってでも連れて来るように、との事です」
そりゃそうだ。
2日間も無断で訪れたばかりの家を空けていたのだから、そりゃそうだ。
かくして志貴は、応接室で妹にこってりとお説教を受けるハメとなるのだった。
妹の説教前に素直に謝るか、なんとか誤魔化すかという
漢らしくない三択を経由して、猛る秋葉の前に立つ志貴。
秋葉の睨みに萎縮しながらも、昨晩の事は話せない、と頑なに事情の説明を避ける志貴。

「・・・悪い、と思っているのに、話せないんですね、兄さんは」
「そうだよ。連絡を入れなかったり、事情を話せない事はすまないと思ってる。
でもこの二日間、悪い事はしていない。
・・・あれが間違っていた事だなんて、思いたくない」


ーーーー陰惨な、夜だった。
殺し合い、殺されあいの二日間だったが、あの死闘は、正しい事だったんだ。
人喰いの化け物を、倒す事が出来たのだから・・・
志貴の眼差しに何かを感じ取ったのか、秋葉はそれ以上問い詰めようとはしなかった。
何か言いたげな表情のまま、秋葉は二度、わかりました、と繰り返す。

「・・・わかりました。今回の事はこれ以上お聞きしません。
けれど、今後はこのような事は控えてくださいね。
兄さんは遠野家の長男なんですから、もう少し
ご自分の立場というものを理解して頂かないと困ります」
「ーーーむ。なんだよ、それは関係ないだろ。
だいたい遠野の跡取りは秋葉に決まったんだから、俺が何しようがいいじゃないか。
家の事を思うなら、遠野の家に相応しい婿養子でも見つければいいのに」
「・・・・・・・・・・・・」
自分の話が済んだとたん、逆ギレする遠野志貴17歳。
反省の色、全くなしでまくし立てるその発言の"婿養子"という言葉に反応して、
秋葉はキャラ違いの表情を浮かべていた。
「・・・・・・?どうした、気分でも悪いのか?」
「・・・・・・なんでもないです。
ともかく、あまりお一人で屋敷を出ないで下さい。
それでなくとも近頃の街は物騒なんですから。」
最近の通り魔事件を持ち出して兄を咎める秋葉に、
志貴はああ、それなら大丈夫だ、と返答を返した。
ーーーそう。あんな事件は、もう二度と起こらない。
それが、あの夜で得た確かな成果なんだ。
不意に嬉しそうな表情を浮かべる志貴に、秋葉は怪訝な表情で小首を傾げるのだった。
「志貴さーん、朝ごはんの支度、できましたよー」
食堂から聞こえてくる琥珀さんの声。
日常に帰ってきた、全て終わったんだ、という実感を感じながら、
志貴は食堂に足を運ぶ。そう、全て終わったんだーーーーー

ーーーー食堂で、口にした食事を吐き出す、志貴。
しろいご飯に乗っていた赤いふりかけにすら、血のイメージが拭えない。
終わった、と思い込むだけで全てを忘れられるほど、
昨夜の出来事は浅い爪痕を残してはいなかった。

・・・それにしても、転居早々に二日も無断外泊した上に夜中に塀を乗り越えて戻ってきて、
しまいにはいきなり食事を吐き出してしまう同居人ってどうなんですかね。
実際にこんな同居人が突然出来たら迷惑極まりないと思うのですが・・・

しょ、食事もどされた・・・・・・!
料理上手でポイントを稼いでいたのに、なんでこんな描写入るんですか!

地味にマズかったんじゃないですか?

ひ、翡翠(仮)ちゃんといっしょにしないでよ!!
このギャ●ゲー界のイン●ン・オブ・ジョイトイがっ!!


わ、わたしM字開脚とかしません!!そんな破廉恥な!

料理の話をしとるんでしょうが!!
というか、翡翠(仮)がイ●リンというのは失礼ですしね。
あちらはスリーサイズもB 86 W 59 H 86と今をときめくセクシー系タレントですよ?
80にも満たない貧弱貧弱ゥな姉妹と比べるのは、とてもとてギャア!

むぅん!全て滅殺!!

でかきゃいいってもんじゃないわよ!!なめるな!
食事をもどした志貴を心配そうに見つめる秋葉を尻目に、
無理を押して学校へと向かう志貴。
ふと、登校途中のガードレールに眼を走らせる。
この間の様に、そこに腰掛ける女の姿は、無い。

ーーーー当たり前か。
もう、あいつと会う事はないだろう。
ちくり、と胸に感じる、ちいさな痛み。
無意識にアルクェイドの姿を思い出そうとしている自分に、
まるでアイツに片思いしているみたいだな、と自嘲気味に笑う志貴。
先日、シエル先輩にときめいていたばかりなのに、相変わらず
アルクェイドにもムラムラきている色ボケぶり。
飯は喰えないほどショックを受けておきながら、なんだそのおかしな惚れっぽさ!
当ゲームでは志貴は理不尽なモテ方をするのだが、二股展開は無いものと信じて、
せめて片方にはこっぴどくフラれてほしいものだ。
ギャルゲーとはいえ、主人公を甘やかしてはいかん!

「あ、おはようございます遠野くん。
めずらしいですね、校庭であうなんて」
と。ちょうど志貴が他の女にうつつをぬかしていると
校庭で、登校途中のシエル先輩と出会う。

ーーー思い出す、昨夜の出来事。
一瞬迷いながら、志貴はシエルに昨夜の事を問いただす。
編み上げブーツがカッコよかった、と相変わらずトンチキな質問で
公園で見かけたシエルの姿を現す志貴に、シエル先輩はきっぱりとそれを否定した。
シエル先輩の否定に、あれがシエルだったのか、という確証がもてなくなり
まごまごとしだす志貴。確たる証拠も無く、話は水掛け論になったところで
校門に門限十分前の予鈴が響いた。
「−−−やばっ!遅刻する。それじゃ先輩、またあとで!」
「はい、お昼休みにお邪魔しますね」
そう切り返してきたシエル先輩の表情は、何時もと変わらない笑顔だった。
教室に辿り着くと、有彦にサボリ魔、とからかわれた。
体調不良で早退する事は多くとも、今まで学校を無断欠勤した事はない志貴。
珍しい事だ、と思うと同時に、多少は心配してくれたのかもしれない。
その時、同時に有彦から「弓塚もしばらく欠席している」という話を聞いた。
彼女も優等生で、学校をこれほど休むのは珍しい。
だが、親しい友人、という訳でもない二人は、それ以上その話題を気に留めることはなかった。
「おう遠野、メシにしようぜ、メシ!」
四時限目の授業を終え、有彦が食事に誘ってくる。
・・・だが、今日は食欲が湧かないまま。
琥珀さんの作ってくれた食事すら吐き出したのだ。
学食やパンが喉を通るとは到底思えない。
志貴は結局、今日は食べないよ、と有彦に生返事を返した。
これで、昨晩含めて志貴は二日間食事を取っていない事になる。

「なんだ、おまえますます不健康になってくな。
そんなに新しい生活は合わないのか?」
「ああ、そうなのかもしれないな。
朝は七時に起きても遅いと文句を言われるし、門限は八時だし。
おまけに無断外泊すると厳しく詰問されるなんて、監獄生活みたいだろ?」
唐突に屋敷に対する愚痴を炸裂させる志貴。
ヽ(`Д´)ノお前、全然その規則守れてないのに愚痴を炸裂させるなよ!!
日に日にナイスガイから遠のく遠野志貴。つくづく彼に感情移入させるのは難しい。
「おじゃましまーす」
結局、有彦一人で学食のサンドウィッチを食べていると、途中でシエル先輩が合流。
めずらしく朝早く起きれたんです、と手には弁当箱を持っている。

「私の実家はパン屋さんでしたから、すっごく朝が早かったんです。
けどわたしはどうしても朝に弱くて。
もう子供のころからお父さんに怒られてばかりでした。」
シエル嬢のわがまましほうだいなのですという平仮名だらけの
アホ発言もどうかと思うのだが、それ以上に、遠野志貴の
発育のいい胸をはるシエル先輩という付け足し発言は余計だ。
ヽ(`Д´)ノいちいち視点がセクシャルなんだよお前は!
その後は、人よりたくさん食べるんですよ、というシエル先輩に
他の女と違って栄養が胸にいってるから大丈夫だ、と
トーク内容までセクシャルに移行してゆく志貴と有彦。
シエル嬢はテレながら喜んでいるようだった。
筆者のテンションは大暴落だった。正直ネロの話までで止めたかった。
その後、食事を取らないんですか、とシエルが問うと、適度に抜いた方がいいんだ。と返す志貴。
男の人もダイエットするんですね・・・と呟いた後、シエル嬢はちょっと考えた後、
今日は急用を思い出しましたから、と結構量の多い弁当を箸半ばで片付けて
そそくさと志貴たちの教室を後にするのだった。
ーーーー授業を終え、誰も居なくなった教室。
黄昏時の空を見上げながら、夕焼けに、ここ数日の血のイメージを浮かべる志貴。
みたくない、と思いながら、家に帰る気も起きずに、ぼんやりと茜色の空を見上げる。
ずきり
痛い、と思ったとき、胸の傷が疼いた事に気が付く。
ーーーー頭も、痛い。
魔眼封じの眼鏡をかけているのに、痛い。
痛い。
いたい
イタイーーーーーーーー
どかり。
耳元に、何かが倒れる音。
気が付けば、呼吸が荒い。何か、嫌な気分がこみ上げる。
何かが気に入らない。何かに当り散らしたい。
凶暴な不快感に、頭の中が支配されていく。
「・・・・・・遠野君、ですか?」
「−−−−あれ、先輩?」
不意に、後ろからシエル先輩に声を掛けられる。
とたん、獰猛さが抜けおちる志貴。
振り返って見たシエル先輩の表情は、どこか真剣な面持ちだった。

「いま、机を倒すような音がしたから来たんですけど
・・・・・・それ、遠野君がやったんですか?」
え、と振り返ると、教室の机や椅子が乱暴に倒され、散乱している。
自分でやった、という自覚はないが、今のムシャクシャで、−−−−
シエル先輩に申し訳無さそうに詫びる志貴だったが、内心では
本当に自分のやった事なのだろうか、と疑問が拭えない。
「もう、駄目じゃないですか。何があったか知りませんけど、
物に八つ当たりなんかしちゃ駄目です!」



そうですね。
何があったからって、唐突に机や椅子を投げ散らかされては
周囲が困惑するのは当然というものだろう。
黙って机を並べなおし、シエル先輩は朗らかな笑みで、
いっしょに帰りませんか?と誘ってきた。
その笑みに、陰鬱だった気分が消し飛ぶ志貴。
先輩の家と志貴の家は全くの反対側。校門まで、という短い距離を、二人は一緒に帰る事にする。
良い雰囲気でいっしょに帰る志貴とシエル先輩。
雰囲気にほだされ、先日の夜の事を思い出す志貴。
殺人を犯した、と雨に打たれて呆然としていたあの夜、
先輩と出会っていなければ・・・・・・今の遠野志貴は、無い。

どうして先輩は、あの時俺を家に上げてくれたのだろう。
如何にほおっておけなかったからって、一人暮らしの女性が、
同世代の男を家に上げるなんて・・・・・・
同情、憐れみからなのだろうか。・・・・・・それとも。
思い切って、その事を聞いてみようとシエル先輩に話しかけた瞬間。
ぐぅぅ〜〜〜・・・・・・
腹の虫が鳴った。
沈黙の中、気まずい雰囲気に包まれる。
食欲が無いまま1日を過ごしていたが、食欲は無くとも空腹にはなる。
空腹を意識すると、急に食欲が湧いてくる。
夕食まで持ちそうに無い、途中でパンでも・・・と自分本位な考えの志貴に、

「遠野君、これ」
それは、お昼にシエルが急にダイエットを意識して途中で箸を止めた弁当だった。
「・・・食べかけ、だけどいいですか?」
1、いや、そんな恥ずかしいマネはできない断る
2、いや、かまわず頷く
「できない断る」って間に句読点もなく断るって結構キツイ断り方だ。
口にだしてみると判るが「できない断る!」って間を空けずに言うのって相当冷たい発言だ。
喰いかけの弁当なんぞ食えるか、女!って感じだろうか。
これは選ぶしかない!と思っていたのだが
勢い付けてクリック連打していたら(勝手に)2を選んでしまった。迂闊。
頂けるものならなんでも食べます、賞味期限も気にしませんと、
唐突に卑屈になって弁当をせがむ志貴は、結局シエルの案内で茶道部室へ。
昼過ぎまでは食欲が湧かない、と泣き言を言っていたのに、
平気でガツガツと音を立てて食事をかきこむ志貴。
それを笑みを浮かべながら黙って見つめるシエル。
「お弁当、おいしいですか?」
「んー、冷めててイマイチです」
本日数度目にあたる最低発言を繰り返す志貴。
だが、そんな志貴の態度はシエルには、世間体を気にしない、素直な男と映ったようだ。
お互い、達観したお年寄りみたいですね、と笑いながら、
二人の談笑は校門が閉まるギリギリまで続けられるのだった。
夕刻の屋敷。
坂道を越えて門まで来ると、翡翠が出迎えてくれた。

「主人の出迎えをするのは、使用人の務めですから」
そう返答を返す翡翠だが、志貴は態々門で待っていなくても、
見かけたときに声を掛けてくれればいいよ、と素っ気無く返す。
「・・・・・・・・・・・・」
翡翠は、何故か寂しげな表情を浮かべた。
その時、志貴はひょっとして昨日も一昨日も、こうして
待っててくれたのだろうか、と申し訳ない気持ちになる。
だが、それを問おうとする前に「明日からは、ロビーでお待ちします」、と
返答を返す翡翠は、何時もと同じ表情だった。
その日は、夜遅くまで秋葉は帰ってこなかった。
習い事のスケジュールが長引き、今日は其のまま外で食事をして帰るらしい。
食堂で一人きりの食事を済ませ、やる事もなくベッドにもぐりこむ志貴。
夜に至り、ちょっとだけ、アルクェイドの事を思い出す。
昨晩の疲れが出てきたのだろうか、今日は早めに眠ろうと、志貴は10時という早い時間で床についた。
ーーーーーーその日の、深夜。
志貴は、アルクェイドの放った淫魔によってかわいそうな夢を見ていた。
正直ネロの話までで止めたかった。
止めたかった!!

・・・・・・・・・ぽ

・・・・・・・・・ぽ
うっおーー!くっあーー!なんなんだ今回の話はぁーー!
そうですよ思い出しましたよ!前回第一周目もこの辺りから
一気にテンションが急落してしまったんですよ!わたしはゆるしませんよーーーっ!

あ、あの、前回の同シーンでは、アルクェイドさん、
シエルさん、秋葉さまの三人だけだったのに、今回は私達の名前も
夢のお相手候補に挙がってたんですけど・・・

・・・・・・・・・え、えええ選んじゃうんですか?
選ぶかっ!!
前回と同じアルクェイド嬢を選んで、後は次の選択肢までスキップ発動ですよ!!
なんていうか、この主人公は満身創痍の時でも
こういう時だけは俄然ヤル気なのが不愉快極まりない!!!!!

久しぶりにブチ切れてる様ですが、これはそういうゲームですし・・・
まぁ私達も、すっかり忘れていましたけれど。

ちゅーか、なんですか志貴さん、私の料理は吐き出したくせに、
シエルさんのお弁当はガッついてるじゃないですか!!!
ホントに体調悪かったんですか!?不愉快ですっ!!

やっぱり地味にマズかったんじゃないですか?

だから翡翠(仮)ちゃんといっしょにすんなっちゅーねん!!
このギャ●ゲー界の梨●がっ!!


わ、わたし元カリスマなんかじゃありません!

だから料理の話をしとるんでしょうが!!
というか、翡翠(仮)が●花というのは的を得ていますね。
元カリスマモデルですが、今は男を寄せ付けないバラドル扱いですし、
何気に貧乳疑惑も挙がってるあたり、貧相な体形の姉妹にはピッタギャア!


スレンダーっていうのよこの田吾作がァー!!
2005/04/26 第27回
人気投票企画で二人併せても姐さんに勝てない(自称)看板娘姉妹
勝負になってねぇーー!
最近、(仮)姉妹は看板娘ではないのでは?、という疑問が湧いてきております当サイト、
毎度御馴染み、流浪の月イチコンテンツ「月姫プレイ記」のお時間です。

くぅああぁあぁーーーッ!!!!
どうして!どうして私たちの得票数が姐さんにこれほどの大差を・・・!
あと私の一番最初の投票コメントがいまいち支援者のつかない琥珀(仮)さんに頑張って欲しいって
イマイチとか言わないのっ!!!

というか、私と姉さん、図ったように殆ど平行線ですね・・・・
これは私たち双子だからワンセットという扱いなんでしょうか?
(私のほうがキュートでセクシーでトラッキーなのに)

ぼそぼそ言ってるけど、全部聞こえてるわよ!!
って、キュートでセクシーともかくトラッキーってなによ!!

今年も頑張ってます
ヌフフフフフ・・・・遂に、遂に私もメインヒロインとして認められたという事ね!
あのおでん屋台の悲劇から半年・・・・・・!
屋台から単身、ラジオ相手に独り言、
マペを巻き込んでのパチアマ日記の日々・・・!
ようやく私の魅力が認識されたと言うこと
ってこれ全部月姫キャラとしての
魅力関係ぇねぇーーーーっ!!!
なんなのよこの間違いまくった認識は!
なんなのよお肌の曲がり角とか無駄毛とか!!

ノリ突っ込みとかしてる!!で、でもこんな三十路臭漂う人に
ピチピチの私達が人気で負けるなんて・・・・・・!
セットでも得票数で劣るなんて・・・・・・っ!!
一体、何が理由でこれほどまでの得票差に・・・!
わ、私たちが姐さんに劣る部分なんて・・・・・・!

劣る部分なんて・・・・・・
・・・・・・
ヌフフ、併せても勝てないといえば、貴女達のバストの
トップとアンダー差も合算したところで全然私に及ばないけどね!

やかましいぃぃーーーーーーーーーーっ!!!!!!
私だって、重くて肩がこっちゃうのよねぇ★とか
言ってみたいんじゃあああぁぁぁぁぁ!!!!
お風呂に入ったら浮いちゃうの★とか
言ってみたいんじゃあああぁぁぁぁぁ!!!!
リンゴでも入れとけば?

がああアアアアアアアッッ!!!!!!
というかお前らは毎回毎回乳が理由で喧嘩しすぎだ!!
前回、アルクェイドの放った淫魔により、かわいそうな夢を見ている遠野志貴。
こんなところからプレイ記再開なのか
正直ネロの話までで止めたかった。
己の欲求の対象が、最近出会ったばかりの吸血鬼、最近出会ったばかりの先輩、
最近再会したばかりの侍女姉妹、最近再会したばかりの妹という遠野志貴。
ヽ(`Д´)ノもうどこまで変態なんだこの主人公は!
前回の宣言通り、一周目と同じアルクェイド選択で文章ごとスッ飛ばそうと思ったのだが、
もうシエル編でシナリオが確定していると思われるので、
とりあえずシエル嬢に志貴の欲求の生贄になってもらう事にした。
両手足を縛られて、いじわるなシエル先輩に辱しめられるというM属性全開な
言訳不可の変態プレイを夢に見て楽しむ遠野志貴。
これで完全に確定ですが遠野志貴は真性の変態だ。
6/空の弓
6day / october 26 (Tue.)
翌朝。
起きてみれば、何事も無かったかのように、朝を迎える。
だが、志貴の心には、身体には、昨夜の変態行為の感覚が、生々しく残っていた。
夢だったのか、と葛藤しつつも、たまらなく気持ちよかったと、
その行為の余韻に呆ける志貴。この下衆野郎。

「志貴さま」
「うわあああああ!
ひ、ひひ、翡翠・・・・・・っ!?い、いったいいつからそこに!?」

「志貴さまがお目覚めになられる前からですが」
その様子どころか、志貴のイカレタ寝言までばっちり聞いていた翡翠。
昨日も翡翠に寝起きでぶつぶつ独り言を呟いていたところを見られているので、
これで志貴は二度目の羞恥を晒している。
「その・・・俺、なんかヘンだった・・・・・・?」

「それは、私の口からご説明するのははばかられます。
ですが、志貴さまがどうしてもとおっしゃられるのなら、
出来るだけ緻密にご説明いたしますが?」
性格の悪さをフルに発揮して、巧みな責任回避の言葉で主人を吊るし上げる翡翠。
俺が主人なら即日解雇は間違いない。
遠野志貴はというと、その侍女の態度にさん付けで返答を返す腑抜けぶり。
遠野志貴という人間は、弱みを握られると保身に走る男だった。

「おはようございます兄さん。今朝は早いんですね」
気持ちを落ち着かせて、居間へと移動する遠野志貴。
志貴がきちんと起きてきたせいか、珍しく秋葉は笑顔で挨拶をしてきた。
「ああ、おはよう。今朝は、まぁ色々とあってさ」
言って、その直後ーーーーーー
最悪だコイツ
ヽ(`Д´)ノお前、全然落ち着いてねぇじゃねぇか!!
妹と朝の挨拶した直後に何を下衆な事考えてやがる!!
「うっーーーーー」

「?・・・兄さんーーー?
どうしたの?顔が赤いけど、熱でもあるんですか?」
「ーーーーー!」
最悪だコイツ
ヽ(`Д´)ノお前、妹相手に何処見てやがる!!
言ってみれば、今回はシエル先輩を相手に選んだとは言え、
様はあの時思いついた五人全員に欲情しているという事になる。
夢に出てこなかったとはいえ、侍女も妹も関係ない。
最後は妹、秋葉に熱を測ろうと触れられた瞬間、志貴しんぼうタマラン。
朝食も取る事無く、大慌てで自室に引き戻る遠野志貴。
鞄をひったくるようにして玄関を飛び出した遠野志貴。
結局彼は、居ても居なくても屋敷の住人に迷惑をかけていた。
普段より随分早く、教室に到着。
教室には、朝練を終えたクラスメイトが幾人居るものの、まだまだ閑散としたもの。
特にやる事も無くきょろきょろとしていると、
ふと廊下にシエル先輩の姿を見かける。
なにやら誰かを捜しているような様子。
「また一年の廊下にやってきてーーー何してるんだ、あの人は」
もしかして自分に用があるのだろうか?と考える志貴。
それならーーーーー
1、廊下に出て話しかけよう。
2、いや、自分には関係ないかもしれないので教室で様子をみてみる。
3、隙あり。こっそり後ろにまわって脅かすしか!
「・・・・・・ふ、ふふ、ふ」
選んだ選択は、3。
普段いつもペースを乱されているシエル先輩に悪戯心を芽生えさせる志貴。
忍び足で廊下に出て、ゆっくりとシエル先輩の背後に回り込みーーーーー
脅かすついでに、背後から先輩女生徒に抱きつこうとする遠野志貴。
なにナチュラルにセクハラ行為をしようとしてやがる
それを寸でかわしたシエル先輩の表情はややキレ気味だった。
こんな女の敵、ビンタの一発もかましてやればよかったのに。
遠野志貴は、セクハラ対象に身をそらされ、派手に床に身体を打ち付けた。
「いたたた・・・・・・やば、腰をうったみたいだ。
やっぱりイタズラなんて慣れない事はするんじゃなかったか」
「そのとおりです。わたしもやりすぎちゃいましたけど、
今回は遠野君が悪いんですから、謝りませんからね」
怒られてすごすごと退散しようとする遠野志貴だが、

「あ、待って遠野くん。今の罰として、
ちょっとそこに起立してくれますか?」
そういって、志貴の身体をくんくん、と少し嗅ぐ。
よく判らないシエル先輩の態度に、ふと志貴は昨日の夜の事を思い出してしまった。

「遠野くん?どうしたんですか、顔が赤いですよ?」
「い、いや、なんでもない。
ちょっと、その、今朝は夢見が悪くてさ、気分がよろしくないんだ」
夢見、という言葉に反応したのだろうか。
じっと、志貴を見つめるシエル先輩。
シエル先輩のその目に全て見透かされていそうで、ますます紅潮する志貴。

「遠野くん、昨日はよく眠れなかったんじゃないですか?」
夢見の話に興味を持ったのか、何か感じ取るものが有ったのか、
シエル先輩はズバリ志貴の寝不足を見抜いていた。
「どんな夢を見たんですか、聞かせてください」
しつこく志貴の夢の内容を問おうとするシエル先輩。
流石にその内容は公言するのは憚られる変態内容なので口にはしないが、
それでも押しの強さに、ちょっとだけ言葉を洩らす志貴。
「・・・・・・もう。本当に大したコトじゃないよ。
ただ・・・・・・その、先輩が、ちょっと出てきただけ・・・・・・だし」
「わ、わたしが出てきたんですかっ!?」
とたん、顔を紅潮させて怒るシエル先輩。
当の志貴は、何故"出てきた"という言葉だけでシエル先輩が怒ったのか判らず、狼狽。
「・・・・・・・・・・・・」
サッと志貴から一歩身を引いて、上目遣いで志貴を見るシエル先輩。
何か言いたげな表情のままだったが、結局何も口にする事無く、
シエル先輩はぺこりとお辞儀をして走り去っていった。
「よう遠野、メシ喰おうぜ、メシ!」
お昼休み、やたらとハイテンションな有彦に食事に誘われる。
何故ハイテンションなのかと問うと、シエル先輩に食事を誘って断られたからだという。
「いやいや、話は最後まで聞けって!
でな、どうして駄目なんだよう、って聞いたら
『遠野君が一緒だと、イヤです』だってさ!うわははははははは!」
ライバル脱落に喜ぶ有彦。
だが、アルクェイド編でもご存知の通り、志貴の粘着気質は並ではない。
嫌われても会いに行くと間違った方面に覚悟を決めて、
志貴は有彦の誘いを蹴って茶道部部室に。
部室のドアを閉じて、案の定嫌がるシエル先輩にカレーパン有るよと
またしても物流作戦を展開する志貴。
「遠野くん、わたしが食べ物につられる人間だって思ってるんですかっ!?」
と、ブチ切れられたが、結局これでドアは開き、志貴は
茶道部部室に入ることに成功した。
「・・・先輩。有彦から聞いたんだけど、
俺のこと怒ってたって、どうして?」

「えーーーいえ、べつに遠野くんの事を怒ってた訳じゃないんです。
そのですね、遠野くんに対してというより、遠野くんの背後っていうか、その・・・・・・
たぶん、遠野くんの無神経さを怒ってたんじゃないでしょうか」
難解な説明に首を捻る志貴。
それに対し、自分で説明したコトながら、ちょっと自信はありません、と返答を返すシエル先輩。
「わたし、あんまり自分に関心はありませんから。
ーーーきっと、自分のことなんて好きじゃないんです、わたし」
ぽつり、と洩らしたその言葉。
それは何か、今までの笑顔のシエル先輩からは想像も出来ない言葉ながらも、
・・・・・・何故か、彼女の本質を突いている様に感じられた。
食事を終え、ゆったりと過ごす二人。
ふと、シエル先輩から、その眼鏡は度が入っていないんじゃないですか?と聞かれた。

「ね、遠野くん。その眼鏡、一度でいいですから
外してもらってもいいですか?」
「ーーーそれは駄目ですね。
残念ながら、この眼鏡は人前で取ったことはないんです。
ちょっとした願掛けですから、先輩のお願いは却下します」

「はあ。遠野くんがそう断言するからには、ダメなんでしょうね」
「はい。なにしろこの八年間、決してーーーーー」

ーーーーそうか。
もう、そうじゃなくなったのか。
俺はこの目で。
色々なモノの、死を視てきてしまったから。
いろいろな
いろいろ、な・・・・・・
「−−−−−−−遠野くん?」
は、とシエル先輩の呼びかけに目覚める。
寝起きのような呆けた志貴、シエル先輩に10分はぼぉっとしてましたよ、と指摘された。
休み時間も間も無く終わる。
茶道部室の片付けをしながら、志貴はほん一瞬視えた
欧風の町並みの情景は、既に頭の中から消えていた。
夕刻、茶道部部室によって茶菓子を御馳走になろうと図々しくシエル先輩に申し出るも、
今日は用事が有るからとすげなく断られる志貴。
結局そのまま校門まで連れ添っての帰宅。

「あ、ちょっと待ってください。
わたし遠野くんに聞きたいことがあったんです」
「?・・・なに、聞きたいことって」

「昨日、遠野くんが言っていた、わたしに良く似た誰かの話です。
なんだか気になっちゃって、もう少し詳しく話が聞きたいなって」

それは、昨日の朝話した、カソック衣装の女の話。
だが、志貴にとってあの陰惨な夜はもう終わった事。
もう、あの話はしたくないんだ、と志貴は結局その話題を避けた。
「でもその人を見たのは夜中なんですよね。
・・・・・・遠野くん、あんまり夜遅くに出歩くのは危ないと思います。
この街では通り魔殺人が続いているんですよ。」
先輩は、何故か夜出歩くな、と志貴に何度も念を押していた。
その瞳は、真剣そのもの。
通り魔・・・ネロのことだろうか。だが、それは解決したことだ。
先輩が心配をしてくれた事に嬉しく思いながら、
志貴は右手を差し出した。
「先輩には一回、とんでもなく大きい借りがあるからさ。
先輩の言いつけはちゃんと守るよ。
だから、約束しよう」
握手することで交わされる、二人の約束。
先輩には、あの雨の日に救われたという大きな、とても大きな借りが有る。
それからすれば、こんな約束は、些細なことだ。
「判りました。約束ですからね、遠野くん」
ぶんぶんと握った手を上下に振りながら、シエル先輩は満面の笑みを浮かべる。
「それじゃさよなら。また明日、学校で会いましょう」
そういったシエル先輩の後姿は、本当に嬉しそうだった。
・・・・・・そう。この時は。
その日の、夜。
屋敷では、夕食後のティータイム。
志貴がこの屋敷に来て初めてではないかと思われる、秋葉、琥珀、翡翠と四人揃っての団欒。
紅茶の話に盛り上がる琥珀と秋葉。
琥珀に暗にガサツなんですよとからかわれて
何故か志貴を睨む翡翠。俺が雇用主ならば即日解雇だこの野郎。
その後の談笑で、碌に帰ってこない志貴の夜遊びに話が移る。
門限8時は酷いだろうと反論する志貴。
今は通り魔も出て危ないんですよ、と志貴を戒める琥珀。
内心志貴は"それはもう終わってること"なのに、と話半分でそれを訊く。

「今朝も繁華街のほうで被害者が発見されたそうですから。
これで十一人目ですよ、十一人目」
「・・・・・・へぇ、十一人目か。そりゃ凄いな、野球ができーーーー
琥珀さん!その話本当なのか!?」

「ええ、本当ですよ。今朝のニュースでやってましたから。
なんでも昨夜殺されてしまったらしいんですけど、
やっぱり全身の血を抜かれてしまっている猟奇殺人だとか・・・」
絶句する、志貴。
次の被害者が出たというのは、つい昨日。
だが、ネロは・・・2日前に、とっくの昔に、死んでいる。
この街を脅かした吸血鬼は、もう居ないはずなのに。
なら、どうして・・・・・・

・・・・・・いや
もう一人、吸血鬼が、居る。
まさか、とは思う。そう思いたくはない。
だが、この街に残っている吸血鬼は、あいつ以外にはいないじゃないかーーーーー
「・・・・・・もう一度あいつに会って、
話を聞くしかないか」
アイツに、会わなくてはならない。
真相を、もう一度確かめる為に。
自室に戻り、志貴はナイフを取り出すと、夜の屋敷を抜け出した。
シエル先輩と交わされた約束は、半日と持たずに破られる事となった。
約束したことすら、思い出されなかった。ムギュ!
数時間に渡り、アルクェイドの姿を捜す志貴。
会いたい時に容易に会えず、焦りが募る。
会いたいのに、折角会えると思ったのに、と苛々を募らせていた志貴だが、
ふと、そんな自分に疑問を持つ。
そんな、これじゃまるで、俺がアルクェイドに片思いしてるみたいじゃ・・・・・・
「−−−そんな」
「−−−ばかな」
無理に苦笑を浮かべ、雑念を振り払う。
その雑念に、一瞬見たことの無いはずの情景があった事に、志貴は気付かぬまま。
最後に、あの公園に行こう、とアルクェイドと何度も会った公園に赴く。
何故だか、街灯の消えている、夜の公園。
ここに居なければ、もう諦めよう・・・・・・
そう考えていた志貴の耳に、
キィィィン、という金属音が飛び込んできた。
「−−−−−!」
2つの人影が、争う音。
一人はまっ黒い服装で、正体がつかめない。
だが、もう一人は、見覚えがある。忘れようが無い一張羅。
白い服装に、金の髪。争っているのは、紛れもなく・・・
「・・・アルクェイド・・・・・・!!」
激しく剣戟を振るう黒い衣装の人影。
それに、軽くトン、と胸を打ち返すアルクェイド。
それだけで、黒い衣装の人影は大きく弾き飛ばされた。
ーーーーーそれも、志貴の目の前に。
体制を立て直した黒装束と、目が合う。
見られた、と呟いた瞬間ーーーーー
剣戟が、志貴の方を向いた。
アルクェイドにすら匹敵する速度で、迫る剣戟。
よけよう、かわそうと考える間も無く、その切っ先は志貴の喉を突きーーーーー
寸前で、止まった。
「・・・志貴・・・・・・くんーーー?」
「ーーーーーー先、輩」
「志貴、そいつから離れて!」
遠くから聞こえる、アルクェイドの声。
目の前の黒装束ーーー姿の、シエル先輩は、動かない。
アルクェイドが、こちらに駆け寄ってくる姿が、見える。
薄暗がりの中、シエル先輩は、志貴の事を殺気すら孕んだ瞳で睨み・・・・・・
そして、きびすを返して駆け去って行った。
「志貴!大丈夫!?あいつに何もされなかった?」
アルクェイドの声を、半分呆けた様に聞く志貴。
目の前に居た黒装束・・・カソック姿の女。アレは紛れもなく、二日前に現われた女。
そして暗がりの中だったが、今のは間違いなく・・・・・・シエル先輩だった。
ちくり、と喉が痛む。
血が少し、滲んでいた。
あの剣戟が止められなければ・・・・・・志貴は、間違いなく死んでいた。
「・・・・・・わからない。俺はおまえに会いに来ただけなのに、どうしてーーー
どうしておまえが、先輩と殺しあってたりしなくちゃいけないんだ」
「え?志貴、わたしに会いに来たの?」
ちょっと驚いた表情のアルクェイド。
その表情に、志貴は何故アルクェイドに会いに来たか、という事を思い出した。
訊きたいことが有ったから。

・・・・・・今しがた、訊きたいことも、増えた。
小パニック状態ながら、志貴はアルクェイドにひとつひとつ、質問をし始めた。
先程戦っていた相手ーーーーシエル先輩は、カトリック所属の"埋葬機関"。
吸血鬼を狩る為に設けられた、人間による吸血鬼殲滅の組織。
現存する吸血鬼の多くは、それに見つかる事を避ける為、闇に潜み、死体を隠す。
吸血鬼にとっては、天敵のような存在。
彼女は、それに所属する凄腕の"埋葬者"。

「あの女ーーー今はシエルっていう名前らしいけど、
きっとこの街に巣食った吸血鬼を処理しにきたんでしょうね。
あいつはわたし以上に、『敵』に関する"嗅覚"が鋭いから」
シエル先輩が、吸血鬼を狩る埋葬者ーーーーー
想像、出来ない。安易には、信じられない。
だが、暗闇の彼女は、確かに志貴の名を呼んだ。

「むっ・・・・・・志貴、あいつと知り合いなの?」
不機嫌そうにそう問い返すアルクェイドに、彼女は昔から知っている先輩だ、と
言い返そうとして・・・彼女との思い出も、彼女の居るクラスも、
シエル、という名前以外に知らない事に気が付いた。
アルクェイドは、彼女は学校に紛れ込み、暗示をかけていたんでしょうね、と呟いた。
二つ目の質問。
街に巣食う吸血鬼は・・・今だ続く連続通り魔事件の犯人は、誰なのか。
今しがた、その埋葬機関のエクソシストと争っていたアルクェイド。
それは、まさかーーーーー

「・・・・・・志貴、それ本気?」
「俺だって、そんなことは信じたくない。
けど、そうじゃなければなんだっていうんだ。ネロはもう死んだんだろ。
なら・・・あとは、その、おまえしか・・・・・・いないじゃないか・・・・・・」
自分の言葉に、悔しそうに表情を歪める志貴。
直後、アルクェイドにグーで頭をはたかれた。
「志貴のばか」
そういった彼女は、ちょっと嬉しそうだった。
目の前の吸血鬼を疑うことに、悔しそうな表情だった志貴を見て。
結局、連続殺傷事件の吸血鬼は、アルクェイドでも、ネロでもなかった。
アルクェイドは血を吸わないし、ネロは対象を丸ごと捕食し、痕跡も残さない。
血だけを抜かれて息絶える死体は、二人に当てはまる殺し方ではない。
アルクェイドが追い、狙っていた吸血鬼は、そちらの方。
ネロは、そのアルクェイドを狙って追って来て、先に接触したという図式だった。
「・・・・・・つまり、ネロは吸血鬼殺人にはまったく関係なくて、
ここ1ヶ月街を騒がしているのは別の吸血鬼の仕業ってこと・・・・・・?」

「うん、そうゆうこと。でも、これはわたしが済ませる問題だから
志貴は気にしないでいいよ」
その後、昨夜お礼のつもりで淫魔を送り込んだ事を楽しそうに語るアルクェイド。
アルクェイド曰く、夢の内容を淫魔が脚色することもあるそうだが、
脚色しようがなんだろうが遠野志貴は真性の変態だ。この図式は変わらない。
駄話に流れていると、ふと街灯の火が戻った。
アルクェイド曰く、シエルの"結界"が解かれたのだという。
人よけの結界だったらしいが、志貴にはその効果は通じなかったらしい。

「・・・・・・ところで、志貴。ひとつ訊くけど、貴方はシエルの事どう思ってるの?」
妙に冷たい声で。アルクェイドはそう訊いてきた。
今の今まで、殺し合いを演じていた埋葬者。

「わたし、あの女は嫌いなの。
さっきもね、お互いの情報を交換しようって事で会ったんだけど、
話してるうちにムカムカしてきちゃって、結局殺し合いになっちゃったし」
事も無げに、殺し合いと語るアルクェイド。
二人の犬猿の仲は、志貴の想像以上らしい。
しかも、今回はシエルから仕掛けてきた、という。

「おとなしい顔してるけど、埋葬機関の人間はみんな好戦的なの。
志貴も騙されちゃ駄目だからね」
そう不機嫌に言い放つアルクェイドだが、志貴はどうしてもシエル先輩を、
疑うことも、不快に思うことも出来ない。
たとえ昔の思い出など無くとも、ここ数日の思い出だけで、先輩は・・・・・・
「・・・志貴。貴方、あの女とわたし、どっちの味方?」
不意に、アルクェイドは核心を突いてきた。
遠野志貴の葛藤に、アルクェイドは肉食獣のような瞳で問い掛ける。
アルクェイドとシエル。けして相容れない、二人の存在。
遠野志貴のその答えによっては、彼女は、志貴さえも敵と受け取るのか・・・・・・
「・・・・・・アルクェイド・・・・・・」
言葉につまる、志貴。
夜の公園で、志貴は思いがけず、選択を迫られることとなる。
けして嫌いではない、むしろ欲情好意を持っている二人のどちらかを
ーーーーー敵に、しなくてはならないかも、知れない選択を。

ふわぁぁああ〜〜〜・・・・・・ふう、ようやく説明終わった?
アルクェイドさん、はっきり言って説明が長すぎるのよね・・・
一気に説明しすぎですね。脇道端折るとそうでもないですが・・・
それは、わたしのせいじゃないでしょ・・・・・・

それにしても、今回でようやく原作における翡翠ちゃんの仕事振りが
判った訳だけど、はっきりいってこの娘にメイドを名乗る資格は無いわね。
雇い主にこうも反抗的じゃあ・・・・・・
ね、寝言で悶えるような雇い主相手では、やさぐれたくもなります!
というかわたし、原作じゃこんな変態な人が雇い主なんですか!?

・・・というか、私達、こんな変態相手に好きだのどうだのやる訳なの?
ちょっと今、ヒロイン辞めたくなってきたわ。

・・・まあ、私たちには、ある意味相手を選ぶ自由は有りませんからね・・・
たとえ主人公がどんな性癖の方であれ・・・・・・
あ、あんまり変態変態って連呼しないでください!!
今回はわたしのお話なんですから、主人公が変態という路線では
わたしの話までヨゴレ扱いになっちゃうじゃ・・・・・・!

はいはい、ゲームのわたしは対抗心むき出しみたいだけど、
全然譲ってあげるわよ、あんな変態。
さぁて、マペつれてパチンコでも行ってこよーっと・・・・・・
やれやれ、変態プレ、あ、いや月姫プレイ記の続きは1ヵ月後ですか・・・・・・
ビール飲んで寝ましょうかね・・・・・・

なんか小腹がすいちゃったし、私はラーメンでも食べに行こうっと。
翡翠(仮)ちゃんも行く?
あ、イクイクー!

ちょ、ちょっと!!なんですか、なんでそんなになげやりなんですか!
ココって月姫キャラのサイトですよね!!ゲームプレイ記は看板コンテンツですよね!?
なんでお話しの中心になってる私が負け組みたいな空気になってるんですか!!
ちょっと帰らないで!誰か!答えて!
答えてくださぁーーーーーい!!!!
2005/05/26 第28回
絵師様 はにぃめーぷる くぼっちさん
そんな訳でToHeart2で大盛り上がりする中落ち目の匂いがプンプンするコンテンツ
毎度御馴染み、流浪の月イチコンテンツ「月姫プレイ記」のお時間です。

これはアレですよ、シナリオが地味なメガネってのが悪いんですよ!
地味なヒロインに変態主人公では、プレイ記が落ち目なのも仕方ないですよ。

ここは、プレイ記を遡って、虎耳の良く似合うメイドに
ヒロインを移行して人気回復を図るのが良いのでは・・・・・・


ほら、軍師もこう言ってますし。施しますか?

施さねぇわよ!!その軍師何処から出してきた!!
喜ぶのは翡翠(仮)ちゃんだけでしょうが!!
わ、私地味じゃ有りませんっ!!だいたいこちらは1ヶ月1回更新、
ToHeart2プレイ記は1ヶ月に6〜7回更新してるじゃないですか!!
私が地味なんじゃなくてこのサイトの更新バランスがおかしいんですっ!!
そんなこと言われたって、アッチの方が要望多いし、
反応だって桁違いだし、(良くも悪くも)喜んで頂いてるようですし・・・・・・


コッチを施こさんかぁーーっ!!
「・・・志貴。貴方、あの女とわたし、どっちの味方?」
不意に、アルクェイドは核心を突いてきた。
遠野志貴の葛藤に、アルクェイドは肉食獣のような瞳で問い掛ける。
アルクェイドとシエル。けして相容れない、二人の存在。
遠野志貴のその答えによっては、彼女は、志貴さえも敵と受け取るのか・・・・・・
「・・・・・・アルクェイド・・・・・・」
言葉につまる、志貴。
ネロとの戦いで行動を共にしたアルクェイドを信頼する気持ちはあれど、
シエルーーーー先輩、を敵として見ること等出来ない志貴。
「・・・・・・先輩は大切な友人だ。敵とか味方とか、
そういう割り振りは出来ない」
「なによ。それじゃあわたしはどういう割り振りなの?」
「おまえはーーーほっとけないヤツっていうか、その・・・・・・」
2択でスッパリとどちらかを選ぶのかとおもいきやアルクェイドはアルクェイドで気になると
優柔不断っぷりを発揮する志貴。むしろ、シエル先輩を選択したのに考えはアルクェイドの方へと及びだす。
ここに訪れるまでの、アルクェイドに会えない時の苛々を思いだす志貴。
それは、まるで惚れた相手にやきもきするような感情にーーーーー
何故か、見たことも無い情景、見たことも無い女性の姿が脳裏を過ぎる。
ーーーーそれでも、どこかで見たことに有るような情景がーーーー
「ああ、もういいだろ!なんだってそんな事を聞くんだ、お前は!」
確かにアルクェイドは美人だけど、と明らかに外見だけで女性を判断している女の敵、遠野志貴。
気恥ずかしさから、その情景に想いを廻らす余裕も無く声を荒げる志貴。
「そんなの、わたしにわかるわけないでしょ!
もういい、志貴なんか知らない!」
それに対し、自分の感情すらわからない、と拗ねるように叫ぶアルクェイド。
好意の有無ひとつで態度をころりと変える彼女の情緒不安定は十分に現代病として通用する。
身近にいないだろうか?さっきまで笑ってたのにいきなり怒り出す人とか。
結局、捨てセリフひとつ残して公園を去っていくアルクェイド。
普通ならあまりお近づきにはなりたくないタイプの人だが、女性を外見で判断する遠野志貴は
この程度ではへこたれない。慌ててアルクェイドを追って走り出す。
なんか、カッコイイ事を言って走り出した遠野志貴だが
彼は視姦する男だ
忘れてはならないが、彼がアルクェイドに好意を持ったのはこの時点から。
たしかに理屈じゃない。理屈もクソもない。
志貴を無視したまま、夜の街を闊歩するアルクェイド。
それを追う志貴。
背中越しに視るアルクェイドの姿は、初めて彼女を見たときのような・・・
もしくは、ネロと対峙した時のような、緊張感が。
その姿に、なにか厭な予感を感じる志貴。
何度か彼女に話しかける志貴だったが、アルクェイドは一言も言葉を返さなかった。
繁華街を抜けた頃、ついにしびれを切らしたアルクェイドの歩が止まる。
「ついてこないで。後ろに貴方みたいな普通の人にいられると
迷惑だって判らない?」
冷たく言い放つアルクェイドに、何をしているのか教えてくれれば帰る、と返すも
志貴には関係無い、の一点張り。
結局そのやりとりだけで、無言のまま歩き出すアルクェイド。
やれやれ、と言いつつ迷惑がられてるのに付いていく遠野志貴。
ーーー結局、二人の無言の徘徊はアルクェイドの目的に辿り着くまで続けられた。
「−−−−見つけた」
大通りに辿り着いたアルクェイドが足を止め、ぽつりとつぶやく。
別人のような、冷たい声。背中越しにすら感じ取る、敵意。
アルクェイドの眼前には・・・・・・その「殺意」の対象となるべき存在が立っていた。
一見すれば、普通の背広姿の男性。
「志貴。メガネを外してあの人間を見てみなさい。
わたしが何をしているか知りたいのなら、質問はあとよ」
ここまで付いてきてしまった志貴を無視するのを止めて、志貴に魔眼で背広の男性を
視るように促すアルクェイド。そう促されては断れず、直死の魔眼を開放する志貴。
街で開放する魔眼の光景は、死の線に包まれていて、視ていて気分が悪くなる。
行きかう人々の死の線、街中の建物や車、無機物の死の線ーーーーー
「ーーーー!?」
思わず、あとずさる。
人であれ、鉱物であれ、死の「線」はさほど多くない。
例外なく、数えられる程度の「死」が、その体を数本走っている。
だが・・・目の前の『アレ』は、体中、至る所に・・・死の線が走っている。
まるでラクガキが人の形をしているようなその身体には、さらに無数の黒い、「死の点」・・・・・・
「・・・志貴にはどう視える?
私としては、志貴には普通の人間に視えていてほしいんだけど・・・」
志貴の「魔眼」を測るように、そう呟くアルクェイド。
だが、志貴は言葉を返さない。ただ嘔吐を押さえるような仕草に、アルクェイドは
残念ね、と少し忌々しげな表情で呟いた。
「やっぱりーーーー『死者』さえ殺せるのね、貴方は。
命の有る無しの問題さえ無関係。動いているもの、破壊できるものなら、例外なく停止させる。
ーーーーなによ、ほんとの化け物は貴方のほうじゃない」
「えーーーーーー」
「直視の魔眼」という能力に、その嫌悪感を隠そうともせず吐き捨てるアルクェイド。
彼女はくるり、と志貴に背を向けると、再び「死の線」だらけのサラリーマンに向きなおる。
「視たとおり、アレはもう人間とは呼べないわ。
自らの『死』という負債を、他人の血を吸い上げることで誤魔化し続ける吸血鬼だから」
そう呟いて、アルクェイドは背広の男に歩を進める。
男は、アルクェイドの姿に気が付いたのか、逃げるように路地裏に走りこむ。
志貴はそこにいて、とアルクェイドは路地裏に駆け込む。
志貴は、魔眼封じの眼鏡をかけなおす事すら忘れ、その場に硬直していた。
―――ギ
―――ゴ
――――――ず、ぶ
真っ赤に焼けた視界の向うで。
志貴は、視得る筈の無い「何かの死」を、感じ取っていた。

「あれ?あ、そっか。志貴ったらまだ残ってたんだ。」
押さえ込むように魔眼封じの眼鏡をかけ、今の情景に感じた気分の悪さに息を荒げる志貴の前。
先程の殺気と不機嫌が嘘のように、どことなく上機嫌でアルクェイドは戻ってきた。
「あれ、どうしたの志貴?貴方、ぜんぜん生気がないけど」
「−−−気にしないでくれ、ただの貧血だ。
それよりアルクェイド。いまの、どういうことなんだ」
今度は、志貴の方が軽い興奮状態に陥っている。
アルクェイドを睨みながら、その腕を掴む志貴。
殺意の衝動が、焼け付いた朱色から脳に沁みこんで行く様な感覚・・・・・・
「ちょっーーー志貴、いきなり何するのよ。
苦しいんなら家まで送っていってあげよっか?」
「いらない。そんなのはいいから、今のヤツがなんなのか答えてくれ。
ここまで視せていて、いまさら関係ないだなんて言ったら殴るからな、アルクェイド・・・・・・!」
付き合いにくいなァ、この気分屋二人は!
気付くのが遅い
邪魔者扱いして、ずっとシカトしても付いてくるストーカーなんだから
割と、とかそんな問題ではない。喰らいついたら離さない。
結局、根負けしたアルクェイドは、志貴に今相対している相手の事を語った。
ネロのような(群体から成り立ちながらも)単体で動く特異な吸血鬼と違い、人の血を吸い、
血を吸い取った人間を「死者」として下僕に使う、一般的な「吸血鬼」のイメージのままの相手。
先程アルクェイドが始末した「死者」は、その吸血鬼の使役する「死者」。
外見からは、まるで普通の人間と変わらないこのような死者が、まだまだ幾人も
この街に蠢いているという・・・・・・
自らはその姿を現すことなく、血を吸った相手を空蝉とし、吸血を成す。
さらに、空蝉の「死者」が血を吸った死体も新たな「死者」とし、
その勢力を少しずつ拡大する。ミツバチが巣に蜜を集め続けるように、「死者」を通じて
本体である吸血鬼に、その糧が集まる。
アルクェイドだけでなく、教会の埋葬機関にも狙われる吸血鬼にとっては、
己の身を隠しながら糧を得る、最上の手段。
「・・・・・・わたしの『敵』が簡単に見つからないのは、『敵』が死者を多く使っているから。
あいつは自分の手を汚すのは1回だけ。あとは死者にした人間を操って、
自分は眠っているだけで領地を広げていく。
ーーー通り魔殺人による遺体が何体も発見されてるっていうけど、
あんなのは偽造に失敗しただけのものよ。」
実際の犠牲者は、ゆうに百人を超えている、とうアルクェイドの言葉に驚愕する志貴。
今まで報道された連続殺傷事件など、氷山の一角に過ぎないとーーーー
以前のホテルでの惨劇、ネロは30分足らずで百人捕食した。
だが、ネロとの違いは、この百人が、更に被害者を増やし続ける事に有る。
この百人で終わりではなく、更に、更に、鼠算のように被害者が増え続ける。
吸血鬼たちの理不尽な殺戮に、歯噛みし、憎しみを噛む志貴。
何故こんな不吉な想像の時だけ
秋葉の名前を思い出すか。
普段虐げられているが故の願望か?
ゴミのように打ち捨てられた姿を見た後、どうするのだろうか?
「ちょ、ちょっと兄さん!?わたしまだ生きて・・・・・・ギャア!」
「くっーーーーーー」
頭にくるのは、そんな危機が間近に迫っていたにも拘らず、
それに気付きもしなかった己の平和さ加減。
明日にでも・・・それこそ、今にも親しい人が犠牲になるかもしれない街で、
今までどおりに平和に暮らしていける筈が無い。


思い返す、ネロ・カオスとの死闘。血と惨劇に濡れた夜の日々。
あんな、気がふれる様な、陰惨な戦いを、また繰り広げなくてはならないのか。
「大丈夫、吸血鬼の方はわたしのほうで始末をつけるから
志貴はなんにも気にしなくて良いよ!ネロよりも全然弱いし!
でも志貴に殺された傷が完治してないから
最悪相打ちくらいになっちゃうかもしれないけど」
長い説明を繰り広げるが要約するとこういう事を言い出すアルクェイド。
おまえ、それ断れないだろう・・・・・・
「さっきの話だけどな、アルクェイド」

「さっきの話ってなに?」
「だからさ、俺が先輩とおまえ、どっちの味方かって話」
「・・・・・・」
「待て、話は最後まで聞いてくれ。
あのさ、そのーーーお前はたしかに常識外れで我侭で手に負えないヤツだ」
「・・・・・・」
「・・・・・・でもまぁ、おまえと一緒にいると退屈はしないんだ。
俺は、アルクェイドのことが気に入っている。
だから、その敵とやらをやっつけるのを見届けさせてくれないか。
・・・その、ようするに、俺は先輩じゃなくて、おまえの味方っていうことなんだけど・・・」
ね、寝返りおったーーーー!?
態々選択肢で「アルクェイドかシエルか」を選択させておきながら、
結局は目の前の人間に取り入ろうとする遠野志貴。妖星は妖しく輝く!
結局、街の平和(←建前)とアルクェイドのため、志貴は再度戦いに身を投じると
アルクェイドへの協力を申し出る。
「うんーーー!志貴が手を貸してくれるなら、
出来ないコトなんて何も無いよーーー!」
輝かんばかりの笑顔で喜ぶアルクェイド。
かくして、一度終えたはずの二人の共闘は、再び幕を開ける。
街に潜む吸血鬼をおびき出す為、先ずは街に潜伏する「死者」を狩る。
「死者」が居なくなれば、自ずと本体の吸血鬼が自分で血を吸いに出てくることになる。
そこを・・・・・・狩る。地道で時間の掛かるやり方だが、これ以外に手段は無い。
既に数体の死者を狩った後、今日はもうこれ以上探しても無駄だから、と
明日からの共闘を誓い合い、二人はその場で別れる。
「おやすみなさい、志貴。また明日、ここでね!」
まるで恋人と遊ぶ約束を交わした後の様な笑顔で、アルクェイドは去っていく。
再び、陰惨な夜が幕を開けるというのに、それを見つめる志貴も浮ついた気持ちを抑えられなかった。
7/空の弓
7day / october 27 (Wed.)
―――――夢を、見ている。

―――――彼女が、好きなのか


―――――彼女が、好きなのか
―――――わからない

―――――わからない
ただ、彼女が居なければ、今の自分は居なかった。
だから、聞かないといけない。
どうして、そんな事をしているのか。
どうして、そんな感情の無い目をしているのかってーーーーーーー
街の平和はどうしたコノ野郎ーーーーっ!!!!!!

・・・・・・なんですか、この優柔不断極まりない夢は。

何時の間にどっちが好きかなんて論点ズレた話になってるんですか・・・・・・
結局、色々憤って再び吸血鬼退治に身を投じる遠野志貴ですが、
結局彼の頭の中ではヒロインへの感情が優先されまくってますね。
直情的に憤ることが多い彼ですが、なんというか、彼の怒りは軽いんですよ・・・
他人が犠牲になる事に対し、何度も憤る彼ですがその憤りが原動力となって
吸血鬼と相対している、という印象は無いですね。
ヒロインがピンチに陥るか、自分がピンチに陥らないと本気にならない。
憤りが激しい分、その冷め方が気に入らない。憤りに芯を感じられないんですよ。

まぁ、憤りながらも、吸血鬼相手に簡単に臆する事も多いですしねぇ・・・。
普段は平凡な学生である事で、人間臭さを出そうというのでしょうが、
こんな特殊な能力を備わって平凡である事は、むしろ人間臭く無い様な気がしますね。
吸血鬼との闘争、という異世界に迷い込みながら、彼の順応の仕方は
どうにも引っかかる所が多いですし・・・。
極端な話、女目当てに頑張ってるようにしか見えない。
アルクェイド編では、後半特にその傾向が強く、彼への感情移入はまるで出来ない有様だった。
もし、本作に登場するのが全て男だったら、本当に遠野志貴は街の為に頑張ったのだろうか?
そして今度はヒロイン二人相手に優柔不断などっちつかずの態度!
ヽ(`Д´)ノなんなんだお前は!なんなんだお前はっ!!

お、落ち着いてください!そりゃ、ちょっとイタタな部分もありますけど、
一応主人公なんですから、きっと頑張ってくれますよ!多分!

姉さんフォローになってませんっ!!
ヽ(`Д´)ノなんなんだお前はっ!!

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・
アルクェイドと別れた後、忍び込んで自室に戻っていた志貴だったが、
夜外出していた事がバレバレで、結局秋葉の怒りを買ってしまう。
申し訳無さそうに翡翠にその事を告げられるも、どうにもシエル先輩のコトが気に掛かる。
結局志貴は迷惑かけどおしの家族の怒りよりも他所の女を取り、
シカトして学校に行くという最低の行為を繰り出した。
そう決めて学校に向かおうとした時、居間から翡翠が顔を覗かせる。
何時までも居間に現われない志貴を呼びに来た様子。
「・・・・・・志貴さま?」
「・・・・・・悪い。俺、このまま学校に行くよ。
秋葉にはごめんって伝えておいてくれ」
「・・・・・・お待ち下さい志貴さま。志貴さまのお顔の色が優れません。
ひどく体調が悪いのではないですか・・・・・・?」
そう、志貴は先程翡翠に呼ばれた直後、激しい頭痛に苛まれた。
頭が割れるような痛みに、思考の混乱・・・まるで、何か別の人格が割り込んできたような、
そんな感覚が頭を蝕む。今も落ち着いたとはいえ、それによる疲弊が消えないまま。
「−−−いいんだ、ただの頭痛だから。それじゃ行くよ。
・・・・・・ごめんな、また勝手なコトしちまって」
それを頭痛の一言で片付け、志貴は翡翠の返事も聞かないままに屋敷を飛び出す。
今は一刻も早く学校に向かい、シエル先輩の話を聞きたい・・・・・・
校門で、シエル先輩の登校を待つ。
始業のベルまでは、まだ随分と時間が有る時刻、志貴は正門の前で待ち続ける。
ーーーーー先輩は、現われない。
始業のベル間近に迫っても、シエル先輩の姿は現われない。
昨日、あんな姿を見たばかりなのだ。
もう、学校に現われる事はないのかも・・・・・・
眩暈のするような絶望感に苛まれる志貴。
もう、二度とシエル先輩には会えないのか・・・・・・
ぽん
そう志貴が考えた直後、その肩が後ろから叩かれる。
振り向いた、その先にはーーーー
「遠野くん、こんなところで何してるんですか」
「せっ、先輩・・・・・・・・・!?」
「はい」
「ほ、ほんとに・・・・・・!?
だって昨日、俺は先輩があんなコトしてたのーーーもがっ」
トコロ構わず叫びだす志貴の口を押さえ込み、ここじゃなんだから、と
体育館裏手に呼び出すシエル。その笑顔は、いつもと変わらぬ笑顔のまま。
「昨夜の夜の話でしょう?
言いたいコトがあるんでしたら、遠野くんの方からどうぞ」
始業のベルが響く校舎裏。
授業が始まっている今、校舎裏には当然の様に二人だけ。
シエルのほうは、既に昨夜の事を隠そうとするつもりは感じられなかった。
「それじゃあ昨日の夜のアレは、本当に先輩なんだな・・・・・・!」
その態度に、カチンときて、怒気まじりにそう問う志貴。
アンタ付き合いにくいなぁ、ホントにもぅ!
何故か怒り出す志貴に、あっさりと昨夜の法衣の女は自分である事を告げるシエル。
「遠野くんのほうこそ、わたしとの約束を守ってくれなかったんですね。
もう夜は出歩かないって言ったのに」
ここ最近の遠野志貴は約束なんぞ破りまくりだ。
しかもそれを指摘されると男らしくない言い訳に終始するか逆切れ。
ここでもシエルに私との約束なんてその程度だったなんてと責められると、
「いや、違うんだ、アルクェイドが・・・」と責任転嫁しながら
今までの経緯を語り始める。
「ーーーわかりました。
遠野くんは彼女に協力して、この街に根付いている吸血鬼を倒そうとしているんですね」
志貴の言う事を理解すると同時に、志貴が吸血鬼の事を鵜呑みにしていると指摘するシエル。
確かに、シエルの指摘するとおり、志貴はアルクェイドのことも、
彼女が追う吸血鬼の事も、何も知らない。
守秘義務に徹し、口止めに目撃者を殺傷する事も厭わない埋葬機関の人間。
だが、シエルは口の軽さを発揮して、志貴に吸血鬼の情報提供を申し出る。
口外すれば命は無い、と笑顔で念を押すも、どこまで本気なのかは妖しいものだ。

更に、彼女は志貴が「ネロ・カオス」を殺傷せしめた事を知ってた。
ならば当然、志貴の「直死の魔眼」のことも承知しているはず。

「ひどい話ですよね。なんだって遠野くんにあんな真似をさせたんですか彼女はっ!
『混沌』を滅ぼせるぐらいの概念武装があるんだったら、
自分で戦えっていうんです。遠野くんをあんなに血だらけにしちゃうなんて、
あの場で彼女をこらしめようと思ったぐらいあたまにきました」
そう言って憤るシエルだが、知ってるって事は自分も傍観してたってコトではないのだろうか?
・・・だが、どうもシエルの話はどこかおかしな内容だった。
志貴がネロを駆逐できたのは、退魔の武器・・・あの手のナイフの力なのだと思っている様子。
本気か擬態か判らないが、シエルは志貴の魔眼の能力を知らない態度だった。
話を戻し、今、アルクェイドが追い、志貴が相対している吸血鬼の情報に戻る。
相対する吸血鬼は、通称『蛇』。ネロほどの強い力は持たないが、
『輪廻転生』により、一度死しても再び新たな転生体に移り変わる、『無限転生者』。
転生する前に、その転生先となる肉体を選び、赤子の誕生と共に「自分」の全情報・・・「魂」を移植する。
転生した「吸血鬼」の魂は、そのまま赤子に乗り移る。
その赤子は、吸血鬼の情報を内包する様子など微塵も見せないまま成長し、
十分な知識と行動力を伴った後、本来の自我を取り戻す。
成長の過程で得た、環境・・・家庭、友人、生活を其のまま隠れ蓑と変えて。
『蛇』の自我が目覚めるまでは、その赤子本来の『自我』で生活する為、
いざ活動を始めるまでは、『蛇』である事を判断する事は極めて困難。
その転生は、八百年に及び、その回数は、既に十七回に及ぶ。
そのこと如くを殺害せしめたのは、

――――アルクェイド・ブリュンスタッド。
『蛇』が転生するたびに執拗に追い続け、執拗に殺傷せしめる。
しかし、相手は死しても再び次の転生者に乗り移り、甦る。
そんないたちごっこが、既に八百年、ずっと続けられてきた。
「アルクェイドが・・・・・・?」
「はい。彼女にとって『蛇』は特別な吸血鬼なんです。
・・・・・・わたしにとっても『蛇』は特別な吸血鬼なんですけど」
そういったシエルも、何か思い有り気にうつむいた。
『蛇』という名の吸血鬼。アルクェイドにも、シエルにも、因縁浅からぬ相手らしい。

「転生先に選ばれる家柄は二つの条件があって、
1つは、富豪であること。もう1つは・・・生まれついての特異能力者。
そういった「人外の能力」に長けた血筋の家系を選ぶんです」
ある家系や血筋の中には、人外の能力に長けた存在が有り、
それを転生先に選べば、それだけで有利な状況を生み出すことが出来る。
更に、そういった家系は力が有るゆえに、その地の旧家、名家で有ることが多い。
富豪であれば、その街を支配していく上で何かと有利な部分も多い。
『蛇』と冠せられる相手、名前通りに執拗で周到、用心深い相手・・・・・・
「・・・・・・」
それ以上に、今の話には何か引っかかるものがあった。
聞いていて、あまり面白くない印象を受ける。
そう、相手の事を語った上で、これ以上遠野くんが関わる必要は無いと断ずるシエル。
この街の危機なのだから、二人だけにまかせておけないと迫る志貴。
だが、シエルはそれに首を振る。
・・・アルクェイドが『蛇』を追うのは、個人的な理由なのだと。
吸血鬼に血を吸われ、吸血鬼と成る「死徒」。
生まれながらにして、吸血鬼で有る「真祖」。
生まれながらに大きな力を持っていた「死徒」である、『蛇』。
その血を吸った真祖の能力で、「死徒」の力も大きく変わるというが・・・・・・
「・・・・・・まさか。その、真祖っていうのは」
「アルクェイド・ブリュンスタッド。
八百年前に、唯一度だけ過ちを犯した真祖の王族。
彼女が、『蛇』を作り出した張本人なんですよ」
「いいですか、遠野くん。
アルクェイド・ブリュンスタッドが『蛇』を追っているのは、
『蛇』に与えてしまった自分の力を取り戻すためなんです。
それは決して人間のためなんかじゃない。
どうして彼女があんなに弱っているのかは知りませんけど、もし力が戻れば
ーーー遠野君に手を貸してもらう必要なんてなくなる。
その時、彼女が遠野くんを無事に帰すと思いますか?」
シエルは、吸血種そのものを信用していない。
吸血鬼を滅ぼすべき「埋葬機関」に所属するエクソシストなのだから、当然では有るが、
アルクェイドにも想いを馳せる志貴には、当然それは受け入れられない。
彼女には、もう協力しないでくれ。
そう言うシエルの言葉にも、やはり志貴は耳を貸さなかった。
必死に彼女は、吸血鬼は、夜の闘争すら危険なんだと訴えるシエル先輩に
逆切れ発動
先輩こそ俺を騙していたじゃないかと最低発言でシエルを追い散らす志貴。
シエルは、寂しそうに笑うと、そうですね、信用できませんよね、
ーーー消えますね、と呟いてその場を去って行く。
ーーーーその日一日、もうシエル先輩の顔を見る事は、もうなかった。
茶道部部室に顔を出す気も起きぬまま、珍しく屋敷に真直ぐ帰宅する。
入り口では、翡翠が何時もと変わらぬ表情のまま出迎えてくれた。
だが、そんな翡翠にも空返事を帰すのみで、志貴は自室に引き篭もる。
折角早く帰っても、屋敷の人間と言葉を交わすことは、殆ど無かった。
ーーーーもうすぐ、アルクェイドと約束を交わした時刻。
志貴は、自室に閉じこもったままシエル先輩の事を考える。
不用意な言葉で、彼女を傷つけたまま。
結局、俺は先輩より、アルクェイドの方を取ってしまったというのか・・・
って、昨日の夜アルクェイド本人にもそう言ってたじゃん。
ずきり、と頭が痛む。
「死」を視過ぎたせいか、最近、とみに頭痛が多く、激しくなる。
そんな状態だが、約束したからとこんな時だけ約束を優先して屋敷を忍び出る志貴。
痛む頭を抑え、街灯の灯る屋敷周辺の道を歩く。
坂を下れば、アルクェイドと待ち合わせる公園に辿り着く。
ーーーと、その途中。
屋敷の堀に、黒い人影が寄りかかっているのが見えた。
ーーーーー黒い、法衣を着た、女性が。
「こんな夜更けにどこに行くんですか?」
眼鏡を外すと思いのほか特徴の無い顔立ちのシエル先輩。
彼女の現われた意味は判る。
だが、アルクェイドの元に行くと決めた志貴は、その歩みを止めないまま。
結局、お互いに視線を合わせられないまま、行き交う二人。
好きにすればいいんです、というシエル先輩の言葉を背に聞いて、
今度こそ呆れられたかな、と寂しい気持ちを抱えていた。
トコトコトコトコ
トコトコトコトコ
トコトコトコ・・・
「ーーーなあ、先輩」
だが、何を思ったのかシエルは志貴に付いて来ていた。
黙ったまま、無言で志貴の後を付いてくるシエル。
このままではアルクェイドと鉢合わせてしまう、と流石に歩を止める志貴。
「それじゃ・・・俺、こっちだから」
「はい。遠野くんの好きにしてください」
・・・どうやら、こちらも好きにするつもりらしい。
行かないんですか?と問うシエルに背を向け、脱兎の如く走り出す志貴。
必死に走り、アルクェイドの待つ公園に駆け込む志貴だが、
身体能力に優れた彼女を引き離す事は出来なかった。
「な、なんで付いて来るんだよ先輩!」
「なんでも何も、遠野くんひとりじゃ不安じゃないですか」
きっぱりと言い切るシエル。
自分の方も、梃子でも動く様子は無い。
以前のアルクェイドとの衝突を思い出す。
二人を戦わせたくない、と今度は必死に帰ってくれと頼む志貴だが、
今度はシエルがそれを聞き入れようとはしない。
ーーーー朝、彼女を拒絶した事へのちょっとした仕返しなのか。
「遠野くん。わたしたち、いま絶交中なんです。けんかしてるんです。
わたしも拗ねてるみたいですから、生半可なコトじゃ素直になれません。」
そう、ちょっと意地悪な笑みを返したあと、真直ぐに―――感情のない瞳で、
「わたしの役割は吸血鬼を退治すること。
それ以外のことなんて、瑣末です。」
「ちょっと待てって、どうしてそんなにムキになってるんだよ、先輩!」
「ーーーわたし、ムキになんかなっていません。
貴方の方こそ、私と一緒に居ると彼女に誤解されるんじゃないですか」
「誤解ってーーー何を誤解されるっていうんだよ」
「貴方は彼女が好きなんでしょう?
なら、彼女の敵であるわたしと一緒に居るのは立場的にまずいと思いますけど」
そう言われて、ハッキリと違うと言えない志貴。
その志貴の態度に、まいっちゃいますね、と瞳にわずかに表情をもどして笑うシエル。
二人の足は、既に公園の待ち合わせの場所に届いている。
「けど、本当にここで別れたほうがいいですよ。
わたしたちは絶交中なんですし、こんなところをアルクェイドに見られたらーーー」
「ふうん。見られたらどうなるのかしらね、シエル」
「−−−−!」
背後から、聞きなれた声。
嬉しくない三角関係状態で、睨みあう二人。
ただ萎縮するばかりの遠野志貴。
お互いに牽制しあう言葉を続ける中、シエルが、何故彼に拘るのなら
下僕にしようとしないんですか、と魅了の魔眼で使役していない事を問う。
「ーーー出来の悪い冗談はやめて。志貴は私のパートナーよ。
そんなコトをしなくても、わたしの手助けをしてくれるって言ったもの」
そう言葉を返したアルクェイドから、一瞬殺気が抜け落ちる。
反面、シエルはそんなアルクェイドの態度に逆に殺気を膨らましはじめた。
「ーーーアルクェイド。貴方、まさか・・・
本当にーーー彼の血を欲しがってしまってるんですね」
かちゃり、と金属音が響く。
アルクェイドが人に興味を・・・好意を持つ事に対し、それを何故か
「血を欲している」という事に直結させ、シエルは己の武具を抜く。
「ちょっーーーーー先輩!?」
「遠野くんは下がっていてください。
たった今、彼女は吸血鬼と確認しました。たとえ教会に協力している真祖といえど、
血を吸うモノになったのなら、私たちの害敵です。
この場で、犠牲者を出す前に処理します。」
「ーーーー黙って聞いていれば言いたい放題言ってくれるわね、シエル。
いいわ、死にたいっていうんなら望み通り殺してあげる。
同じ人間を二回殺すなんて、滅多にないことだしね」
空気が張り詰め、周りの空気が冷たくなる。
待ってくれ、と志貴が叫んだ、次の瞬間には・・・・・・
もう、二人の剣戟は混ざり合い、火花を散らしていた。
二人の戦いは、常軌を逸した攻防が続いていた。
だが、それでも尚、アルクェイドの勢いは留まらない。
初め拮抗していた互いの戦力も、徐々に、しかし確実に、アルクェイドの方が上回る。
というか、アルクェイド元気じゃんっっっ!!!!
昨日、ケガがどうとか言ってた筈なのに全然元気じゃんっっっ!!!!
郭春成くらいなら2秒で屠れそうなくらい元気じゃんっっっ!!!!
これは確かに、志貴は屋敷で寝てて良かったと思う。
全然意味が無い。来た甲斐が無い。むしろ邪魔くさい。
だぁん、と地面の揺れる音とともに、勝敗は直ぐに決した。
地に伏し、呻き声を上げるのはシエルの方。
その倒れた地面に、じわり、と赤いしみが広がってゆく。
走りよるアルクェイド。
明らかな殺意を瞳に宿し、その首をかき切ろうとその爪を上げるーーーー
「ーーーやめろ、この大馬鹿ヤロウ・・・・・・!!」
「志貴!?・・・なんで、どうして志貴がそいつを庇うの・・・・・・!?」
ま、また寝返りおったーーーー!?
思わず、アルクェイドの前に飛び出す志貴。
その行動に、驚いた表情でその足を止めるアルクェイド。
だが、その表情も志貴がポケットのナイフを握った瞬間に、殺意を帯びる。
「退いて。今ならまだ許してあげる。
早く。そんなヤツを庇うのやめて、わたしにそのナイフを向けないで」
今のアルクェイドに対し、武器を向けることは「死」を意味する。
今のアルクェイドは高ぶった殺意のまま、今シエルを庇うのなら、
たとえ志貴でも殺す、と本気の瞳を向ける。全然元気じゃん。
「そうーーーー貴方はまたわたしにナイフを向けるんだ、志貴。」
一度目は許した、しかし二度目は許さない。
一度殺された時の怒りがぶり返したのか、アルクェイドは冷静な表情で言い放つ。
今の私から、死を読み取ることは出来ない。
今のアルクェイドは"夜"の住人。
以前、不意打ち出来た昼間とはまるで条件が違う。何故か元気に戻ってるし。
眼前が、真っ赤に染まるほどの悪寒と恐怖。
あのネロ・カオスと対峙した時すらも比にならないほどの絶望感。
アルクェイド・ブリュンスタッドを敵に回す。
そのコトに対し、志貴はただ睨まれた蛙の様に、硬直するしか、ないーーーー
あと一歩、でその首をかき切られる寸前、必死の泣き落としで情に訴えかける志貴。
ヽ(`Д´)ノこういう展開になったんだったら戦えよ!むしろ今までの優柔不断ぶりを詫びて、戦って死ね!
だが、寸でのところで、結局アルクェイドは志貴に手をかけず、
苦々しい表情のままで一歩後ずさる。
「そう。その女の肩を持つのなら、志貴なんか知らない。
せいぜい気を付ける事ね、志貴。志貴が庇ったその女は、
志貴が思っているようなまっとうな人間じゃないんだから」
「−−−−なにを・・・何を言ってるんだよ、おまえ」
「ふんだ、志貴なんかその女に騙されて血を吸われちゃえばいいんだ。
じゃあね!あとでわたしに泣きついてきても聞いてあげないんだから!」
その言葉を最後に、アルクェイドは振り返ること無いまま公園から姿を消した。
後に残されたのは、怯えた志貴と、傷付いたシエルのみ。
ーーーそして、妙な言葉。
先輩が、俺の血を吸うって・・・・・・?
「ーーーなにつまんないウソを、言ってるんだ」
それじゃあ、まるで
「ーーー先輩が、吸血鬼みたいじゃないか」
相変わらず火付きの悪い志貴は、アルクェイドの言葉もウソと笑い飛ばす。
それよりも、シエルの容態が気に掛かる。
地に伏した彼女は意識を失い、大きく血が染み出していたーーーーー
「・・・・・・・・・・・・え」
そこには、何事も無かったかのように、シエルの姿が。
血だまりも、今は影も形の残っていない。
「先輩ーーこれ、どうし、て」
「・・・遠野くん、どうしてわたしを庇ったんですか。
彼女が本気で遠野くんを殺そうとしてたって、判っていた筈なのに」
互いに、絡まない質問が交差する。
シエルは、庇われて生き延びたことを酷く不快に感じていた。
その言葉に、生きていなくては意味がないじゃないか、と怒鳴る志貴。
それに対し、幸せな人、私には決して口に出来ません、と生きるという執着にすら不快げなシエル。

かつて、茶道部の部室で彼女は言った。
「わたし、あんまり自分に関心はありませんから。
ーーーきっと、自分のことなんて好きじゃないんです、わたし」
その言葉が、今まで繋がらなかった法衣姿の彼女と、学生姿の彼女とを重ねる。
彼女は、本当に、自分の事を、自分の命を・・・・・・疎んじているのか。
「・・・遠野くん、さっき彼女が言っていた事は本当です」
――――私は、もう人間とは呼べない。
――――いいんです。わたし、化け物なんです。
その言葉に戸惑う志貴に、それを実証してみせると彼女は自らの剣を首筋に当てーーーー
鮮血。
首筋から吹き上がる朱色。
朱に染まる視界。
目の前の光景が、ただ、信じられない。
朱色に染まる眼前の光景に、志貴は頭の奥で、何故だか、美しいと感じていた。
ーーーーそれも、程なく。
今度は、テープが巻き戻るように、彼女の鮮血は収まり。
癒えた傷口に、血液が潮をひく様に収まってゆく。
「・・・はい、このとおりです。出来ることなら、
遠野くんには知られたくなかったですけど」
寂しげに笑うシエルに、もう志貴は何の言葉もかけることが出来ないまま。
朝、二人はお互いの事を思いながら、気にかけながら衝突した。
吸血鬼と関わって欲しくないというシエル。
この街を、身近な人たちを、先輩を守ってあげたいという志貴。
穏やかな日常。それはとても楽しかった。
守ってあげたいという言葉が嬉しかった。
そう、笑顔で、告げた後。
「さよなら」
シエルの姿は、志貴の前から幻のように掻き消えた。
もう会えないというショックと、頭を再び蝕みだした頭痛に苛まれながら、
志貴は屋敷へと戻ってくる。
後には、ひどく疲労感を残しながら。
「ふんだ、志貴なんかその女に騙されて血を吸われちゃえばいいんだ。」
「さよなら」
何も考えられないまま、志貴は自室のベットに倒れこんだ・・・・・・

いやぁ〜・・・しかし今回は手間が掛かったわネェ・・・・・・
何時もの倍は時間掛かりましたね。
とりあえずアルクェイドさんもシエルさんも説明が長すぎですね。
読んでるだけでも一苦労なんですけど。それにしても、この引きで次回ですか・・・
うふふ、ハラハラしませんか?二人はどうなってしまうのか!?ってカンジですよね!
続きが気になってしょうがないですよね、この展開って!

別に。

全然。
それよりもセカンドチルドレン育成日誌のアスカの不自然な心変わりと
ホントに墓標さんでピンキーが売れているのかの方が気になります。

・・・・・・確かに、ちょっと気になるかも。
ピンキー自体は興味ないですけど、あの墓標さんで売れているのかは・・・・・・

わたしのピンキーとかは無いんですか?
月姫のピンキーは有るかもしれませんが、翡翠(仮)のピンキーは無いでしょう。
有っても怖いだけですし・・・・・・
怖くないです!可愛いですよ!今回イチオシの
私が手を胸元に構えて上目遣いのポーズとか!

・・・これ見よがしに1個増えた顔アイコンを押し出すわね、翡翠ちゃん・・・・・・

プレイ記中のゲームでも、そこそこ出番があるもので。姉さんと違って

やかましいぃーーーーっ!!!
何気に気にしてるこというんじゃないわよっ!!!
なんで前半の私の出番って、こうも少ないのよっ!!!

痛い痛い!メイドキャップ引っ張らないで下さい!!

己の無力さを思い知らせてやるわ!!

はあ、やれやれ。又来月、又来月・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・つ、続き・・・気になりますよね・・・・・・?ね・・・・・・?
2005/07/05 第29回
絵師様 「え、があったりなかったり」 由さん
どうせ看板娘にするならセクシーな方が良かったなァと思う今日この頃、
皆様いかがお過ごしでしょうか?
毎度御馴染み、流浪の月イチコンテンツ「月姫プレイ記」のお時間です。

その月イチ更新すら、遂に守れていないじゃないですか・・・
まぁ、日々の生活有っての健全サイト運営ですからね。
そのサイト運営の中でもイマイチ更新意欲の薄いコンテンツですから・・・・・・
パチアマ日記更新してない期間はホントに忙しいんだと思ってもらって間違い有りませんね。
月姫キャラで成り立ってるサイトなのに更新意欲が薄いってどうなんですか!
もっと、ちゃんとやる気出してください!
なんていうんですかね、もうちょっとこう、由さんのリオ嬢みたいな
セクシーな相手だったらやる気も出るんでしょうが・・・
なんていうか、こう、出るとこは出て、締まるところは、こう・・・・・・

い、いきなりセクハラ発言だわ!!
サイテー!女性をスタイルだけで判断するなんてサイテー!

無いほうが良いって人だって居ます!!

そこは力説するポイントと違う!!
わ、わたしはこちらの貧乳姉妹と違います!
ちゃんとそれなりに出るところは出てますから!
いや、あの変態主人公にお墨付きをされてもねぇ・・・

フン、言うほどたいして発育して無いわよ。眼鏡だし。

ヌーブラ重ねあてとかで誤魔化してるんですよきっと。眼鏡だし。
眼鏡関係ないですっ!!!
8/(死)。
8day / october 28 (Thur.)
―――――回想。
木々の隙間から照りつける日差しと、遠い大きな入道雲。
鳴り響く、蝉の声。
―――――うるさくて、死にたくなる。
広場には、蝉の抜け殻。
刺す様な日差し。焼けるような熱気。
・・・・・・蝉の声に重なるような、泣き声。
―――いつかの回想が、更に鮮明に、志貴の脳裏を焦がしてゆく。
えーん えんえん
えーん えんえん
えーん えんえん
秋葉が泣いている
おとなしくて、いつも僕の後についてきていた秋葉が、ぽろぽろと泣いている。
秋葉の足元には、子供が一人倒れている。
血にまみれた、殺されてしまった、自分と同い年ぐらいの子供の死体がある
蝉の、ぬけがら
この両手は
倒れている子供の血で、赤いのかーーーー
かさなる

まざる

景色が

世界が―――――――――
日の当たらぬ草原。
月光だけを頼りにして咲き誇る、白い白い大輪の花。
言葉さえ知らず。
自己の意義も解せず。
ただ、殺戮の手段としてしか扱われぬ。
鮮血にまみれた白い女は、決して傷などついていない。
ドレスを濡らす朱は、ただ敵の血のみで赤いのだ。
彼女に許された時間は、敵を討ち、ドレスを朱に染めて戻った後、
再び長く眠る前の、僅かな数刻だけ。
遠い目で、月を眺める、僅かな時間だけが、彼女に許された刻―――――
なぜだろうか。草原に立ちすくむ彼女のその姿に、
―――――――そこに、永遠を見た、と思った。
目覚め。
アルクェイドと、シエルと別れた夜から、何時の間にか自分の部屋に戻ってきた志貴。
「ふんだ、志貴なんかその女に騙されて血を吸われちゃえばいいんだ。」
「さよなら」
「―――シエル、先輩―――」
今は、シエルの告白の方が志貴の心を大きく締め上げていた。
首を切る鮮血が、自然と治癒してゆく姿。
自らを人とは呼べない、化け物と称して、自らの首筋に刃を立てたその姿。
「さよなら」
寂しげな笑顔の後告げられた、最後の言葉。
なぜ、あの時笑って受け流せなかったのだろうか。
・・・せめて、アルクェイドの時の様に。
「うわぁ、本当にいいの!?わたし、本当に吸血鬼なんだよ!?」
アルクェイドの時は、吸血鬼である彼女の事を受け入れられた。
彼女が吸血鬼で有る事を知りつつも、彼女に惹かれていった。
ならば、どうしてシエル先輩を受け入れられなかったのか・・・・・・
そこで、気が付く。
彼女が、シエル"先輩"だから、受け入れる事に躊躇した事を。
彼女と、"先輩"と過ごした日々が大切なものだったから、
彼女にはシエル"先輩"のままでいてほしかったのだと。
だが、彼女が再び制服姿で、穏やかな微笑みで学校に訪れる事は、もう二度とない。
「・・・・・・どうすればいいんだろな、俺」
ぼんやりと時計を見上げると、時刻は既に朝の八時。
いつも定刻に起こしに訪れる翡翠の姿は、今日は無い。
学校は創立記念日で、休校。
吸血鬼退治も、アルクェイドとは喧嘩別れ、シエルとは絶縁・・・・・・
何も出来ない状況の中、シエルに会いたいという気持ちが高まる。
シエルの住むアパートを訪ねてみようかとストーカー的な考えに至り、
ひとまず朝食を取ってから行動を起こす事に。
起き抜けに、ずきり、とこめかみが痛んだ。
ロビーでは、翡翠が何か作業を行っていた。
見慣れない椅子をロビーに運ぶ翡翠に声を掛ける。
朝食の準備は出来ているか、と問い掛けると秋葉も琥珀も出払っているが
朝食は既に用意してある、との事だった。
翡翠に朝食を食べてくる、と伝えて食堂に歩を進める志貴。
翡翠は丁寧な会釈の後、再び椅子をロビーに設置する作業に戻った。
ひとりきりの朝食を終えて、ロビーに戻る志貴。
そこに翡翠の姿はもう見かけない。
シエル先輩のアパートに行く前に、着替えた方がいいだろうと
ぼんやり考えながらロビーを歩いていた、その時
「――――痛っ」
先程、翡翠が設置していた椅子に爪先をぶつける。
「・・・・・・まいったな。
こんなのにぶつかるほど参ってるってことか」
はぁ、と溜息をつく。
瞬間、ずきりと頭が痛んだと思った瞬間

―――けど、翡翠も翡翠だ。
こんなところに椅子を置いても仕方が無いだろう。
そもそも通り道に椅子を置くなんて、何を考えているんだか
ずくり、と爪先が痛む。
こんなところに椅子がなければ、しなくてよかった痛み。

――――――ケチが、ついた
俺はこれから先輩に会いにいくっていうのに、
どうしていきなり邪魔をするんだ
この椅子―――すごく、邪魔だ
どうしてこんなものがここにあるんだ。
なければいいのに。
なければ俺がつまづくなんて事もなかったのに。
怒りに任せて椅子を蹴り上げて、また痛めるという
酔っ払いみたいな真似をする遠野志貴。
―――なんて、邪魔なヤツ
「志貴さま・・・・・・!?」
「―――あれ、翡翠。
どうしたんだいきなりそんなところに、いて」
主人にガンをたれる翡翠に声を掛けて、ふと気付く。
・・・自分の呼吸が、乱れている。
ぜいぜいと、激しい運動をこなした後のような乱れ方。
さっきまで、普通にロビーに立っていただけなのに・・・・・・・・・?
「あれ・・・・・・なんでこんな、息があがってるんだろう、俺」
「志貴さまーーー何をいってらっしゃるのですか?」
「え、なにってーーー翡翠こそどうしたんだよ、
そんな不安そうな顔して。何かあったのか?」
「・・・・・・志貴さま、ご自分が何をなさっていたのか、
わかっていらっしゃらなかったのですか・・・・・・?」
「なにをしてるかって、俺は別に何も―――」
言い終える前に、ずきり、とこめかみに頭痛が走る。
思わず呻き、かぶりを振るったその瞬間、
床に、木っ端微塵になった椅子の残骸が目に映った。
「ーーーこれーーー俺、が?」

「ーーーはい。志貴さまが椅子を持って、床に何度も叩きつけた結果です。」



またも器物破損

「志貴さま、なにかご気分が優れないのですか?
体調が悪いのでしたら、お医者様をお呼びいたしますが」
なぜ、こんな事をしてしまったのかと、怯えるように考える志貴に
翡翠の心配げな言葉が掛かる。
それが尚更志貴を追い詰めるのか、志貴はほっといてくれと叫んで
逃げるように階段を駆け上がっていった。
後に残されたのは、折角用意した椅子を叩き壊された上に
その椅子の片付け、はては椅子を壊した事の説教までうけるであろう
酷いとばっちりを受けた翡翠の姿が有るのみだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
自分の部屋に逃げ込んで、ベットの中でうずくまる志貴。
先程の光景に、自分自身が判らなくなる。
どうして、自分はあんな直情的な行為を行ってしまったのだろう。
ちょっと頭にきたから、モノを壊すなんて・・・・・・
ずくり、ずくり、と頭が痛む。
今日はなんだか痛みが激しい。
さっき、訳も無く凶暴な気持ちになってしまったのは、この痛みのせいなのかもしれない。
連日の事件で、『死』を視すぎて、頭がどうかしてしまったのか。
―――――色々と考えるが、全ては仮定の域を超えない。
結局のところ、自分自身でも、その衝動の元がつかめないまま。
「・・・・・・なにやってるんだろ、俺・・・・・・
すぐに、先輩のところに、行かないと・・・・・・いけないのに・・・・・・」
何時の間にか行かないといけないと勝手に思い込み始めながら、
志貴はとにかく落ち着こうとベットの中でうずくまる。
静かな自室に、徐々に気持ちが落ち着いてゆく。
屋敷はとても静かで、部屋には壁掛け時計の秒針の音が聞こえるのみ。
チッ、チッ、チッ、チッ。
チッ、チッ、チッ、チッ。
チッ、チッ、チッ、チッ。
チッ、チッ、チッ、チッ――――がしゃん
「―――静かになった」
これで先輩に会いに行ける、と、気持ちが落ち着いた"ような"気分になる。
こうしてまた翡翠の仕事が増えた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
頭痛もほどなく止み、屋敷の外に出る志貴。
外は快晴。なんだか、すこし元気を取り戻した気がしてくる。
そのままシエル先輩のアパートに行こうと門に足を運ぼうとした、その時。
がさり、と庭の方から物音がした。
自分でぶっ壊しておきながら全然手伝おうともせず
片付けする翡翠を横目に屋敷を出てきた遠野志貴。普通に最悪だコイツ。
相変わらず、彼に感情移入するのは難しい。
物音に興味を引かれ、庭に足を運ぶ。
考えてみたら、この広い屋敷に訪れて、あまり屋敷を巡っていない。
(・・・そういえば、子供のころはよくここで秋葉たちと遊んだものだ)
幼少の頃住んでいたはずの屋敷、すこし足を伸ばすと
子供の頃の情景が脳裏に浮かぶ。
がさり、とまた物音が聞こえる。
さらに、庭の奥の方に・・・・・・・・・
「あれ、翡翠・・・・・・?」
一瞬だが、翡翠が林の方に向かおうとしているのが見えた。
こちらには気が付いていない。
そのまま、更に林の奥深く・・・・・・うっそうとした、森といっても差し支えない
木々深くへと足を運んでゆく。
そんな翡翠にストーカー気質興味を引かれて、志貴もそのまま後についてゆく。
木々を掻き分けて進んでゆくと、唐突に広場のようなものが見えた。
こんなところに、広場なんかあっただろうか・・・・・・?
庭の光景は直ぐに思い浮かんだのに、この広場の事はあいまいな感じ。
木々に隠され、普通に足を運んだのでは見つかりそうに無い、
樹木に囲まれた小さな広場。
「・・・・・・あんな広場、あったかな・・・・・・
あったなら、かっこうの遊び場になってたはずなんだけど・・・・・・」
その広場で、秋葉と遊んだ記憶は、志貴にはない。
――――――ない、ような、気が、する。
広場に足を踏み入れる。
先に足を踏み入れたはずの翡翠の姿はなぜかなく、
広場にも特別なにかある様子も見えない。
ただの空き地だったのか、と広場の中心に足を運ぶ志貴。
ぼんやりとその中央に足を置いたその時。

蝉の声
夏の陽射し。
「え・・・・・・・・・?」
夏の、陽射し―――――?
今は、秋だというのに・・・・・・・
ずきり、と、胸が痛みだす。
胸の古傷。
八年前に交通事故で負った、胸の古傷。
――――交通事故?


「いーーーー痛ぅ・・・・・・・・・・・・」
胸の傷が痛みだす。
まるで/ざくりと。
包丁で胸を刺された/ような/この痛み。
みーん みんみん
みーん みんみん
みーん みんみん
――――――――どこかで、蝉の声がしてくる。
今はもう、秋なのに
白く溶けてしまいそうな、夏の陽射し。

遠くの空には、入道雲。
見えるのは、空蝉のこえ。
足元には、蝉のぬけがら。
ぬけがら。
だれかの、ぬけがら
「――――・・・・・・・・・」
―――ああ、癇に障る。
せっかく気持ちが落ち着いてきたのに、
また何もかもうざったくなってきた。
俺は先輩に会いにいかないと。
会って、吸血鬼でも構わないんだと言ってあげないと。
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・けど、ホントはどうなんだろう。

遠野志貴は本当に、シエル先輩が吸血鬼でも、
今までどおりに笑いあえることができるっていうんだろうか―――
・・・・・・・・・・うずくまる誰かの影法師。
近寄ってくる、幼い少女の足音。
遠くの空には入道雲。
空蝉の青い空。
気がつけば
そこには、
胸を貫かれて殺されている俺の体と。
俺の死体を呆然と見下ろす、
やっぱり俺自身の姿があった。
「あーーーーぐ」
胸の痛みに、吐き気を覚える。
当の昔に塞がっている筈の傷跡が、焼けるように痛む。
視界に朱色が混じり、壊れた胸から赤い染みが流れ出す光景が眼に浮かぶ。
昔の傷は、ぜんぜん癒えてなんかいない。
イタイ
コワイ
眩暈が、する。
コレガ、
死トイウ衝動カ。
最後に、どさり、という自分が倒れこむ音を耳にして。
志貴の意識は、深い闇へと沈み込んでいった。
・・・・・・話し声に、目を覚ます。
「秋葉さま、お医者様をお呼びしないのですか?」
「馬鹿なことを言わないで翡翠。
呼べる訳ないでしょう、兄さんの傷は普通の傷じゃないんだから・・・・・・!」
ヒステリックに響く秋葉の叱咤、それを押し黙ったまま受ける翡翠。
何時の間にか、志貴の自室に運び込まれていたらしい。
ベッドの上の志貴にもう胸の痛みは残っていないが、
体は鉛のように動こうとしない。
「一体どういうつもりなの翡翠。志貴をあそこに近づけてはいけないって、
あなたも知っているでしょうに・・・・・・!」
「もうしわけ・・・・・・ありません」
「謝って済む問題じゃないわ。
あなたを兄さん付きの使用人にしたのは、こういう事態を避けさせるためでしょう?
それを忘れて、あなたは何をやっていたっていうのよ・・・・・・!」
「はぁ、どこぞのバカがぶっ壊した椅子を一人で片付けてました」
って本当は言いたかっただろうけど実際の翡翠は押し黙ったまま。
今日の翡翠は朝から晩まで(どこぞのバカのおかげで)ツイてない。
ゲームをやっていて、初めて翡翠というキャラに同情を禁じえないシーンである。
当の本人はこんなことをぬかしている。普通に最悪だコイツ。
「答えなさい翡翠。
あなたは、今日一日何処で何をしていたっていうの?」
「いや、だから、どこぞのバカがぶっ壊した椅子を一人で片付けてたり
どこぞのバカがぶっ壊した時計を一人で片付けたり、ちょっと庭に出て行ったら
どこぞのバカが広場で勝手にぶっ倒れたりしたのを部屋に運んだりとさんざんな一日でした。」
って本当は言いたかっただろうけど実際の翡翠は押し黙ったまま。
使用人って大変だなぁ!
事実とはいえ主人の悪口を言う訳にもいかず、押し黙る翡翠。
重苦しくなる雰囲気。
きゅっと唇を噛み締めて、秋葉が翡翠に一歩近寄る。
手が、あがろうとしているのは容易に察知できた。
翡翠も、それを黙って受け入れようとしている。
「―――ちょっと待て、秋葉」
「兄さん―――気が付いたんですか!?」
「ああ、秋葉があんまりにうるさいんで、今目が覚めた」
「あ・・・・・・・・・・・・・」
嫌味一閃、妹を押し黙らせる志貴。
「あのさ、あんまり翡翠にあたるなよ。
事情はしらないけど、ようするに俺が倒れたことでもめてるんだろ?
なら翡翠に責任なんかないよ。こんなの俺が勝手に倒れただけなんだから」
自分が原因で迷惑かけどおしなのに、何故か偉そうに秋葉を諭す志貴。
それに対し、ばつが悪そうに視線をそらす秋葉。
先程の剣幕が嘘のように、秋葉のほうもただ神妙に志貴の言葉を聞いている。
「まったく、おまえも俺のコトなんかでケンカなんかするな。
大人びたように見えて、まだ子供なんだな」
「でも・・・・・・兄さんはあれからずっと気を失っていたんですよ?
十時間以上も昏睡しているなんて、今までなかったはずです。
もしーーー兄さんがあのまま目が覚めなかったら、私はどうすればいいんですか・・・・・・!」
心底心配げに、秋葉は志貴にそう返事を返す。
気が付けば、すでに夜の十時を回っている。
―――結局、今日はシエル先輩のアパートに行くことができなかった。
そのことに、どっと体の力が抜けおちる志貴。
半日近く倒れるのは、小学校以来・・・・・・昔は頻繁に倒れていた。
屋敷を追い出され、養子先の有馬家にまだ馴れなかった日々。
「・・・・・・そうですね。ここに帰ってきてまだ一週間です。
兄さん、色々と疲れがたまっているんですよ」
「むしろこの一週間で疲れが溜まっているのはわたしの方です」
って本当は(re
結局、今日一日は何もかも忘れて、休んでほしいと懇願する秋葉。
その言葉に、今日一日の出来事を思い出し、それもそのとおりだと考える志貴。
先輩のことも、吸血鬼のことも、悩みすぎては本当に参ってしまう。
あげくに、椅子にヤツ当りするなんて、どうかしてる。

「・・・・・・そうだね。秋葉のいうとおり、今日は大人しく眠ることにするよ」
「ほんとう・・・・・・?
あとになって部屋を抜け出したりするのもナシですよ?」
「なんだよそれ。俺、そんなに信用ないのかな」
「ある訳ないでしょう」
って本当は横から言いたかっただろうけど(re
昨日の秋葉の説教だってすっぽかしてるのを忘れている。
病気にかこつけてうやむやにしているが、信用どころが
約束破りの常習犯だ。
「・・・・・・翡翠、琥珀に兄さんが目を覚ました事を伝えにいって。
兄さん、夕食はどうしますか?」
「・・・・・・そっか。いや、琥珀さんには悪いけど、食べられそうに無い。
今夜はこのまま眠ることにするよ。」
そう秋葉に告げると、それを琥珀に伝える為に、翡翠が先に部屋を出る。
まだ心配そうな秋葉をよそに、早速眠りにつこうとする志貴だが、
ふと、その前に――――
「秋葉。うちの庭に、あんな場所あったっけ?」

「ええ。私たちが子供の頃、よく遊んだ場所です」
「そっか。なんだか、よく覚えてないな。
それともうひとつ。・・・変なこと聞くんだけど、子供の頃さ、
俺と秋葉と―――もう一人ぐらい、子供がいたとかいう話はしらないか?」

「は?」
秋葉は見当つかなそうに、首を傾げる。

・・・・・・そうだよな。あんなのは、ただのユメだ。
あの広場で、子供の頃の自分が、自分とそっくりの誰かに殺されているなんて、どうかしてる。
それなら、ここにいる俺はなんだっていうんだ。
「いや、なんでもない。ただのユメの話しだ。」

「そうですか。ではおやすみなさい、兄さん。
今日はゆっくり休んでください。」
「ああ、そうする」
そう秋葉に告げたあとは。
闇に沈み込むように、一気に眠りの中に落ちていった。
以上。翡翠のさんざんな一日編でした。

酷い話ですね。いや、ホントに・・・・・・
ひ、一月以上も待たされたのに、出番一切無しだなんて・・・・・・!
わ、わたし今回はメインヒロインのはずなのに・・・・・・!
なんというか、話が進めば進むほど、この主人公と相容れない気がしてくるんだけど。
この後わたし、この女の敵とどう絡んでいくのかしら?

それにしても、今回は情緒不安定がすさまじい話しでしたね。
恐らく、遠野志貴の中に居る何かが目覚めていくシーンなんでしょうが
ホラーというより全般的に頭が悪い印象しか受けないんですが・・・
今更、椅子とかにあたりちらされても、ねぇ・・・・・・

なんというか、元の性格がストーカー気質という時点で、
ちょっと凶暴な本質が混じっていてもどっちも破綻してるからあまり違和感ないというか・・・
どっちにしても迷惑な人なのは変わりません。
っていうかあなた、軽くマジ切れしてない??
まぁ、今日はさんざんでしたから・・・。
志貴さまが広場で倒れてるのをみかけたとき、ちょっとだけ頭にきて
顔面をふんずけちゃいましたから、少しは気が晴れましたけど。

まぁちょっと力が入りすぎちゃって、
半日も昏睡しちゃいましたけどね!テヘ!
ああ、それで。成る程、納得の理由ですね。

それでこそ私の妹よ!
ついでに鼻とかへし折っちゃえばよかったのに!
貴女たち、ホントに月姫のヒロインなんですか!?
(注)今回のプレイ記に翡翠ではなく翡翠(仮)の発言が微妙に混ざっていることをお詫び致します。
もちろん半日昏倒したのも翡翠が駄目押しィイイイッッ!したからじゃないからね!
・・・・・・たぶん!
2005/07/31 第30回

原作の遠野志貴氏
最近、遠野志貴氏に対する擁護の声が増えておりますこのサイト。
毎度御馴染み、流浪の月イチコンテンツ「月姫プレイ記」のお時間です。

意外と支持されてるんですね、あの変た・・・もとい志貴さま。

まぁ、一応主人公だからねぇ。
ちょっと、何ですか一応とか変態とか!
そりゃちょっとアブノーマルかもしれませんけど、遠野くんだって
主人公なんですから、もうちょっと良い扱いをしないと駄目でしょう!!
まぁ、そう言われましてもねぇ・・・・・・
私、ゲームにおいては主人公やキャラクターに感情移入するクチなんですが、
どうにも彼には感情移入出来かねる部分が有りまして・・・・・・
ToHeart2プレイ記の「河野貴明」さんは結構感情移入してましたよね。
なぜか顔はカイジでしたけど。

同時進行でしたので、自然と志貴さまと貴明さんを比べてしまいましたが
同じお人好しでも、好感度がまるで違うカンジは有りましたね。
河野貴明氏は、結構好きな主人公でしたよ。ええ。
遠野志貴氏も、あの発言がなければここまで貶められることはなかったんでしょうが・・・
半死半生状態でこの発言。それこそそんな暇有るのかお前は
・・・私がロアと決着を付けに向かった後、こんな発言してたの、この男?
私のこと愛してるって言った直後なのに、・・・・・・最悪ねコイツ
アルクェイド編のあのシーンにおいてどれだけ頭を捻っても
私の中ではあのシーンであの発言は出てきませんでした。
あそこで断られたらどうするつもりだったんでしょうね、彼・・・・・・

そもそもお人好しがこんな発言しますか?

この後の眼鏡の発言が、また萎えるんですよね。
それは提案じゃねぇだろ、提案じゃ!ヽ(`Д´)ノ
下品。

破廉恥。
何ちょっとやる気見せてんのよ。
そ、そんなこと言われたってあのシーンでこの下衆野郎がっ!!って
正拳喰らわす訳にもいかないじゃないですかぁ!!
9/空蝉
9day / october 29 (Fri.)
―――――暗いところに、いた。
目が覚めてから、八年間。
ずっと、暗いところで息を潜めていた。
なんのためにかは、オレにもわからない。
そんなものは、とっくに磨耗してしまった。
ココにあるのは、只の闇だ。
それでも、オレは何かを成さなければならないらしい。
なんのためにいるのかは、わからない。
だがオレの目的ははっきりしている。
オレを縛めていたモノは全て消えた。
阻むものは、何も無い。
あとは。
―――――オマエを、殺しにいくだけだ。
―――――目覚め。
窓から、小鳥の囀りが聞こえて、目が覚める。
頬に当たる冷たい風に、窓が開いていたことを感じ取る志貴。
昨夜は、結局秋葉の看病を受けたまま一晩を過ごした。
先輩と再び会うことも、アルクェイドとも再び会うことも無く過ごした一日。
まだ体の節々に重さを感じるが、少しは体調も回復しているだろうか―――。
「う・・・・・・・・・」
立ち上がろうとして、吐き気。
貧血はまだ続いている。一晩程度では、体調が良くなることも無かった。
その時、翡翠が失礼します、と一礼をして部屋に入ってくる。
普段通りに眠る志貴を起こしに来たのだろうが、珍しく志貴が一人で起きていたので
僅かに驚いた表情を浮かべた。
ちなみに、今までは翡翠が起こしに来たら、志貴はブツブツ独り言を呟いているか
変態極まりない寝言を呟いているかそもそもベッドから居なくなっているかだった。
(珍しく普通に)お目覚めになられていたんですね、と声を掛けたくなる翡翠の気持ちは良く判る。
「おはよう。朝食だろ、すぐに行くから出ていってくれ。
着替えるんだ、これから」

「・・・・・・はい、失礼しました。」
多少は今までの自分の行為を後ろめたく思っていた様だが、ここで志貴が取った行為は逆ギレ。
半ば当てつけ気味に翡翠を追い出した後、気分が悪いからって
翡翠にあたるなんて、どうかしてると自分自身の態度に辟易する志貴。
もっとも翡翠は普段から結構カンに触る口調が目立つのでコレについてはお互い様だ。
優れないままの体調に、学校を休むことも考える志貴。
だが、学校に行けば、もしかしたら―――――先輩が、居るかもしれない。
自分自身、有り得ないとは思いつつも、どうしても未練が断ち切れない。
結局志貴は、シエル先輩に会いたい一心で、重い体を引き起こした。
頭痛は―――――止まない。
食事に向かったロビーには、秋葉の姿。
「あ、兄さん。・・・・・・おはよう、ございます。」
恥かしそうに視線を逸らし、うわずった声で挨拶をしてくる秋葉。
昨夜は、志貴の前で自分の感情をさらけてしまったせいか、珍しくしおらしい。
だが、志貴の表情を見て、すぐに表情を曇らせる。
まだ休んだ方か良いのではないかと心配げに言う秋葉。
見ただけで、直ぐに判るほど表情が優れないということか。
「いや、大丈夫だ。そのうちに治るから、
秋葉に心配してもらう必要はない」
―――――心配げな秋葉にそっけなく返答し、その前を通り過ぎる志貴。
秋葉の心配げな表情は、なぜか気にも留められず、
「じゃあな。おまえ、そろそろ時間だろ」
「・・・・・・はい。それではお先に失礼します」
何か言いたげな秋葉の表情も、志貴の興味を引くことはない。
相変わらず、頭痛は―――――止まない。
朝食担当の琥珀は出番すら与えられぬまま、登校する志貴。
校門に辿り着いた時刻は、ちょうど登校する生徒達で賑わう時間。
校門の入り口で、ふと迷う。
来るとは思えない。思えないが・・・・・・
もしも、先輩が登校してくるとしたら、教室で待っているよりは、
ここで待ち伏せた方がいいだろうか。
1.ここで待ってみる。
2.教室に行ってみる。
3.裏庭に行ってみる。
少し考えた後、裏庭に足を運ぶ事にする。
人で溢れる校門や、教室で会えるとは思えない。
ましてや、先輩は俺の事を避けているだろう。もし学校に訪れたとしても
ここで待ち受けていては、志貴の姿を見て引き返してしまうのは想像に易い。
「・・・・・・来るとしたら、裏門か」
そう思い立って、校舎裏で先輩を待ち続ける志貴。
正門とは裏腹に、登校してくる生徒の人影すら無い裏門。
―――ホームルームの予鈴が鳴るまで、先輩を待ち続ける。
―――先輩は、訪れない。
結局シエルと出会う事の無いまま、教室に辿り着く志貴。
粘着気質の志貴がホームルーム前にあっさりと教室に足を運んだのは、
やはりどこかで"先輩とは会えない"という諦めが有るからか・・・・・・
教室の自分の席に辿り着くと、すぐさま有彦が近づいてくる。

「おう、おはようさん。今朝はまた、随分と顔色が悪いね」
「・・・・・・まったく。どいつもこいつも人の顔を見ればそれか。
そんなに顔色悪いか、俺」
「え―――?・・・・・・そうだな、言われてみれば普通だよな。
なんでかね、遠野がすっごく落ち込んで見えるせいかね」
「・・・・・・・・・落ち込んでる、か。」
此処に至り、完全にアルクェイドよりシエルの方に気持ちが傾いている志貴。
あれだけご執心だったアルクェイドの事はもはや微塵も思い出す事無く、
この数日はただ、シエルからの「さよなら」だけが気持ちに大きく圧し掛かる。
そんな喪失感から、殆どあてにしないまま、ぽつりと言葉を紡ぐ志貴。
「―――有彦、おまえ、今日は先輩見た?」

「あ?先輩って、どこのだれ先輩だよ?」
「どこのって・・・・・・俺とおまえの共通の先輩っていえば、
シエル先輩以外いないだろ」

「だれそれ、しえるって。ウチの学校に留学生なんかいたっけ?」
―――――真顔で首を傾げる有彦の態度に、愕然とした。
そして、直ぐにそれを察する。
シエル"先輩"は、本当に消えてしまったんだと。


「さよなら」
―――授業中、ぼんやりと青空を眺めながら、シエル先輩の事を考える志貴。
志貴の中に僅かな思い出を残して、シエル"先輩"は、それ以外の痕跡を一切残さず消えてしまった。
有彦も覚えていないと云う事は、きっともう、学校で志貴以外にシエル"先輩"を知るものは居ない。
それはもうきっと、シエル先輩は学校には訪れないという事。
そして、シエル先輩にはもう二度と会えないという事。
打ち込むように、黒板に文字をなぞるチョークの音だけを耳にしながら、
シエル先輩を失った事だけが、ただ心を重くする。
ぼんやりと過ごしているうちに、気が付けばもう昼休み。
激減した教室の人影に、志貴はのろのろと惰性の様に食堂へと向かう。
既にラッシュの時間を過ぎた食堂。
空いた席を求めて、ぐるりと食堂を見渡した時・・・・・・
ふと、食堂に、シエル先輩に似た生徒を見かけた。
「――――は」
思わず失笑を零す。
もう先輩の事は失ってしまったというのに、ちょっと先輩に似た人が居ただけで
視線をその人から外すことすらできやしない。
カレーうどんをすする、先輩似のだれか。
カレーだなんて。食べてるものまで、そっくりだなんて――――
「―――――あ」
っていうか、シエル先輩本人だった。
「――――先輩っ!」
大慌てでシエルの元に駆け寄る志貴。
まさか、学校に来ていただなんて・・・・・・!
声を掛けてきた志貴にチラリと視線を向けてくるシエル。
だが、次の瞬間にはぷい、と顔を背けてしまう。
学校には来たものの、避けているのは変わらないらしい。
「先輩、どうしてこんなトコにいるんだよ・・・・・・!」
「・・・なんでって、わたしはここの生徒です。
お昼になったらごはんを食べないとダウンしちゃうじゃないですか」
さも当たり前の様に言い放ちながら、また顔をツンと背けるシエル。
あからさまな"わたし、怒ってるんです"という態度だが、
そんな事より、なぜシエルがココに居るのかが判らない。
「俺は、先輩がここに居るのが不思議で。
だって一昨日、先輩がさよならって言ったから、もう会えないって―――――」
「はい。だって一昨日はもう時間が遅かったでしょ。
学生さんは家に帰らないといけないです」
しれっとそんな言葉を返すシエルに、思わず絶句する志貴。
自らの首を薙ぎ、その能力を晒し、自らを化け物と称し・・・・・・
寂しげな笑みで交わしたあのさよならが・・・・・・そんな軽い意味だったというのか?
「―――――それとも遠野くん。
わたしみたいなのが学校にいちゃいけませんか」
す、と無感情な眼差しで志貴を見つめるシエル。
・・・・・・わたしみたいなの。
シエル自身が、志貴に晒した超回復の能力。
「ふんだ、志貴なんかその女に騙されて血を吸われちゃえばいいんだ。」
アルクェイドは、シエルの事を吸血鬼のように、そう言った。
彼女が吸血鬼であるのかどうかは、それだけでは判らない。
・・・ただ、人間離れした能力を持っている、という事は動かしがたい事実だ。
・・・・・・わたしみたいなの。
シエル本人も、恐らくは知っている。
それは十分に、日常に彼女が居る事を拒む理由に成り得ると。
―――――けど。
たとえ先輩がどうであれ、どんな力を持っていたって関係ない。
シエル先輩という、大切な人。・・・大事な人。
その価値は、まるで翳ること無い。
「・・・・・・先輩、俺は―――」
全然、といえば嘘になるが、本当に、そんな事は気になってはいない。
先輩がたとえアルクェイドと同じでも、先輩は先輩だ。
それは絶対に信じられる―――――
・・・・・・あれ???アナタあんなにアルクェイドを庇っていたのに
急に吸血鬼なんかダメよ理論が台頭しはじめていませんか?
ここでアルクェイドさんと比較するという行為が
相当ヒドイと思ったのは某だけでしょうか?
だが、その事を口にする前に、シエルは寂しげに笑って、言葉を返す。

「いいです。遠野くんに嫌われても仕方ないんですから、もう気にしません。
・・・それにこれは私の日常ですから。遠野くんがなんて言おうが
好きにやるって決めたんです」
「・・・・・・・・・は」
文句無いですよね、と目で訴えるシエル。
そもそも、彼女が学校に潜入した以上は、学校に潜入する必要が有る"理由"が有る筈。
志貴が拒絶をしようがしまいが、本来の目的にまだ達していない以上、
ここを去る訳には行かない筈であった。
もっとも、志貴には今、そこに考えが至る事もない。
ただただ、シエル"先輩"との日常が、まだ途絶えていないことが嬉しくて。
「・・・・・・ああ、文句なんかある訳ないだろ。
俺だって今まで、先輩の忠告を聞かないで好き勝手やってたんだから」
「よろしい。なら、握手しましょう」
そういって差し出す右手。
先輩の意図は判らないままそれを握り返し、ぶんぶんと握手した手を振る。
「はい、これで仲直りです。
これからも宜しくお願いしますね、遠野くん」
久しぶりに見る、本当に嬉しそうな満面の笑み。
形はどうあれ、シエル先輩とようやく仲直りできたという実感に、浮き足立つ。
それが本当に二人の関係の解決となったのか、おぼろげなままに。
思いがけなく訪れた満足感に、志貴はさっきまで先輩に伝えなければ、
と考えていた言葉を、結局口にするのを忘れていた。
先輩と仲直りを済ませた後、シエルはそのままどんぶりを片付けて食堂を後に去っていく。
さも、もう話すべき事は済ませた、という感じに・・・・・・
シエルとの仲直りに半ば呆けていた志貴だが、流石に思い返す。
それはそれとして・・・・・・アルクェイドやもう一人の吸血鬼の事を、
このままうやむやにしていいのか?
1.いいんじゃねーの?
2.・・・・・・いや、どうでもよくはない
どうでもいい訳ねーだろ。
ヽ(`Д´)ノ何でこんな選択肢が有るんだ!どうでもいい事あるか!!
大慌てでシエル先輩を追いかける志貴。
「あれ?遠野くん、五時限目始まっちゃいますよ。
早く教室に戻らないと」
人気の無い中庭でシエル先輩を捕まえる。
志貴が追いかけて来た事に、さも不思議そうに問い掛けるシエル。
「ばか、それは先輩も一緒だろ。
なんだって中庭なんかに―――」
言いかけて気付く。
シエルの日常は、あくまで"ふり"なのであって、本当に授業を受ける必要なんかない。
「ふふ、そうですね。わたしも五時限目に遅れてしまいます。
・・・今日はこのまま帰ろうと思いましたけど、やっぱり真面目に
授業を受けることにしますね」
だが、志貴の前ではあくまでその"ふり"を通すつもりなのか、
シエルは笑みを浮かべて返事を返す。
・・・"ふり"なのに、表情がやけに嬉しそうなのが気になった。
「・・・・・・先輩?もしかして、今までちゃんと授業受けてたの・・・・・・?」
「あたりまえじゃないですか!
その気がなかったらこんな格好してません!!」
さも心外だ、と言わんばかりに不機嫌そうに怒り出すシエルに、
志貴は、彼女の日常が全て"ふり"だったんじゃないと気付く。
思わず、笑いがこぼれる。
笑ったり、怒ったり・・・・・・それはけして"ふり"じゃない。
やっぱり、シエル先輩はシエル先輩なんだ、そう考えると益々嬉しくなってくる。

「・・・・・・はあ。わたしはわたしですけど、
それでどうして笑うんでしょうか、遠野くんは」
「いいんだ、こっちの話。
それより先輩。その、さ。・・・・・・アルクェイドのことなんだけど――――」
「・・・・・・・・・」
―――だが、その日常も終わり。
アルクェイドの話を切り出した瞬間、シエルは修道着姿に見せた、あの無表情な目に変わる。
おもわず、たじろぎそうなる志貴。・・・だが、ここで話を切り上げる事は出来ない。
「・・・・・・怒らないで聞いてくれよ。
先輩はさんざん止めろって言ってくれたけど、
やっぱり俺は吸血鬼の事は放っておけないんだ」

「・・・・・・・・・」
ますます穿つ眼差し。無表情だった瞳に怒りが篭ったようで
なおさら怖じ気付きそうになるが、それでも自分の意思を言葉として紡ぐ。
「・・・・・・とにかく、吸血鬼の事は放っておけない。
けど、一昨日のことでアルクェイドとは決裂しちゃって、俺から何かをしたくても、手段がないんだ。
だから―――先輩が吸血鬼を探してるっていうなら、
それに協力させてくれないか」
―――――暫し、沈黙。
やがてシエル先輩は、はあ、と深く溜息をついて返事を返す。
「イヤです」
笑顔でそう言い放つシエル。
冗談は止めてください、と言わんばかりのその表情だが、志貴を危険に
巻き込みたくないという彼女の思いは冗談でもなんでもない。
一昨日の晩も、志貴はアルクェイドに殺害される寸前だった。
アルクェイド程の力を持ったものは稀でも、吸血鬼を追うという行為は
それだけで危険を伴うと、笑顔の直後にまくし立てるように怒り出すシエル。
「―――だから、そういうのは覚悟の上だって言ってるだろ!
これでも散々死ぬような目にあってきたんだ。
自分の身ぐらい自分で守れる!」

「・・・・・・あのですね、遠野くん、なにを根拠にそんなコト言ってるんですか。
確かに遠野くんの運動神経がいいのは認めます。
遠野くんは病弱ですけど、肉体そのものは優れてるってわかってますから」
「・・・・・・そ、そうなの?」

「ええ。遠野くん、わたしの部屋に泊まった時裸になったじゃないですか。
その時にみたんです。贅肉のない、引き締まった筋肉をしてました。
遠くからでしたけど、その時にキレイな躯してるなぁって思ったくらいです。」
着替えの時に、ふと目についたらしいがそんな筋肉程度で吸血鬼と戦えるのだろうか?
背中に鬼でも背負っているならともかく、冒頭の志貴氏の容姿から
そこまでの肉付きは予想できない。せいぜいなかやまきんに君くらいだと思う。
なんか、ちょっと吸血鬼との闘争レベルが落ちた気がする。
ロアくらいだったらミルコ・クロコップなら勝てるんじゃないかしら?
「知らなかった。先輩、人の着替えを覗き見するような人だったのか」
「―――え、いえ、アレはですね、不可抗力と申しましょうか、
その、隙間から見えてしまって、ちょっとだけ興味があったものですから、
いいかなーって・・・・・・」
そういって弁解しながらも、赤面するシエル先輩。
いいながら、その時の光景を思い出してしまったらしい。
まぁ偉そうに言う志貴もしっかり覗き見しとる訳だから、
全く持って人の事は言えないのであるが・・・・・・
ああもうっ、とにかく!いくら遠野くんは立派な体をしていようと、
普通のひとに吸血鬼と戦う事なんて出来ないんですっ!」
―――そういって、紅潮したままそう言い放つシエル。
・・・意外なことに、シエルは本当に、志貴の本来の能力を知らなかったらしい。
それならば、と魔眼封じの眼鏡をはずし―――
瞬間、ずきんと痛んだこめかみの痛みを堪えた後、
近くの木に見えている適当な『線』を凪ぐ。
シエルの息を呑む声が、背後から聞こえた。
「遠野くん、今の―――」
予想外の事に、目を見張って息を呑むシエル先輩。
"直死の魔眼"。
あの"混沌"ネロ・カオスすらも殺傷せしめた魔眼の能力。
志貴の口から説明されたその能力に、シエルはようやく志貴本来の能力を理解した。
あのアルクェイドが気に入り、共に行動する理由としては、充分過ぎる程の能力・・・・・・
それを知り、シエルは見る間に元気を失っていく。
自分が化け物、と告白した時よりも意気消沈しているようにも感じた。
「・・・・・・たしかに、それだけの力が有るんでしたら、
遠野くんを一人にしておくのは逆に危険ですね。
私が断っても、遠野くんは一人で吸血鬼探しをしてしまうでしょうし、
カレの方も―――――遠野くんの事は無視できません」
「先輩・・・・・・?それって、つまり―――」

「はい。あまり遠野くんを巻き込みたくないんですけど・・・
もう手遅れですから。今更遠野くんには関係ないってつっぱねられません」
「それじゃあ、一緒に吸血鬼退治をしていいっていうこと?」

「はい。・・・こうなったら、わたしも覚悟を決めちゃいました」
しばし諦めがちだった表情だが、宣言どおりに覚悟を決めたのか
笑みを浮かべて片手を差し出してくるシエル。
―――本日、2度目となる握手。
わずかに握っただけのその握手は、食堂の時とは違う、決意を感じさせるものだった。
「それじゃあこれからわたしたちはチームです。
わたしも遠野くんを頼りますから、遠野くんもわたしに頼ってください。
これからは二人で、この街に巣食った吸血鬼を倒しましょう」
そうと決めたからか、打ち解けた笑みでそう言葉を返すシエル先輩。
志貴が無言で頷いた時、ちょうど昼休み終了の予鈴が校舎裏にも鳴り響いた。

「それじゃあ放課後、茶道部に来てください。
そこでこれからのことを話し合いましょう」
その言葉を最後に、校舎へと駆けて行くシエル。
慌ててそれを追う志貴。
アルクェイドとの共闘は決裂してしまったけど、これからは、シエル先輩と行動を共に出来る―――
教室への道を駆けながら、志貴の思いは既に放課後の事でいっぱいだった。
放課後。
普段なら混雑を避けてゆったりと席を立つ志貴だが、今日はいのいちで席を立つ。
急ぎ足のまま向かうのは、シエル先輩と約束を交わした茶道部部室。
―――先輩とは色々あったけど、これで本当にうまくいく。
先輩の力となれる事、吸血鬼と立ち向かうパートナーを得た事。
それよりなにより、先輩と一緒に過ごせる事が、志貴の胸を弾ませる。
はっ、はっ、はっ――――――
息をはずませながら、何時しか全力疾走で茶道部へと向かう志貴。
夕暮の茶道部部室に辿り着いたが、そこにはシエルの姿はない。
少々急ぎすぎてしまったろうか。
畳の上に腰を下ろして、呼吸を整える志貴。
・・・はっ、はっ、はっ――――――
・・・はぁ、はぁ、はぁ――――――
体の熱が、中々冷めない。
呼吸を整えようと、大きく息を整える。
・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ――――――
(なにか―――変だ)
座り込んでいるにも関わらず、息がなかなか落ち着かない。
いや、落ち着くどころか・・・乱れていく一方だ。
いくら病弱だからって、どうして、ここまで走ってきたぐらいで、
こんなに体が疲れている・・・・・・?
瞬間。
「―――――がっ!?」
唐突に、胸がきしむ。
視界が、一瞬で真っ赤に染まった。
体がばたり、と倒れこむ。
「っっっ、っ・・・・・・・・・・・・
っ、あ、あ・・・・・・・・・・!」
全身の痙攣。焼けるような胸の痛み。
苦痛に、指先が畳の上に爪痕を立てる。
激痛、ゲキツウ、ゲ キ ツ ウ ・・・・・・
意識が何度も飛びそうな痛み。だが、その痛みが意識が飛ぶことを許さない。
苦痛が苦痛を重ね、体中を縛り付ける。
「う、うくっ、くあああ・・・・・・・・・・!」
堪えられない。耐えられない。
この痛みが、まだ一秒でも続くというのなら、
いっそ、殺して、くれればいいのに―――――――――
『いいぜ。オマエの望み、聞いてやるよ志貴』
「――――――え?」
どこからか聞こえた声に、畳の上に這いつくばった顔を上げようとする。
―――――その前に
―――――その前に
痛みが、ぴたりと消えていた。
あれほど体を蝕んでいた痛みは、もう一切感じない。
―――――否
感じ取れない。
痛みどころか、何の感覚も感じ取れない。
痛みどころか、生きているとも感じ取れない。
何か言おうとしたが、喉が動かない。
起き上がろうとするが、体はぴくりとも動かない。
何の感覚も残らない体に、ただ視界が僅かに、目の前の薄暗がりを映している。
何時の間にか、夕暮時だった茶道部部室は、夜の帳が下りていた。
「―――――――――――」
視界だけでもと、眼球だけをせわしなく、動かしてみる。
それで視界が広がる事はなかったが、少しは意味が有ったのか
・・・徐々に、聴覚に何かの音が届き始めた。
ただ、それがなんの音なのかはわからない。
自分の呼吸音すら聞こえない中、ただ、近くで何かの音がしている事だけが感じられる。
・・・・・・の・・・・・・くん・・・・・・
――――――すごく苦しそうな声で、名前を呼ばれ続けている気がした。
刹那。
「―――――ほう。完全に消えたかと思ったが、
わりあいしつこいんだな、志貴」
聞こえるはずの無い聴覚の中で、はっきりと聞こえる声。
「―――――――――――!」
その声に、朧な闇の底を凝視する。
そこには、何か見知らぬモノが座っていた。
はだけた白いシャツと、黒い長髪。赤黒い瞳。
初めて見る。
初めて見るヤツなのに―――――昔から知っているような、気がする。
「なんだ、その反応はひどいじゃないか志貴。
オマエがオレを探しているっていうからせっかく出向いてきてやったのに、
オマエはオレを覚えていないのか」
そう言いながら、男は愉快げにくっと声をあげる。
男は、志貴の事を知ってる。
「―――――――――――!」
そして志貴も、ひとつはっきりと理解する。
―――――コイツが、吸血鬼なんだ、と。
シエル先輩とアルクェイドを追い詰めている、"蛇"なんだと。
「・・・・・・否、それは違う。確かに私は転生するアカシャの蛇と呼ばれる吸血種だ。
だがね、オマエにとって私は蛇ではなく、シキの筈ではないのか?」
志貴の意識を呼んだのか、アカシャの蛇は―――シキと名乗った男は、
そう言った後、露骨に不満げな表情で首を傾げ
「・・・・・・チッ、まったく冷たいヤツだよ、オマエは。
これじゃ八年間思い続けてきたオレが馬鹿みたいじゃないか。
・・・なあ、キミもそう思うだろうシエル」
「―――――――――――!」
こちらを見たまま、男はシエル先輩の名を呼んだ。
先輩。先輩が、ここに居るのか?
だが、どこにもその気配も、姿も映らない。本当に先輩が居るのか?
それに、先輩が居るのなら、どうしてコイツをどうにかしないのか?
目の前に、俺たちの敵が座っているというのに・・・・・・!
「ああ、あんまり無茶なことはシエルには言わない方がいい。
今ね、ちょっと人前に出せるような状態じゃないんだ彼女。
まあそもそも―――――今のオマエには、何も見えていないとは思うんだが」
そう返答する蛇の下。シキの下。
じゃり、という畳の音が、届いた。
・・・・・・狂おしい程の執念で、畳に爪をたてる音が。
「・・・・・・だから、そんなモノに気を取られるなと言っているだろう・・・・・・!
いいか志貴、今のオマエが見れるものはオレだけだ。
オマエが聞き取れる音はオレの声だけ。
オマエが感じ取れる存在はオレのモノだけ。
オマエにとって、生の在処は、このオレだけなんだ・・・・・・!
やっと、やっとこうしてオマエと会える場面を迎えたっていうのに、
オレ以外のモノなんぞ考えるな――――――!」
嫉妬めいた言葉を吐きながら、男の手元で、ざくり、という音が響いた。
なにか、嫌な・・・・・・厭な音。
その後、苦痛を帯びた吐息が、かすかに聞こえる。
・・・・・・の・・・・・・くん・・・・・・
痛い、とか、助けて、とか、そんな声ではなく。
よく聞き取れない声が、志貴の耳に響いてくる。
目の前の蛇は、シキは、志貴の様子に落胆の表情を浮かべた。
「・・・・・・本当に忘れているのか、志貴。
・・・・・・親父の暗示はよほど出来が良かったのか、それとも・・・・・・
一度死んだ後だから、それまでの記憶は破損しちまったのか。
くそ、どちらにせよこれじゃあ台無しだ!!」
先程までの冷淡な笑いから一転、ヒステリックに声を荒げる"蛇""シキ"。
ヤツの話し振りは、まるで同じ男が話しているとは思えぬほど
主観的に、客観的に摩り替わる。
今、男は明確なまでに主観的であり、感情的。
「わかってるのか!?八年間、八年間も待ってたのに!
オマエに、オレを殺したオマエから全てを奪えるこの瞬間をずっと待っていたのに、
肝心のオマエが抜け殻になっているんじゃ話にならないじゃないか・・・・・・!」
「―――――――――――」
オレが・・・・・・コイツを殺した?
「そうだ!忘れているのなら思い出せ。
オレ達はいつも三人一緒だっただろう?
遠野の屋敷で、秋葉とオレと、オマエの三人でよく庭を遊びまわった。
八年前のあの日、オレがこうなっちまう前までな!」
・・・・・・八年、前。
・・・・・・なぜだろう。よく思い出せない。
ただ、誰かもうひとり、居たような気がするのに・・・・・・・・・
「・・・・・・思い出せないのか。
オレとオマエは、あんなに仲が良かったのに」
ギリ、と奥歯を噛む音。
ヤツは本当に口惜しそうに、表情を曇らせた。
「――――全く。苦しんでいたのはオレだけっていう事か。
酷い話だぜ、志貴。オレはずっと親父に閉じ込められていたけどな、
それでもオマエの事だけは感じていたんだぜ。
・・・はは、なんていったってオマエの『命』はオレが使わせてもらってるんだからな。
オレとオマエは血の絆の代わりに、魂で繋がっている。だからこそオマエには
―――この上ないほど凄惨な終わり方を迎えさせてやりたかったんだが」
残念だ、という最後の呟きは、落胆からかか細く届いた。
じゃり。
じゃり。
―――また、畳を引っかくような音が聞こえてくる。
その音に、"蛇""シキ"の表情がさらに不愉快げに歪む。
「――――五月蝿い女だ。この命はオレが奪ったものだ。
もう八年も前からオレのものなんだよ!今更志貴に還すなんてマネ、出来ると思うか?
だいたいな、コレがなかったら俺が死んじまうじゃねぇか。
シエル、オマエはオレに死ねっていうのか?
・・・ったくひでぇ女だ。いいから黙って、そこで死んでろ」
ざく、という音。
じゃり、という畳を掻く音は、それきりしなくなった。
「――――と、どこまで話したかな。
ああ、そうそう、オレとオマエの絆の深さについて話してたんだっけ。
ようするにさ、志貴。オレはオマエの兄貴って事さ。
秋葉もオマエも、薄情にも忘れてくれているけどな」
「―――――――――――」
俺の・・・・・・遠野志貴の、兄・・・・・・?
「――――まぁ、そういう事にしておこうか。
志貴、オマエはシエルに私については聞いているだろう。
転生する魂。死した後、新しい人間として孵って来る吸血種のことを」
先程までの感情むき出しだった下品な口ぶりが、客観的な説明口調に変わる。
・・・いや、口調が変わっただけで、これも主観には変わりない。
先程までは"シキ"の主観。今は・・・・・・"蛇"の主観だろうか。
「この私は十八人目の私だ。私が転生先に選ぶ条件は知っているな。
旧い異能者としての血筋を持ち、社会的に大きな影響力を持つ家系。
この二つの条件に見合っているモノが何であるかは言うまでもないだろう。」
その中で選ばれたのが、遠野の家系。
繰り返しながらも、変わらない転生に変化を求め、極東の血筋に刺激を求める。
「かくて私は姫に滅ぼされ、十八人目の私として遠野シキの体に転生した。
遠野シキの肉体は申し分が無かった。知性の発達も早熟で、
この国の淀んだ空気も心地よかった」
そこで、また"蛇"の雰囲気が変わる。
ないまぜの主観が、互いの事情を事細かに明かしたがる。
長説明は、既に中だるみに突入していた。
「―――だが、調子が良かったのはそれまでさ。
『蛇』―――まぁ、ロアっていうヤツなんだが、ヤツの誤算は遠野の人間っていうのは
力が強すぎたっていう事だ。俺と秋葉はな、ようするに半分だけしか人間じゃない。
後の半分はロアのように、元から化け物っていうワケで、遠野の人間はそれを押さえながら生きている。
だがな、中には精神が弱くて抑えきれないヤツだって出てくるんだ。
そういう反転しちまって、人間じゃなくなったヤツを殺すのが遠野の当主の役割なんだが―――」
にやり。
何が面白いのか、"シキ"は愉快げに笑みを浮かべて、自嘲気味に言い放つ。
「ようするに、オレは負けたのさ。
本来ならオマエみたいにちゃんと成人するまでロアは目覚めない。
だが―――オレと繋がっているオマエなら解るだろう、志貴?」
一つの肉体に二つのイシは入らない。
多重人格と呼ばれるものは一人のイシから派生している人格で結局イシは同じだが、
まったく異なる魂のイシが、同じ肉体で共存することは出来ない。
入らない器に、無理矢理詰め込まれた魂どおしのユガミと歪み。
入りきらない魂のユガミは、結局どうなってしまうのか・・・・・・?
「簡単さ、器である脳が悲鳴を上げる。
―――頭痛が走るんだよ。ワケも無く、意味も無く、突発的にな」
頭痛・・・・・・頭痛?
あの、何度も脳を焦がした、あの頭痛は。
獰猛な、凶暴な感情と共に流れ込んでくる、あの頭痛は・・・・・・?
「そうだよ。オマエの頭痛は、オレからオマエに流れているものだ。
言っただろう?オマエの命はオレが使っている。
オレ達はさ、一つの命を取り合って生きているんだ。だから―――
オレがこうして活動すれば、お前は死体みたいに動けなくなるっていうワケだ。
イシを殺すのはイシだからな。オマエの生きようとするイシより、
オレの生きようっていうイシの方が強い」
だが、そこまで説明したところで、また"シキ"は首を傾げて、訝しげな視線を投げかける。
自分の言葉に、自分で疑問を喚起させられた風に。
「・・・・・・まあ、それでも大したもんだ。
オレは殺すつもりでオマエの動力を使っているんだが・・・・・・
おかしいな、どうしてオマエは生きているんだろう?」
首を傾げる"シキ"だが、当の志貴とて今の状況を解しては居ない。
なぜ、この男に自分の命とやらを使われているのか。
そもそも、コイツは何なのか。
その意識を感じ取ったのか、理解の遅い相手を蔑むように、"シキ"は再び口を開く。
「・・・・・・まだわからないのか、志貴。
だからさ、イシを殺すのはイシなんだよ。逆に言えば、イシを殺しても器である体は死なない。
オレの中に在たロアはさ、オレ以外のイシだったんだ。
八年前の夏の日。ロアは、遠野シキというイシを殺した」
「―――――――――――」
遠野志貴は、俺じゃないか。
「ああ、オマエは遠野志貴だ。
反転して人間じゃなくなったオレの代わりに遠野家の長男になった、真っ赤な偽物なのさ」
「―――――――――――」
「まぁ聞けよ。・・・・・・オレはさ、志貴。オマエの事が好きだったぜ。
オレも親父とは反りが合わなかったし、オマエは本当にいいヤツだった。
オレ達は敵同士だったが、本当に仲が良かった。もちろん秋葉の事だって愛していた。
・・・あいつがオマエの方に懐いているのは許せなかったがな」
・・・・・・・・・こいつは・・・・・・何、を・・・・・・・・・
「・・・・・・ああ、あの時の気持ちを覚えている。
目の前が真っ赤になって、なにもかもが気に喰わなくなるんだ。
鳥の声や木の葉のずれる音さえ耳障りで、気が付くと壊していた。」


瞬間、思い出す。夕暮の教室で。屋敷のロビーで。
些細なことが不快感となり、気が付けば凶暴な意識のまま、周りの器物に当り散らす。

「八年前の話だ、志貴。
あの中庭で。オレのイシはロアに殺された。いつもならそれでロアが覚醒して終わる。
・・・けどな、遠野の人間は特殊なんだ。オレという理性を無くした肉体は反転する。
"反転衝動"というのかな。今までタブーと思っていた事をまっさきにやっちまうんだ。
オレは心のどこかで、オマエに嫉妬していたんだろうさ。
・・・・・・結局、居合わせたオマエを殺した」
「まったく、あの時以上の快感はなかったぜ!
この手をオマエの胸につっこんでさぁ、心臓を抉り出した時の嘔吐感っていったら、
もう一気に生まれ変わるんじゃないかって思うぐらいだった!
それがあんまりにも気持ち気持ちイイもんでさ、
もう少しオマエの体で遊ぼうって思ったのが運の尽きだったんだがね。」
猟奇的に盛り上げるべきシーンでヽ(`Д´)ノ長台詞を噛むなよ!!
そんな役者としても二流な雰囲気をかもし出す"シキ"・・・いや、"ロア"の長口上が続く。
遠野志貴の心臓を穿った後、当主であるシキの、秋葉の父親に殺されたこと。
父への恨み節をのたまいながらも、―――最後は割とスカッとしたと悪辣に口元を歪める。
結局。
あの時、広場で血にまみれていた子供は・・・・・・
「―――そうだ、ようやく思い出してくれたか、志貴・・・・・・!
そうなんだ、オマエを殺したのはオレなんだよ!
だっていうのに生き汚いオマエは生き残って、あまつさえ
オレの代わりに遠野志貴になんかなりやがった・・・・・・!
親父の野郎―――自分で殺したオレの体をゴミみたいに地下牢に捨てやがって。
遠野家の長男を失くすワケにはいかない、なんてくだらない理由で
養子のオマエを遠野シキに仕立てやがったんだよ、アイツは!」
俺が、――――――――――――――――――養、子?
「ああ。親父は奇跡的に助かったオマエを利用したのさ。
幸い、まだガキだったからな、オレ達は。自分たちが本当の兄弟だって疑わなかったし、
オマエも――――事故のショックで、どうにかしてたんだろ。」
――――事故

死の線が視えはじめた、あの病室。
そこを抜け出して、先生と出合った。
どうして、抜け出したのか。
死の線に怯えたのも、そうだと思う。でも、病室には・・・・・・
医師以外は、誰も寄り付くことは無かったからだ。
「そう、オマエが要らない人間だったからだ。」
世間体を保つ為だけに宛がわれた、形ばかりの"遠野シキ"・・・"遠野志貴"。
存在しなくてはならないが、存在以外は必要無い。
「だが、オレにはオマエが必要だった。
なにしろオマエから命を奪っていたおかげで、
親父に殺されてもなんとか生き延びれたんだ。
その一点だけは、本当に感謝してるぜ、志貴」
・・・・・・わからない。
じゃあなんで、―――――俺は生きてる?
「さあな。それはオレも知りたいところだが―――まぁ、どうでもいい問題だ。
どのみちオマエはここで死ぬんだから」
ゆっくりと・・・・・・ロアが立ち上がる。
遠野志貴を苦しめて殺す、というロアの肉体・・・"遠野シキ"の目的。
それに幕を下ろそうと、ゆっくりとその足が近づいてくる。
いつまでも二つの肉体に一つの命では効率が悪い。
意味深な言葉を呟きながら、ロアはゆっくりと、志貴の命を狩りに近づいてくる。
志貴は当然、ピクリとも動くことは出来ないまま。
(・・・・・・もう、なにもかもどうでもいい)
結局、色々な話を"シキ"は、"ロア"は語ったけれど
志貴が思った事は、簡潔な諦めの言葉だけだった。
結局オレは偽者で。空蝉で。
八年前のあの夏の日から、とっくの昔に死んでいたんだから―――――
「―――――遠野くん―――――!」
その時、聞こえた。
泣くような、悲しむような、叫ぶような。
―――――先輩の、声が。
―――――その時、闇が僅かに晴れた。
ロアが座っていたその場所に。
幾重もの剣を突きたてられた、シエル先輩の姿が在った。
延々と続く長話の時、ヤツが今まで何に座り込んでいたのかを、理解する。
畳に縫い付けられるように、何本も突き立てられた刃。・・・その剣は、先輩が使っていた剣。
修道衣は赤黒く染まり、畳にも染み入れない量の血が溢れる。
そんな血塗れの、痛々しい姿のままなのに、
シエル先輩は真直ぐに、志貴の方を見つめていた。
「―――チ、また蘇生したか」
志貴に向けていた足が止まり、そのまま先輩に振りかえる。
心底煩わしそうに、見苦しいとその姿をなじるロア。
ざくり。
ロアの手で、再び自らの刃がシエルの手で突き刺さる。
ちいさな、苦悶の声。
じゃり、と・・・さっき聞いた、畳に爪を立てる音。
先輩の手が、爪が畳を掻き毟る。
何度も繰り返しただろうその行為に、もはや爪ははがれかけ。
息はもはや絶え絶えで、その苦痛はもう想像すら出来ない。
なのに。
「・・・・・・遠野、くん・・・・・・・・・!」
じゃり、じゃり、と爪の音が鳴る。
苦痛に悶えて、畳に爪を立てているんじゃなく。
―――俺に、呼びかける為に、その思いに必死で爪を立てている。
自分の事を顧みず、必死に遠野志貴に呼びかけ続けている。
「―――うるさい女だ。何度呼びかけても志貴には聞こえていないと言っているだろう。
そいつはな、もう生きる死体だ。私の声以外は聞こえない。
・・・いや、私の声さえ聞こえん。命を共有するという事でのみ、
かろうじて私のイシを伝えているだけだというのが、何故解らない」
苛立ち、呆れ、侮蔑、嫌悪・・・・・・
ざく、ざく。
ロアの負の感情が、剣という形で先輩の体に突き刺さる。
「っ――――――!」
びくん、と先輩の体が跳ねた。
畳の血が、さらに染み込めない量を増やして表面に滲む。
それでも。
「・・・・・・遠野、くん・・・・・・・・・遠野くん・・・・・・遠野くん・・・・・・」
それでも。
先輩は、遠野志貴に呼びかけることを止めはしない。
痛みと涙の入り混じった、くしゃくしゃの声で。
・・・・・・聞こえていた。
ロアは届かない、といっていたが、そんな事はない。
ちゃんとさっきから、聞こえていたんだ。先輩の声が。想いが。
でも、きっと先輩が呼びかけてくれた半分も、聞いてあげることが出来なかった。
こんなガラクタのように動けない俺に、必死で呼びかけてくれたのに。
自分の方が遥かにぼろぼろの体なのに、必死で呼びかけてくれたのに。
それを聞いてあげられなかった事が・・・・・・・・・悔しい。
「―――"死ねない体"、か。
愚か者め、これだけの能力を有しているのならば、私とて倒しえただろうに」
ざく。
また、先輩の剣が、先輩の体を貫く。
「それが、こんな男のために自ら剣を放棄するとはな。
・・・・・・見下げ果てたぞ、エレイシア。
こんな無様なモノが私の娘とおもうと吐き気がする・・・・・・!」
ざく、ざく、ざく、ざく、ざく、ざく・・・・・・
"私"という口調から、今の主観はロアだろうか。
だが、今までロアであった時には見せなかった直情をさらけ出し、
嫌悪の表情のままに、剣で先輩の体を滅多刺しにしていく。
背中を。肩を。足を。喉を。
――――必死に畳に爪を立て、俺に向けて伸ばされた、血まみれの腕を。
剣戟が無残に貫き、血飛沫を撒き散らす。
それでも。
それでも・・・・・・先輩は遠野くん、と俺の名前を呼び続けている。
その声は、もう喉を潰されて聞こえないのに。
なのに、俺に向かって叫び続けている。
そうすれば、いつか俺が動けるんじゃないかと願うように。
己を省みる事無く、ただ必死に、遠野志貴の身を案じている。
「―――――――――――」
何故、先輩がそこまでしてくれるのか。
何故、そこまで遠野志貴の身を案じてくれるのか。
わからない。
「―――――――――――や」
わからない、が。
そんな事より、今はただ、ひたすら気が狂いそうになる。
俺なんかのために。
先輩があんなにも傷付いて。
あんなにも、必死で呼びかけてくれて。
「―――――――――――メ」
ずぶり。
剣戟が、先輩の体を刺し貫く。
体が動かない。体が動かない。体が動かない。
どうしてこんな光景を目の前にして、俺の体は動かない―――――!
「―――素晴しい。致死性を持つほど純粋な憎悪。
瞬間だが、貴様から漏れたイシは私に迫る。昏むような良い殺気をしているが
―――コレは、そんなに目くじらを立てるほどのコトではないよ」
志貴の憎悪に感嘆の声を漏らしながら、ずぶりとロアが先輩の体から剣を引き抜く。
抜き取る過程で先輩の体が一瞬浮き、剣が抜けたらまた畳に沈み込む。
その体が畳に倒れこむ前に。
ロアの手が、先輩の髪を掴んで引き摺りあげた。
「―――いいかい少年、一つ教授してやろう。
いかに無限に近い治癒能力を持つ吸血種でも、それは"生きている間だけ"の話だ。
吸血種が不死身であるのは、かろうじて息が続いている間だけでね。
完全に死んでしまえば、その治癒機能も停止する。」
吸血鬼とて、死ぬ。滅ぶ。
吸血種は従来より"死に難い"だけであって、けして不死ではない。
ずっ。
瞬間、ロアの抱えた先輩の胸から、黒い剣が生えた。
―――否、背中から、先輩の心臓に剣を突き立てた。
「っっあう・・・・・・!」
先輩が、赤い血を吐いて体を震わせる。
・・・だが、先程剣で潰されたはずの喉から、苦悶の声が漏れた。
「だが―――この女の凄まじい所はな、少年。
たとえ完全に死んでしまっても、本人ではなく"時間"が勝手に肉体を蘇生させるという所にある。
理解できるか?この女は死したのち、誰の手も借りず、自分の手さえ使わず、
この世界そのものが矛盾点を修復する為に復元させてしまうのだ。
例えば―――ほら、こんなふうに!」
講義の説明口調のようだったロアの声が、最後には愉悦にすりかわり
先輩の、額から―――――
ずぶり、と。
―――――剣が飛び出してきた―――――――――――――――
「ひゃはははは!さすがに脳を突き刺せばぴったりと死んでくれたぜ!
ホラ見ろよ志貴、まるでテルテルボウズみたいに手足がビクビク動いてるじゃんか!!」
愉しそうに、笑う"ロア"・・・・・・いや、これは"シキ"。
ないまぜのイシとやらが、先輩の命を、
先輩の命を、陵辱していやがる―――――――!
「でも見ろよ、一度瞳孔がひらききって生命活動が停止したっていうのに、
もう心臓が再活動してるだろ?・・・・・・ったく、ふざけた命だぜ。
一つっきりの命でおっかなびっくり生きてるオレ達が馬鹿みたいじゃねぇか」
ブン、と"シキ"が腕を振るう。
そのまま、先輩の体はゴミのように、血塗れたまま壁に叩きつけられた。
ド ク ン
―――――それが、決定的だった。
動かないはずの体を揺り動かそうと、心臓が早鐘を打ち続ける。
耳には、自分自身の心臓の音と、どうしようもない憎悪で、こめかみに響く
キーンという音だけが響いている。
もういい。
もう、どうなってもいい。
このままおかしくなって、
殺人鬼だなんて呼ばれるコトになっても、
―――――コイツを
「な、オレなんざコイツに比べれば可愛いもんさ。
コイツはな、肉片の一つ残らず、細胞の一つ残らずぶっ潰しても、
無から完全に元通りになる怪物だ。
どうあっても死なねぇヤツを殺しても、それって罪になるのかなぁ・・・・・・!」
ひひひ、と下卑た笑いを挙げて、ヤツは手に残った剣をダーツの様に投げつけた。
ざく、という音。
その音が合図で、理性がそれで焼き切れた。
ゆらり、と動かなかった身を起こす。
目の前のロアが、驚愕した表情でこちらを向いた。
「!・・・貴様、何故動ける―――!?」
「―――――――」
・・・・・・語るまでも無い。オマエが言い出した事だ、ロア。
イシの強い方が命を使うんだろう。
なら―――――オレは今まで。
こんなに強く、一つの事を思ったことは、無い。
「嘘だ。オレが―――――
オレの方が弱いっていうのか、オマエより・・・・・・!」
ロアの驚愕した表情が目に映る。
益々、オレの中で思うイシが強くなる。強くなって・・・・・・狂いそうだ。
ポケットから、ゆっくりと、ナイフを取り出して、身構える。
心臓の音が、一際高く、耳に響いた。
ロア。
―――――オマエを殺してやる。
ネロ・カオス編を終えてもうたいして盛り上がらんと思っていましたが
思いがけない熱い展開が待っていましたね。月姫プレイ記2周目で
初めてテンションガチ上がりですよ!!
長っが〜〜〜い説明はちょっと中ダルんじゃいましたけど、
凄く熱い展開じゃないですか!久々にプレイ記の文章も進みましたね!

熱い展開はいいんですけど、一周目のロアさんって何故かヨッちゃんでしたよね。
改めて見てみると、どこがどうしてヨッちゃんになったのか
サッパリ判らないんですけど・・・・・・
一周目のロア(ヨッちゃん)と2周目のロア。我ながら似ても似つかない。
なんにしても、久々に先が気になる展開で次回に続きますね。
久々の主人公汚名挽回のチャンスですから、ここは気張って欲しいですね。

汚名を挽回してどうするんですか。
それをいうなら名誉挽回か、汚名返上でしょう。

ロアの長セリフに噛むなよとかいう前に、自分の誤用を直しなさい!!
さっきからツッコミが殺到してますよ!!

せ、せっかく体を張ったのに、こんなしょっぱい間違いしないでくださいぃ〜〜!
体を張った甲斐が無いですぅ〜〜〜・・・・・・
ゴメンナサイっ!!
うらめしやぁ〜〜〜・・・・・・

・・・・・・結構余裕あるわね、アナタ・・・・・・
第31回〜からはコチラ
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